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カテゴリ: 映画・日本

星先生(妻夫木聡) の提案に6年2組は騒然となる。校庭の片隅に小屋を作り、掃除、エサやリなど生まれて初めての経験に戸惑いながらも、成長してゆくブタに愛着を抱いてゆく子どもたち。“ Pちゃん ”と名づけ、家畜ではなくペットとして慈しむようになるが、卒業の時は迫り、 Pちゃん を「食べる」「食べない」で教室を二分する大論争が巻き起こる。
(goo映画より)


1990年に大阪の小学校で実際に行われた授業を映画化したものだそうです。


自分たちがクラスで1年間育てて飼っていた豚を食べられるか?

直感的には「無理だ」と思いました。
で、子供たちは、 星先生(妻夫木聡) はそうするつもりはなかったのに、先に豚に「 Pちゃん 」という名前をつけてしまう。
こりゃだめでしょう。
「豚」が、「 Pちゃん
わたしはベジタリアンではないし、人間は他の生き物を食して生きていく業を持っているものだと思っています。
「動物を殺して食べるなんて残酷ぅ~」なんてきれいごと言う気はありませんが、名前がついちゃった、いわば特別な存在なってしまったものは無理でしょうよ、先生なんで名前つけさせちゃったのよ、甘いよ、と思っちゃいました。


でも、まあ一緒に時を過ごして行く間に、子供たちにもその親たちにもいろいろ変化が出てくるんですね。
食肉を扱っているお父さんは、「骨だって砕いて畑に撒くんだ。だから何も無駄にしない。無駄にすることは野蛮なんだ。」と話す。
魚を食べられなかった子のお父さんが星先生に「最近は魚をきれいに食べるようになった。魚の身が締まってるのは頑張って生きていたからだ。頑張って生きていたことを無駄にするなって。そんな話も以前は素通りだったのにちゃんと聞くようになった。先生と豚のおかげですかね。」と話す。
豚を飼うことに反対していた父兄たちも、「どうするんだ」とか「動物園にあずけられないのか」とか「下の学年に引き継げないのか」とか、子供たちといろいろ会話するようになってきます。


そんな中、どういう決着を着けるのか?
子供たちはほんとに一所懸命に「命」というものについて考えます。
自分たちで考えて引き継いでくれるクラスを募ったり。
引き継ぐと言ってくれた3年生に飼育の方法を指導したり。
でもそれもうまくいきそうにない気配。



観ているうちにいつの間にか子供たちと一緒に考えているわたしがいました。

Pちゃん 」は食べられないのに、他の豚肉ならいいっていうのはやっぱりおかしいのかな?
命に差をつけていることになるんだろうか?
でもどう考えても「 Pちゃん
「仲間」は食べられないよね…。
食肉センターに送ることは、最初の目的から外れて、大切なことを見ないことになるんじゃなかろうか?
だからといって、「 Pちゃん 」が実際に解体されるところを見て食べることが、本当にいいこと・必要なことなんだろうか?

考えても結論が出せなかったんです、わたしは。


でも、子供たちはほんとにほんとに真剣に「命」のこと、「 Pちゃん 」の今後のこと、「命に対する責任」ということを話し合います。
「自分たちは1年間いい思い出ができたから、3年生にも素敵な思い出ができるはず」「 Pちゃん には一日でも一秒でも長生きして欲しい」「 Pちゃん のお肉は自分は食べられない」「食肉センターに任せるなんて無責任。食べるなら自分たちで殺して」「最後まで面倒見れないならそれが無責任」「3年生も同じく悩むことになるし、問題の先送りになるだけ」「最後を見届けてあげるのが責任」…。
観ているこちらの頭が痛くなるほどの「命」への思いに対する真剣さに、正直驚きました。
6年生でここまで考えられるんだ…と。
ほんとに「 Pちゃん の命」と正面から向かい合ってたんだね。
(このあたりの話し合いは、子供たちには白紙の台本が渡されたそうです。だから、子供たちの言葉も涙も本物だったみたいですね。)


子供たちにとっても得がたい経験になったと思うし、自分たちは命を頂いて生きているんだ、ということを心の底から実感できたと思います。
3年生に対してきちんと説明と謝罪を出来たのも、この1年間の成長の証に感じました。


