蒼い森の備忘録

蒼い森の備忘録

PR

Calendar

Profile

淡紫

淡紫

Comments

てるてる@ Re:「シェイクハンド」(07/29) 私が高校生の時、部活と受験勉強で忙しい…
SUKIYAKI@ Re:「シェイクハンド」(07/29) ずっと気になっていた作品でした。 深夜の…
hirake5ma3tanuki3 @ 楽天フォトの写真について 突然ですが 楽天フォトの祭りの写真をお…
淡紫 @ no_tenkeyさん すっかりご挨拶が遅れてしまってすみませ…
no_tenkey @ Re:2009 ねぶた 1(08/02) 暑中お見舞い申しあげます。 ・・・と言って…

Favorite Blog

最後の光 堂場瞬一 ホンヤガヤマダさん

シアナのビブリオテ… シアナさん
くろやぎさんは マイ… くろやぎ・しろやぎさん
医療報道を斬る Dr. Bambooさん
NO TENKEYな日常 no_tenkeyさん

Archives

2024.12
2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07
2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2007.11.12
XML
カテゴリ: 映画・日本


ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。
(allcinema ONLINEより)


ちょっと前にTVでドラマ 「天国と地獄」 を放送していました。元の映画をちゃんと観たことがなかったので、ドラマを観る前に映画を観ておきたいと思い、録画したままになっていました。
やっとDVDを借りてきたので早速両方観てみました。



すごい重厚な映画でしたねぇ。1963年(昭和38年)当時の 権藤(三船敏郎) は、たぶん戦争も体験し、貧しい中から叩き上げでここまでのし上がってきた人物です。だからすごく偉そう、っていうか経営者然としていても、身代金を出すことに違和感がありませんでした。まあ、誰でもあの場合出すのかもしれませんが。でも、全てを失うことを恐れていない感じがしました。

そして、犯人・ 竹内銀次郎(山崎努) は医学生で、このまま行けば医師としてある程度の地位は約束されているのになぜこんな事件を起こしたのか。背景はほとんど説明されていませんが、最後のシーンでこれまでに今では想像も出来ないほどの悲惨な境遇だったんだな、それはこれからの自分の未来を捨ててでも、憎しみ・ねたみを押しとどめられないほどすさまじいものだったんだな、と了解できます。それほど 山崎努 の演技は鬼気迫るものがありました。

竹内 の心理を無理なく受け入れられる要素となっていたと思います。






ドラマ版の方もそれなりのものだったと思います。脚本がほとんど変えられておらず、登場人物が映画とほぼ同じセリフをしゃべっているのも面白かったです。あの、一つの画面に二つの場面をはめ込むカメラワークはちょっといただけませんでしたけど…。

権藤(佐藤浩市) のキャラクターが少し弱いように感じましたが、その分 妻(鈴木京香) が「人を蹴落としてまで出世してほしくない」「人間として正しいあなたであってほしい」というメッセージを発しており、それが身代金を出す後押しになっていて、これもまた一つの方法であっていいんじゃないかなと思いました。甘いといえば甘いんですが。

また、共犯者の女性( 吹石一恵 )と母親のいない誘拐された少年( 松田昂大 )の交流が、オリジナルなんですがなかなか良く、少年が自分を監禁していた二人の情報を言わなかった根拠にもなっていて物語のなかのアクセントとして浮くことなく描かれていたと思います。

竹内(妻夫木聡) に関しては、今の世の中でこれほどまでの憎しみをもつ理由がいまいち解りませんでした。地方の大学生としてはそんなにひどい生活ぶりにも見えなかったし、いい男だし(笑)、事実(麻薬の売人ではあるけれど)自分を好きな女もいるし、もてるだろうし、医師という未来も約束されてるわけだし…。なんというか「情念」のようなものが感じられなかったかな、と思いました。


権藤 竹内 よりも、 戸倉警視(阿部寛) のほうが目立ってたかな?(私が 阿部ちゃん



比べるものではないでしょうが、ドラマ版はちょっと軽い感じがしたのは否めません。全体に「葛藤」というものが足りなかった感じです。時代のせいもあるのでしょうが…。しかし、これから超格差社会に突入すればもっとリアリティをもってくるのかもしれませんね。




『天国と地獄』1963年(日本)
監督:黒澤明
原作:87分署シリーズ「キングの身代金」(1959年) エド・マクベイン
脚本:小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎、黒澤明
出演:三船敏郎、仲代達矢、山崎努、香川京子、三橋達也、木村功、石山健二郎、加藤武、志村喬、田崎潤、中村伸郎、伊藤雄之助、佐田豊、土屋嘉男、名古屋章、田口精一、藤原釜足、他






『天国と地獄』
放送年:2007年9月8日 土曜21:00~23:36
脚色・監督:鶴橋康夫
脚本:小国英雄、菊島隆三、久坂栄二郎、黒澤明
原作:87分署シリーズ「キングの身代金」(1959年) エド・マクベイン
出演:佐藤浩市、阿部寛、鈴木京香、妻夫木聡、伊武雅刀、杉本哲太、津川雅彦、平田満、小澤征悦、篠井英介、吹石一恵、他



『キングの身代金』エド・マクベイン
「King's Ransom (1959)」 Ed McBain
発行:1960年
発行所:早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ


キングの身代金 文庫本 ハヤカワ・ミステリ文庫(税込\735)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.12.17 04:58:21
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: