おとぼけ香港生活から脱皮

おとぼけ香港生活から脱皮

bebe母


一卵性双生児親子と言ってもいいくらい仲良しだ。
私が高校生の時でもプロレスごっこを
していたくらいで、
常に一緒に行動を共にしていた。

そして、bebe母は天然であって涙もろい。


昔、「おしん」をやっていた頃、
母はオープニングテーマから泣く勢いで夕飯前だと
言うのに、テレビの前で釘付けとなる。
おしんが「かあちゃん!」と叫ぶものなら母は嗚咽する。
すかさず私が「お母さん泣いてるぅぅ~~」と言うと
照れ笑いしながらやっとティッシュで鼻をかむのだ。
子供役者の名前と母の名前が同じだからと母は言う。


あなたはおしんですか?


以前、私の実家でカラオケをした際、
私は山口百恵の「秋桜」を歌った。
その時、豊が
「bebeちゃんはいつもこの歌聞くと泣くんですよ」
と、そっと父に告げたのである。

私は花嫁姿を両親に見せてあげていないままでおり、
結婚して、母の許を離れていく母娘の心情に浸っている
暇も与えずに、私達は結婚が決まってから
とっとと入籍をして、香港に来てしまった。
なので、私は両親に申し訳ない気持ちと
もし結婚式までの荷物整理をしていたら
きっと「秋桜」の歌詞のように
縁側でアルバムを開いてはお互いの淋しさを隠し持ち
昔話に花を咲かせていたかも知れない。
そして、娘が嫁いでいってしまった後でも
母は日常の生活を変わりなく
娘の幸せを一心に願いながら
吹きすさむ寒い秋空の中で
庭の落ち葉を一人虚しく掃いている。

そう、想像するだけで母の背中が小さく見え、
泣けてしまうのである。



話は戻るが、このコスモスの歌に父と母は泣いていた。
父や母の泣いている姿に私は自分のしてきた過去や
父がやけに弱くなってしまった姿に私は涙して歌ったのだが、
カラオケの設置に来てくれた、2番目の兄だけが白けている・・・
歌い終わった後も、皆で涙を流しながら
鼻をすすって余韻に浸っていた。
皆の涙が枯れた頃、

いい歌でしょ?と私が言うと母は目をパチクリさせている。
すると、「どんな歌なの?」と聞いてきたではないか!


はぁ?今感動して泣いていたんじゃないの?


私はお父さんがなぜだか知らないけど泣いていたので
つられて泣いたと笑いながら母は言った。


あんなにぽろぽろ泣いていたのに、コスモスの
歌詞を聴いていない???

秋桜の歌詞の中では母親が一番いい味を出しているのに・・


さっそくどういう歌なのか
さっきの感動とは一転して一から教える羽目になった。
そしたら、母、

「ふ~ん・・」だって!!!


こんな母だけど、天然でかわいくて大好きだ。







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