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この度、楽天ブログからBloggerへとお引越しすることにいたしました!【新装開店】 失われた【本質】を求めて、今。【アーカイブ記事は追々転載予定】ええっと、引越しを決めた理由はですね~、1. 数年前から追っかけている「マイケル・ティーチング」。チャネリング(自爆)されたメッセージに基づく教えの体系なんですが、これ、実にあやすぃ&面白い。まだ日本ではそれ程盛り上がっていないようです。ならばいっちょ、一人で自習して、ついでにそれを公開してしまおうか、と。新ブログでは「オンライン読書会」という形を取り、本の内容に沿いながら個々のトピック毎に記事を書いていきます。だから、楽天ブログのように字数制限と闘いながらのブログ執筆だと、あまりにも効率が悪すぎるんですよ。ま、私のようなダラダラ書きが癖になっているような奴には必要なんでしょうけどね、字数制限...。マイケル・ティーチング。早い話が「チャネリング本」+ グルジェフの教え(エニアグラムでもお馴染みの、3つのセンターが登場します)なんですけどね。その手のあやすぃ面白話がお好きな方、ぜひ一度遊びにいらしてください。http://onlinedokushokai-michaelteachings.blogspot.com/以下、新ブログ#1のタイトル部分より引用しますね。雰囲気、伝わりますでしょうか。魂の進化論 「マイケルからのメッセージ」を読む。「セスは語る」のセスシリーズ同様、アメリカでは1970年代からずっと 精神世界の探求者達に愛されてきた霊的集合体・「マイケル(Michael)」の教え。 その代表的著作を、ゆっくり、じっくり、噛み砕いていくオンライン読書会です。「私たちは知識を公平に伝えています。あなたがそれに同意する必要はありません。私たちが言うことは、どんなことでも拒絶していいのです。選択権はあなたにあります。」(チェルシー・クィン・ヤーブロ著、鈴木里美訳、 「マイケルからのメッセージ」 ナチュラルスピリット、 2010、 pp. 45-46 )【送料無料】マイケルからのメッセージ [ チェルシー・クィン・ヤーブロ ]こちらは参考図書。残念ながら邦訳が出ているのは、今のところここに挙げた三冊だけです。英語ではもっといっぱいありますよ。 【楽天ブックスなら送料無料】魂のチャート [ ホゼ・スティーヴンス ]【送料無料】惑星地球を癒す5つの魂 [ ジョヤ・ポ-プ ]価格:1,944円(税込、送料込)2.どうせBloggerでアカウント作るのなら、こちらの四方山話ブログ「失われた【本質】を求めて」も引越しさせて、一元管理した方が便利。ブログ作成の小技って、YouTube動画の取り込みとか、商品リンクの作成法とか、ホストする会社によって細かなところが違うんですよね。ただでさえ時間の無い毎日、ここは思い切って、一箇所に統一したいんですよ。定期的にチェックしてくださっている皆さんにはお手数をおかけします。昭和生まれのアナログ人間なもんで、笑って許していただければありがたいです。最後に...「ブログ」という、私にとっては新たな領域への挑戦をこれまでサポートしてくださった、楽天および楽天ブログの皆様。これまでにコメントをお寄せくださった皆様。そして、こちらを覗いてくださっていた皆様。今まで本当にありがとうございました。またご縁がありましたら失われた【本質】を求めて、今。魂の進化論 「マイケルからのメッセージ」を読む。でもお目にかかりましょう。皆様、お元気で!大丈夫。だって、音楽はこれからもずっと、響き続けるから。なんとかなるよ...。("It's Alright" by Pet Shop Boys)【楽天ブックスならいつでも送料無料】FOREVER YOUNG::イントロスペクティヴ [ ペット・ショップ・ボーイズ ]「捨て曲」が一つも無い、時代を超えた名盤ですね。今も時々無性に聴き返したくなる一枚です。(ご存知の方も多いでしょうが、これは彼ら自身のオリジナル曲ではありません。原曲はこちら。なるほど。かなり黒っぽい作りですね。でも、ペットショップボーイズによるこの"It's Alright"も、彼らの作品中ではベスト5に入る程の傑作だ!と、個人的には思います。絶望的な現実社会の姿。そして、あらゆる苦しみや哀しみを突き抜けた人だけが到達することを許される、カラリと乾いた感じの、ちょっと独特な解放感。ペット・ショップ・ボーイズにしか作れない、不思議な世界ですね。)
