旧:無菌室育ち

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山田玲司先生とさかなクンの対談


ハコフグ帽子山田玲司先生のONEonONEにさかなクン登場!
★★★さかなクンオフィシャルファンページ

小学館「週刊ヤングサンデー」18号 のネタバレです。
★★★ONE ON ONE 絶望に効くクスリ
★★★山田玲司先生の「週刊ヤングサンデー」公式ページ
★★★「週刊ヤングサンデー」

このよでいちばん おいしくて いとおしい いきもののはなし。
“第30夜海のシッタルダ”
自分のことを「さかなクン」と名乗っている男がいる。理由は魚が大好きだからだ…。
「この線で言えば、僕は『マンガクン』で、君は『編集長のパシリクン』?」
「担当『編集者』っす!」
「『さかなクン』に会いてえなあ、パシリクン。」
「会社で言われるからやめてくださいよ!!」
「つまんない自尊心は捨てないと暗くなるよパシリン。」
「こんなときにアラマタ語録を…」

さかなクンを知っているだろうか?
『TVチャンピオン』の全国魚通選手権で前人未到の五連覇をなしとげ(4000種以上の魚についての知識がある)そのキュートでポップなキャラクターが受けた、いまや動物番組の名キャスター。
一方、図抜けた絵の才能を持つ彼は、“魚系イラストレーター”でもある。
水族館をサポートしたり、魚のレクチャーを子供たちにしたりの、魚業界のポップスターだ。
「いいよなあ、さかなクン。なごむよ…」
「できすぎっすよね…。“プロレスラー”じゃないすかねえ…」
うちのアシはマスコミ用に自作自演する人を「プロレスラー」と言う。
「じゃあ何か?!あの純粋そうなさかなクンも、カメラが回ってないとこじゃこんなか!?」
(店長、若い娘いないの?魚ばっかでギャル抱かねーと、やってらんねーのよ、オレ。)(いーじゃんあたしでぇー)
「なにしろ『テレビ』っすからねー。」(スレまくり)

「オレ、だまされてんのか?テレビに…」
「いやー、あのまんまらしいっすよ。」
「こんにちはー。あれ?いないのかな…」
ガチャ
「こんにちは!!(ばーん)今日の魚はマトウダイでーす!!」さかなクン28歳
――そして…
“フィッシュ・ポップスター”のショーは始まったのだった…
「こんにちは!!さかなです!!今日はありがとうございます!!」←カメラ回ってなくてもあのまま
「ど…、どーも!山田です!!」テンション上げんとついていけん
「これ、今日館山で漁獲した魚です!どーぞ!!マトウダイにスズキー!!ウミタナゴー!!食べちゃいけないキタマクラー!!」
うわー…まぶしすぎる…
館山に住む彼は地元の漁師さんと仲が良く、週に何度かは船に乗って漁に出ている。
「今日はヤリイカが多かったですね。マトウダイは馬の頭というイミで…マトがあるみたいに見えるので…」←ホワイトボードにイラスト入りで説明してくれる(ノンストップ)
俺のために、わざわざ都内まで魚を持ってきてくれたのだ…
「俺もさー、子供の頃アカグツ拾ったんだけどさー…」
「アカグツー!!僕、飼ってましたよー。あれはなかなか餌付かないんですけど、口の中に…」←ノンストップ
かくして――
生物オタクでもある俺にとって、彼との海洋生物話は夢のような時間になった…一つの魚から、尽きることのない話が続く。
「おい…取材は?」
「ハリセンボンいいよねー」
「かわいいですよねー、イシガキフグのガキちゃんはですね…」←ノンストップ
(うう…今までで一番リラックスした取材だ。――って、待てよオレ!!
光があれば必ず陰が生じるのが人生!!こんなに明るく生きてる彼にも…眠れない夜があったはずだろ!!そこをあばかねば!!なごんでどうする!!)

さかなクンは‘75年に神奈川県で生まれている…父親はなんと囲碁のプロ棋士だ。
「怒るとおっかないですよー、父はー。」そのおかげでとても礼儀正しい人になったのかも。
「お母さんは?」
「母は動物好きでしたね。(自由に育ててくれたという)。兄もやさしい人で…」
最初はなぜか清掃車に惹かれたりしていた幼い頃の彼は、ある日タコと出会い、取り付かれたようにタコにハマる。やさしい母親は、連日彼にタコを買ってきて一ヶ月の間タコづくしの食卓だった。
ちなみにTVチャンピオンの出題レベルはおそろしく高く、初出場時の決勝戦では、フランスのスープ「ブイヤベース」を飲み、ダシに使用された魚を7種類すべて当てろ、という問題で敗れてしまった。
「その時、ブイヤベース自体を初めて飲んだんですよ。」
すると彼の兄さんは内緒でお金をため、さかなクンをフランス料理に連れて行ってあげたのだ。そこから伝説の「5連覇」が始まる――。
またある時、彼は、港での魚の味クイズで、あこがれの魚「アカマンボウ」を見つける。こうなると、クイズどころではない。(あかあかグギャーあがあがアカマンボウだーアカマンボウ目アカマンボウ科体長1.8メートル日本各地の外洋の表層から500メートル前後の深海までがすみかで、めったに見ることのできないさかなでございますぅ)
それでも勝ち残るのがすごいが…
「それってさ…、勝負より、アカマンボウが嬉しかったんだ。」
「はい!!」
(自作自演なんてとんでもない。本物だよ、この人は。)
「でも、魚ばっかりの日々で、友達にいじめられなかったの?」
「はじめは浮いてましたね。でもいつも、魚の絵とか描いていると寄ってきてくれて、みんなを釣りに連れて行ってあげたりして。エサつけてあげたりハリ外してあげてり大変でしたー」
「ほー…(芸は身を助けるね…)」

「じゃあ聞いちゃうよ。」
「はい。」
「女の人を好きになったりしないの?」
「んー…」

「ありましたけど、やっぱり魚ですねー。」

「じゃあ、男の人を好きになったりは?」
「それは征夫さんですよ。」ごぞんじ中村征夫氏
「でたらめにかっこいいもんね、あの人!」
「ですよねー!小学生の時からあこがれだったんですよー」共感する魚仲間
そんなさかなクンも一度ディズニーランドに女の子とデートに行ったという。
「魚の話してくださいね。」と、行ってくれた女の子に、夕方まで魚話をしまくったら…
「もう魚はいいです…」
こうしてさかなクンのデートは終わったという…
タチウオがマニキュアの原料になるという話の時――
「えーと、なんでしたっけ、女の人がツメに付けるやつ…」
魚の専門用語はすぐ出る彼も「マニキュア」が出ない――
昔、細野晴臣氏が「才能ってのは、背骨のゆがみを直したらなくなるもんですよ」といっていたのを思い出した。『学校教育』ってのは、なんでもこなせる、ブナンな『マルチ人間』を作ろうとするし、常識ばかりを押し付けていたら、「さかなクン」みたいな魅力ある幸せな人は生まれないだろう。僕はかつて、本当は生物オタクでカメが大好きなのに、好きな娘にふりむいてもらうために、カメを捨ててモテモテのおしゃれさんになる男の話を描いたことがある。(Bバージン)結局それじゃ幸せになれないということをテーマにしてたわけだが、さかなクンが魚を捨てることはありえないと思う。
「つーか、なんでそんなに幸せそうなの?」オーラがポジすぎ!!
「山田さんは幸せじゃないんですか!?」
……これは効いたね。
考えてみたら俺だって、小学生のときに手塚ショックをくらって、心の底からマンガが好きな少年だった。好きだった音楽や絵画や生き物関係に行くのをやめてまで、この道にかけてきた…のに…
「うわーい!今日もマンガが描けるよー!白い紙だー!Gペンだー!俗物アシスタントに担当編集からのラブテレフォンだー!――とは、いかねぇ…本当にマンガ好きだったのに…マンガ家失格かも…」ズーン…(カリカリ…)
「何書いてんの?」「レシピです。」
「山田さんにこのお魚をおいしく食べてもらいたいんです!」マトウダイのミルク煮!!

***ここにさかなクンの直筆レシピがあります。これはネタバレしませんので、どーしても知りたい人は、単行本が出るのを待って、買いましょう。***

「魚ばっかりで飽きたりしないの?」
「僕が知ってることは、魚の世界のほんの一部なんですよ。まだまだ驚くことがいっぱいですよ。」

そういえば…「人生は苦だ」と言い続けたゴータマ・シッダルタ=ブッダは、死の直前に「アナンダ…世界は美しいな…」と言ったという。たしかに僕たちは、この地球のほんの一部しか知らないくせに、わかった気になって勝手に絶望したりしているが、まだまだ世界は、驚愕と歓喜に満ちているじゃないか。そして“海のシッダルタ”はこう書いた。

***ここにさかなクンの直筆画があります。見たい人は(以下略)***

魚の箱をかかえ、東武線で南越谷に帰った僕は、彼のレシピで魚を料理した。(旨い!!)(何すかこれ、レストランの味っすよ…)あまりのおいしさに、事務所・山田計画は驚愕と歓喜につつまれ…次の日、僕は、新鮮な心で原稿に向かったのです。





プクプクのかくれんぼ
さかなクンが出版した絵本です


絶望に効くクスリ ONE ON ONE(3)
ヤングサンデーコミックス
さかなクンの回が載るはずです!



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