蒼い森の備忘録

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カテゴリ: 映画・日本

ゆれる(DVD) ◆20%OFF!


猛(オダギリジョー) は母の一周忌で久しぶりに帰郷し、実家で父親と暮らしている兄の 稔(香川照之) 、幼なじみの 智恵子(真木よう子) との3人で近くの渓谷に足をのばすことにする。
稔 のいない所で、 猛 と一緒に東京へ行くと言い出す 智恵子 。
だが、その 智恵子 が吊り橋から落下してしまう。その時そばにいたのは、 稔 ひとりだった。
事故だったのか、事件なのか。裁判が始まり、次第にこれまでとは違う一面を見せるようになる兄を前にして 猛 の心はゆれていく。
やがて 猛 が選択した行為は、誰もが思いもよらないことだった―。

(DVDパッケージ内容紹介より)



西川美和監督 の第1作、 「蛇イチゴ」 が好きです。
それで、第2作目ということ、 香川照之 と オダギリジョー の競演ということで否応なく期待は高まり、公開時自動車で1時間もかけて映画館に足を運んで観てきました。
期待に違わずいい映画でした。


猛(オダギリジョー) が 智恵子 の部屋で過ごして家に帰ってきた時に、 稔(香川照之) 猛 にカマをかけたときのわずかに見える横顔の微妙な表情・返事をする時の一瞬の間。この場面がもう一度観たくてDVDを購入してしまいました。


兄弟の関係って(兄弟に限らずですが)一面だけではない多面体だと思います。
猛 が、「真面目な兄貴が家のことを見てくれているから、自分は東京で好きなことが出来ている」と感謝する気持ち、 稔 が「弟は東京で成功している」と誇らしく思う気持ちは嘘ではないと思います。
反面、 猛 は兄を「田舎から出ることも出来ない、女にも積極的に出ることが出来ない、グズなヤツ」とも思っていたでしょう。 稔 は弟を「自分に何もかも押付け、好き勝手なことをしている。好きな女も自分じゃなく 猛 に取られてしまう」と恨んでもいたでしょう。(私も妹がいるので、こういう感じってあったりします。)


そういう色々な思いは、普段はある種のバランスをもって凪いだ状態にあります。
でも、「 智恵子 の死」という出来事でそのバランスは崩れていきます。


稔 にはあった。でもそれは彼のすべてなのか?
「みんな兄ちゃんのことよく知ってんだからさ。すぐに元通りだよ。みんなちゃんとあったかく迎えてくれるって。」という 猛 は本心で言っているのか、偽善なのか?伯父に弁護を頼み、兄のために奔走するのは兄の無実を信じているからなのか、自分が犯罪者の弟になるのがいやだからなのか?
兄にカマをかけられたことを怒っているのか、 智恵子 の死の前日、情交を持ったのは自分だということが明らかになるのを恐れているのか?


稔 「初めから人のことを疑って、最後まで一度も信じたりしない。そういうのがオレの知ってるオマエだよ、猛。」


猛 は裁判で 稔 の犯罪を証明するような証言をしてしまう。それを聞きながら笑っているような、受け入れているような 稔 の表情が印象的です。


人は「いい人」だけではありえない。「憎しみ」「ねたみ」だけというのもありえない。
一人の人間の中に様々な感情があり、それは時に大きく「ゆれる」。ゆれたからといって、その感情「だけ」があるわけではない。
この映画は、人間は大きくゆれて、ある一面だけが正面に見えたとしても、それは人を構成している一部だ。一部でしかない、ということを感じさせてくれました。


そのことに気付いた 猛 が、出所する 稔 を迎えに行く。やっと見つけた 稔 に 「兄ちゃん!兄ちゃん!うちに帰ろうよ!」 と叫ぶ 猛 に気付いた 稔 がにっこり笑い、その笑顔がバスにさえぎられるところで終わります。


個人的には 稔 は戻ってこないだろうと思います(戻ってきてほしいけど)。二人の関係は壊れすぎた。
でも、その後、二人はどうやって生きていくのだろうか?どこかでまた交わることもきっとあるはず。だって「兄弟」なんだから。
エンドロールに流れる 「カリフラワーズ」 の 「うちに帰ろう」 を聴きながら、そんなことをボーっと考えていました。






※ 「ゆれる」 公式サイト



『ゆれる』2006年(日本)
原案・監督・脚本:西川美和
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子、蟹江敬三、木村祐一、田口トモロヲ、ピエール瀧、他


2006年度第49回ブルーリボン賞 監督賞受賞 西川美和  助演男優賞 香川照之

他受賞多数





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Last updated  2011.05.09 21:38:49
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