2014.04.19
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日本にいる義妹から聞いた話です。小学校低学年の甥っ子に、X君という同級生がいます。幼稚園の時から、一貫して負けず嫌い。同級生、その親たちにもそれは広く知れ渡っています。負けず嫌いなのはまぁ、いいんです。スポーツや勉強など、エネルギーを注ぐ方向性さえ間違えなければ、「できる子」「クラスのヒーロー」となって、「おっ。自分、なかなかいいじゃん!」と、肯定的な自己イメージを上手に築き上げながら、周囲から一目置かれる人として成長できる可能性がありますから。ただ、X君の場合、力を向けるベクトルがちと、おかしくなっているんですよ。例えば、甥っ子が「オレ、昨日、家族でディズニーランド行ってきたんだ!」と休み時間に同級生に話した、とします。そこで、周りの同級生も「あー、オレんちもこの前の春休みに行ったよ~!」「いいなー。」「うちは、来月の開校記念日の休みに行くってお母さんが言ってた~」と、反応。ここまでは大人の集まりでもよくあるやり取りでしょう。そこで件のX君が登場します。「オレなんかなー、昨日とおととい、ディズニーランドのところのホテルに泊ったよ。二日間連続でディズニーシーとディズニーランド両方周ったんだぜ!」しーん。最後の最後に出ました。X君のいつもの、「皆を圧倒する、人一倍どでかい自慢話」が。あぁ、またか。いつものアレだな。小学校低学年の男児たちは、うんざりした様子で軽くうなずき合い、お約束のように話の矛先をスーッとディズニーランドから逸らし、何事も無かったかのようにまた他愛の無い話を続けるか、「おぉ、ドッヂボールやろうぜ!」と、校庭へと駆け出すかするのだそうです。クリスマスが終わって、年が開け、学校が再開された時もそんな感じでした。「オレ、ポケモンYもらった!」(*昨年発売された任天堂の大ヒットゲームソフト。)「オレもさー、兄貴と一緒に使うからってことでWiiU(←ゲーム機。)と、マリオのソフト買ってもらったー!」「今度、やらせろよ~」「いいよー!」そして近付いて来たのが、X君。「オレなんかなー、ニンテンドー3DSに、ゲーム3個もらって、それから2月にプレステ4(←これも、ゲーム機。)買ってもらえるって約束してるんだぞー!」しーん。またかよ。男の子たちは、ちゃんとわかっています。適当に話をはぐらかし、かと言ってX君を排除するでもなく(その辺りがまだ低学年だけあって、みんなかわいいというか、心がやさしいというか。)、そのまま別の話や、別の遊びへと上手に移っていきます。小学校低学年とはいえ、甥っ子や、仲の良い友達は学校から帰った後も、習い事やらスポーツ少年団やらで、放課後も結構忙しいもの。「そういうのって、どーなのよ。」と、批判的な目を向ける方も大勢いらっしゃるとは思いますが、ま、今日はそのことは置いといて、と。ある日の午後。甥っ子が水泳教室から出てきて、迎えに行った母親(義妹)と会った瞬間、なんと例のX君が偶然通りかかる、ということがありました。習い事にほとんど行っていない(甥っ子談)というX君。いつものように、一人、暇そうに自転車で走り回っていたようです。義妹曰く、「X君の○○(甥っ子)を見る目に、なんともうらやましそうな、恨めしそうな、複雑なものを感じてしまった」そうです。X君には中学受験を控えた年頃のお兄ちゃんがいて、親の関心がほとんどそっちに行ってしまっているらしい、習い事らしきものもほとんどさせてもらっていない...という話を伝え聞いていただけに、義妹は「何の悩みもなく、嬉しそうに水泳教室から出てきた○○の姿を、親から放置気味にされているX君に見せつけたようで、ちょっと申し訳ない気持ちになってしまった、と言います。「あ、まずい所で会っちゃったな。」と思ったそうです。それからしばらく経った、ある日のこと。たまたまX君は近くにいなかったようです。ふと、一人が口にしました。「Xの話、うそばっかりだよ。」「そうそう、あいつ、うそつきだよな!」...みんな、口に出しこそしなかったものの、実は気付いていたんですね。X君の、辻褄の合わない自慢話が嘘だらけ、ってことに。気付いていても、上手にスルーしていただけ。(やるなぁ、小学生男子諸君!)今のところは以前と変わらず、みんな仲良く遊んでいる模様。でも、そのうち「あいつと遊ぶなよ」「あいつと口聞くなよ」という、村八分的な構図へと変わってしまうのでしょうかね。X君本人が「こんなことをしていては、みんなに嫌われる。やめなければ。」と気付かない限り...。最近、こちらの本の文庫版をようやく手に入れ、少しずつ読み進めています。【送料無料】平気でうそをつく人たち [ M.スコット・ペック ]子供が精神科の診療に連れてこられたときには、その子供は「見なし患者」と呼ばれるのが通例となっている。この「見なし患者」という名称を用いることによってわれわれ精神療法医は、その子が患者と呼ばれるようになったのは、両親やほかの人たちがそういうラベルをはったからであって、治療の必要な人間はほかにいる、ということを言おうとしているのである。(中略)障害の診断を進めるうちに、その障害の源が当の子供自身にではなく、その子の両親、家族、学校あるいは社会にある、ということを発見することが多い。(「平気でうそをつく人たち」M.スコット・ペック著、森 英明訳、草思社文庫、2011年、pp.110-111)参考過去記事:ある【自己愛母親】サバイバーの物語http://plaza.rakuten.co.jp/backtotheessence/diary/201310130000/本書を読みながら、私自身にもかつて、X君のように「うそに次ぐうそ」の得意な同級生がいたことを思い出しました。中学一年の時、同じクラスだった美少女・Kちゃん。ハーフかクォーターと言っても通じそうな、栗色のふわっとした巻き毛に色白の肌、そして舶来物のビスク・ドールのように大きな、少し憂いを含んだ栗色の瞳。アニメが好きで、イラストを描くのも上手。あんまり乗り気でない私をどうにかして「Kちゃん's ワールド」に引き入れたかったのか、SF小説の文庫本もいっぱい貸してくれました。今思うに、お姉さんがいたこともあって、早熟な子だったんでしょうね。Kちゃんは、私が引っ越してくる前に横浜の某所に住んでいたことを知ると、「私、あそこの駅の近くの幼稚園に通ってた。」と言いました。「え、何て幼稚園?」「☆☆☆幼稚園。」「へー!Kちゃん、☆☆☆幼稚園なんだ~!うちの親も、『一度あそこにいれようかな、って考えたことがある』って言ってたよー!結局、近いからS幼稚園にしたんだけど。」すると、そこからKちゃんの壮大なる虚言サーガが始まったのです。☆☆☆幼稚園は、実は国立の、入るのが難しい、とっても素晴らしい幼稚園。(嘘!横浜市内に国立の幼稚園なんて、昔も今も存在しません!!!)中の敷地はすっごぉーーーく広くって、木でできた遊具がたくさん置いてある。国立だけあって建物も立派で、(だから、国立じゃないって!)毎日子供達が思いっきり体動かして遊べるだけの運動施設も揃ってる。天国みたいに素晴らしい幼稚園だった。(ここまで来れば立派に脳内ファンタジーかな。)今と違い、あの頃はインターネットも無く、事実確認と言えば信頼できる地元民からのクチコミしか無かった時代。同じクラスのKちゃんが、いつも顔付き合わせているKちゃんが、平然と、しかも何度も何度も「☆☆☆幼稚園は国立。入るのに試験があって、落ちる人もいる。」という、嘘を吐き続けていたとは...。私が大真面目に「へー、そうなんだ!すごいねーーー!!」と、毎回感心する様子が、よっぽど面白かったんでしょうかね。