でも、この教育を一般化して行うことは難しいだろうなとは感じました。
必要なことかな~とは思いますが、条件を整える労力、周囲の理解、先生と生徒の信頼関係などなど…。難しそうです。
(実際の授業が行われたのは約20年前です。今ならなお難しい面がありそうです。)
結局当初の目的の「食べる」というところまで描かなかったわけですし…。
だけど、この映画を観ることによって、実際には出来なくても考えるきっかけができるのではないかな?と思いました。
ちょっときついし、結局は一匹の豚が人間に振り回されてしまった話という気がしないでもないので、積極的におすすめしづらい感じもするのですが…。



「ブタがいた教室」オフィシャルサイト


『ブタがいた教室』2008年(日本)
監督:前田哲
脚本:小林弘利
原案:黒田恭史「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房刊)
出演:妻夫木聡、大杉漣、田畑智子、ピエール瀧、戸田菜穂、原田美枝子、他

2008年第21回東京国際映画祭 コンペティション部門観客賞受賞
同 TOYOTA Earth Grand Prix審査員賞受賞





※参考

『豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日』黒田恭史

豚のPちゃんと32人の小学生
発行:2003年
発行所:ミネルヴァ書房
価格:\2100(税込)


『今夜は!好奇心「豚のPちゃんと32人の小学生~生命の授業900日感動全記録」』 (フジテレビジョン)
放送日:1993年7月12日

1993年第31回ギャラクシー賞奨励賞受賞
1995年動物愛護映画コンクール内閣総理大臣賞受賞





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Last updated  2009.05.30 14:24:31
コメント(6) | コメントを書く


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Re:「ブタがいた教室」(05/30)  
no_tenkey  さん
こんばんは~。
お久しぶりにコメします(^^)ノ

「Pちゃん」って、なんかカワイイ名前ですね。
最近ミニブタを飼うのが流行のようですが、まぁ食べるためではないですね。
20年前のお話なのですか~。今ならインフルも出てきたし、難しいでしょうかね。

ついつい「どうなるんだろう」って手に汗握りながら観てしまいそうです。
(2009.06.01 00:44:38)

no_tenkeyさん  
淡紫  さん
こんばんは。
お久しぶりです^^
ご無沙汰してしまい失礼しました<(_ _)>

そうなんですよね~。
この映画でも食べるためではなく、もはや可愛がるために飼ってたと思うんですよね。
そうなるのは解ってたような気がするので、う~ん、どうなんだろう?って、ちょっと疑問に思ったりして…。

すごく一所懸命だった分、心に傷を負ってしまった子もいたんじゃないのかな?とか考えちゃいました。
考えることはすごく大事だな、とは思ったんですけど…。

わたしも手に汗握りながら観てました^^

コメントありがとうございました。
(2009.06.01 20:21:07)

Re:「ブタがいた教室」(05/30)  
doglife0203  さん
難しいですよね、現実的に。
まだ中学生とかなっていればマシでしょうけど、
小学生だと場合によってはトラウマで食べられなく
なる子とか出てきそうだし。そうなると、トラウマと
引き換えにしてまでやることかという疑問が
わきますからねえ。

興味深い作品ではあるんですけどね。 (2009.06.04 17:32:26)

doglife0203さん  
淡紫  さん
こんにちは。

そうですよね~。
いろんなものと引き換えにしてまでやるべきことなのか?という疑問がちょっと拭い切れないんですよね…。
Pちゃんにすれば、可愛い可愛いで接してくれた子供たちを信頼していただろうに、最後に放り出されてしまったっていう感じだろうし…。
「養豚場だって一緒だろ」とは言えない気がするんですよね。どこがどうって、うまく説明できないんですけど…。

確かに興味深い作品なんですが、身近な子供には薦められないでいます…^^;

コメントありがとうございました。
(2009.06.06 18:23:02)

こんにちは!!  
こんにちは!!私も気になってやっとDVDで見ることが出来ました、子供たちが放送で次のPちゃんをお世話してくれるクラスを募集している姿に大人になって久しぶりに感動して涙・涙です。横で夫も真剣に見ていました。そして家族でも真剣に話すことが出来ました。 (2009.06.23 18:39:51)

ぶたねこのママさん  
淡紫  さん
初めまして、こんばんは。

ご覧になられたのですね~^^
家族で真剣に話せるきっかけになったというこで、よかったですね^^
きっと、普段からコミュニケーションがよくとられているのでしょうね。
わたしはまだちょっと正面から向き合えてない感じでいるところがあるので、ぶたねこのママさんはすごいな~と思いました。

ご訪問&コメントありがとうございました<(_ _)>
雑ブログですが、お気が向かれましたらまた遊びに来てやって下さい^^
(2009.06.23 20:49:51)

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