彼女がどのような気持ちで嘘を重ねていたのか。私にはよくわかりません。このKちゃんの嘘に、私はなんと20数年間もだまされ続けていました。たまたま横浜市内の幼稚園情報を集めていた時、懐かしい☆☆☆幼稚園の名前が目に入りました。「なんだ、ごくフツーの私立幼稚園じゃないの。国立の幼稚園!だなんて、嘘八百もいいとこだ...。」あまりにも年数が経ちすぎていたせいか、もう怒る気にもなれませんでしたよ。12〜13歳の若さにしてほぼ完成の域に達していた、Kちゃんの嘘つき癖には呆れましたけど。その後、学年が上がってクラス替えをしたことで、Kちゃんとは疎遠に。新学年になって間もない、ある日のことです。突然、私と、それから数名の、「中一クラスの仲良しグループ」に属していた女子生徒が「ちょっと、相談室まで。」と呼び出しを受けました。当時の荒れ果てた公立中学において、「相談室」というのは、「取調べ&尋問室」「お仕置き部屋」と同義だったことは、校内の誰もが知っていました。「え”!?な、何も悪いことしてないけど...。」と大いにビビりつつ部屋に入って行くと...。一年の時の担任の先生と、そして、他のクラスに散らばっていった中一グループの友達が全員揃っていたのです。「絶対他の人には黙っていてね。実は、この一週間、Tさん(Kちゃんのこと)がずっと家に帰っていないの。あなたたち、去年仲良かったから、何かTさんから聞いていない?」いえ、全然。他の子も、同様。どうやら、Kちゃんは一週間程前から家出して、行方知らずとなっていたようです。その後、どういう経緯があって、Kちゃんが無事家に帰ってきたか、詳しくは知りません。もはや知りたいとも思いませんでした。あまりかかわりたくない、というのが正直な気持ちでした。Kちゃんが、足を踏み入れてはいけない、薄暗い世界へと行ってしまったような気がして。今はどうしているんでしょうかね。年端も行かない子供が執拗に繰り返す、嘘。そこに込められた意味を、大人はもっと真剣に探らなければならないな、と思います。悪を直視できなければ、人間の悪をいやすことなど期待できない。悪を直視するということはけっして気持ちのよい光景ではない。(中略)人間の悪をいやす戦いは、まず自分自身との戦いから始まるのがつねである。そして、自己浄化こそ、つねにわれわれの最大の武器となるものである。(「平気でうそをつく人たち」pp. 5-6)
2014.04.09
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前編はこちらです。(ノリさんの見合い相手は元・ミス・ユニバース日本代表の、あの方♪)仕事場では失敗の連続で叱られてばかり。パート女性の輪にも入っていけず、貴子は一人落ち込むばかりの毎日でした。息子の祐希や、客として精肉店を訪れ、知り合いとなった早苗(ノリさんの娘)の優しさが身にしみます。それでも、元々高くなかった彼女の自尊感情(=ありのままの自分にYes!と言えるココロ、ですね)を、プラスへと転じることはできませんでした。音大生だった貴子は、キヨさんの息子・健児との間に予定外(笑)に子供を授かり(それが現在高校3年生?の祐希。)、止む無く学生結婚。(だからまだ38歳という若いお母さんなんですね。なるほど。)以後、「いつかピアノ教室を開きたい」との夢を抱きつつ、専業主婦のままずっとこの年齢まで来てしまいました。若さ。男性に好まれる、可愛らしい外見。エリート銀行員のだんな様。イケメン高校生の息子。都内二十三区内の、広い土地付一戸建て・持ち家住まい ⇨⇨⇨ 将来、確実に転がり込んで来る、親からの資産。周りの「ちょい不幸せ気味」な中年女性達から嫉妬される材料ばかり、です。パート女性達があそこまで悪口で盛り上がったのも、そうした貴子の「外側から見える幸せ」への妬みゆえでしょう。もう一度、第6話予告編で見ましょうか、居酒屋での場面。「あの人が妬ましい」と認めてしまうと、自分たちのミジメな現状にも気付かざるを得ない。でも、それはあまりにも辛すぎる。やりたくない。ならば、同じようなミジメ者同士一致団結し、恵まれ過ぎている人・貴子を仮想敵とみなし、こき下ろせば良い。「自分達は時給分の仕事をまともにこなす、優秀な従業員だ。それに引き換えあいつは...」自分達が上だ。と確認し合えば、しばしの間、おのれのミジメさを忘れられる...。かつて「使えない新人」と呼ばれた時代が自分達にもあったかもしれないのに...。その場にいない人の陰口や噂話。決してほめられたものではありません。でも、職場によっては「ガス抜き」としての機能を果たしてくれるため、100%の根絶が難しい場合もあるのでしょう。必要悪、っていう奴ですね。一方、悪口には参加せず、「またとないカモ」として早くから貴子に注目していた【トモダチ詐欺師】の育代。彼女は、外側に表れた幸せな若奥様、ではない、もう一人の貴子も観察していました。捕食者ならではの鋭い観察眼でもって、貴子の内面を蝕む負の感情をも見透かしていたのです。「外で働いたこともない、世間知らず。」(自己評価、マイナス50点!)「ドンくさい。仕事がのろい。」(同じく、-20点!)「しょっちゅう失敗しては皆に迷惑かけっ放し。」(同上!)「みんなの輪に入りたいのに、それができない。」(-10点!)他人がどう思おうが、貴子自身にとっての自画像は【自己評価・マイナス100点(しかも改善の兆し全く見えず)の、ダメな奴】でしかありませんでした。(結末部分では、その【貴子=ダメな奴】オーラに清田家の全員が同調し、ますます強化する、という悪循環に、なんとキヨさん自身も巻き込まれていた、という事実が、克恵さんの言葉で明らかになります。家族から「ダメな奴」と思い込まれているようでは、「私、これでいいんだ!」という自尊感情が育たないのも当然でしょう。)貴子が放つ【ダメな奴オーラ】に気付きつつも、せいぜいストレス解消のサンドバッグとして使っちゃおう、というレベルで止まっていたのが、他のパート女性達。それに対し、育代は「こいつを弄(もてあそ)んで、甘い汁吸ってやるか。」と、ブラックな企みを実行に移してしまいます。「サイコパスはふつうの人より刺激にたいする欲求が強く、結果として社会的、肉体的、経済的、あるいは法的にリスクを冒すことが多くなる。特徴をあげると、彼らは人を惑わせて危険な冒険に引きずりこむ。共通して病的に嘘をつき、人をだます。あるいは”友人”に寄生虫のように寄りかかる。(...中略...)そしてつねに、いかなる問題にたいしても責任を感じない点は共通している。」(「良心をもたない人たち」マーサ・スタウト著、木村博江 訳、草思社文庫、2012年、p.17)【送料無料】良心をもたない人たち [ マーサ・スタウト ]育代はまさにこの「病的な嘘つき」でした。どんな嘘つきも、最初っから「特大級の嘘」をぶつけてくることは稀です。カモさんの警戒心の強さを確かめる意味もあって、まずは小さな嘘から出してくるんですよ。そこではっと気付くことができれば、被害は最小限にとどめられるんですがね。残念ながら、こうした海千山千的人間にあまり免疫が無いお人よしの貴子。長年、温かな家族に守られてきたことへの代償として、人生経験が不足してしまったことは否めません。育代の言葉をバカ正直に受け取ることしかできない貴子は、さらに大きな嘘へと巻き込まれていきます。「お茶しよう」と自分から誘う。ドーナツ屋のレジで会計、という段になって「あ、大きいのしかないや。次、必ず返すから」。平然と育代は嘘をつきます。次のお茶の時も、「大きいのしかない」の嘘。再度払う、貴子。またその次のお茶でも、「大きいの...」の嘘。性懲りもなく、また払ったそうです。職場が一緒なのですから、借りたお茶代を返す機会なんていくらでもあるはずなのに、おかしいですよね。そう。「おかしい」に目をつぶってはいけなかったんです。「いい人」をやめる覚悟を決めて、キッパリと相手のおかしな言動を問い正すべきだったんです。さっさと逃げるべきだったんです。さてさて。貴子が貸した金を請求して来ない。つまり、「いい人」イメージを捨てるだけの度胸が貴子に無い、と確定できた今、育代は「お試しモード」からいよいよ「本気の詐欺モード」へとギアチェンジします。そして給料日。お嬢さん育ちの貴子が「自分の力で初めてもらったお給料」です。それはもう、特別なお金に違いありません。あまりの嬉しさに、思わず家族全員にケーキを買って帰った程でした。気分高揚中♪につき、ただでさえゆるゆる~のガードが一段と緩くなっている貴子を、天性の捕食動物・育代が見逃すはずがありません。5万円貸して、あなたしか頼れないから...と、頼み込むんですよ。その理由がこれまたふるってましてね。磁気ネックレス買っちゃった,ですって(笑)。チラッと襟元から出したその品、どう見積もっても数千円以下...。「お願い。5万円貸して。次のお給料で必ず返すから。旦那に言えない買い物しちゃったの。代金払わないと明日取立てに来る、っていうの。もうクーリングオフできないって。旦那にばれたら殴られちゃう...。」もう、この言い訳ひとつに含まれる要素だけで「三振バッターアウト!」でいいですよね?距離を置きたくなりません?へそくりで払えないとわかっていて、高額商品を買う。しかも、支払いをズルズルと引き延ばし、取立て寸前。で、極め付けが「ばれたら殴る」ような旦那がいて、事を治めるためには他人を巻き込んでも構わない、と思っている。そう。聞いた瞬間に浮かぶ、「ん!?」「何それっ!?」「あらぁ~???」の、「?」=違和感。それをすぐに打ち消さない、無視しないことが非常に大切です。あなたが感じる違和感。それは相手が「今、嘘をついた。」という、直観からの警告サインかもしれません。「どんな種類の関係であれ、新たなつきあいがはじまったときは、相手の言葉、約束、責任について『三回の原則』をあてはめてみること。一回の嘘、一回の約束不履行、一回の責任逃れは、誤解ということもありえる。二回つづいたら、かなりまずい相手かもしれない。だが、三回嘘が重なったら嘘つきの証拠であり、嘘は良心を欠いた行動のかなめだ。つらくても傷の浅いうちに、できるだけ早く逃げだしたほうがいい。」(同書、pp.210-211)ドーナツ代金踏み倒し。加えて、よくもまぁ、毎回飽きずに...と呆れる程に次元の低い、パートの上司・克恵への中傷。そうそう。昔、運転免許の取得に失敗した、と貴子が漏らしたことに対し、「若い頃からちょっとどんくさかったのね~」と、さりげなく、でも失礼極まりない顔面パンチを食らわしてきた、っていう場面もありました。「庶民派ぶっちゃけ系キャラ」を前面に出しながらも、実は単にガサツで口の悪い、イヤな奴。視聴者にもはっきりと伝わりました。うまいです。この描き方。あーあ。貴子がマーサ・スタウトさんの「三回の原則」を知っていたらなぁ...。「三回違和感アウト→逃げろ!」のオキテに従って、育代との「お茶」を数回程度で打ち切りにしていたら、「5万円貸して」なんて大きな話に発展することも無かったでしょうに。渋々5万円を渡してしまった貴子。誰もが予想した通り、育代はその直後に精肉店でのパートを突然辞め、姿を消します。大切な初給料を取り戻すべく、店長から育代の住所を聞きだし、「5万円返して」と育代に直接詰め寄ったものの、貴子を待ち受けていたのはとんでもない「逆切れ」反応でした。「あなたがもっと前に『返して』と言わなかったから。あなたが金にルーズだったから、こうなった。それに何よ、家まで押しかけてきて!」「盗人猛々しい」って、こういう時に使います。一見、魅力的だが、うそをついて人をあやつり、空涙をながして同情をひき、追いつめられると逆ギレする。文庫版「良心をもたない人たち」の帯に付けられたキャッチコピーです。どこかの誰かに当てはまりそうな一節ですね。幸い、ドラマは勧善懲悪モノのセオリー通りに進行。最後は正義が勝つ!チャンチャン♪で、爽やかに終わります。フィクションですから。そうでもなけりゃ、とてもやりきれませんよ。嘘つきが高笑いをしている陰で、正直者が泣きを見るような世界。悲しいかな、私たち人類は未だにそのような世界から卒業できていないんです。
2014.04.02
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