おとぼけ香港生活から脱皮

おとぼけ香港生活から脱皮

【土方になる女】


このちっぽけな家を住みやすくする為、
大きな仕事はパパさんとやったり
小さな仕事は自らコツコツとやってきた。


旦那・豊と言うと何もしない!!!


力仕事や日曜大工が苦手といった人である。
(不器用だから出来ないと私は睨んでいる・)

2mはある長細い大理石のカウンターみたいな台だって、
壁塗りだって大変だったが一人でやった。
一番大変だったのは
キングサイズもあろうベッド
(買ってみて部屋には合わないデカさだった)の
組み立てで、マットだって
エレベーターに入らないものだから
パパさんの友達を呼んでは3人(2人は70歳以上)で
階段を使って運んだものだった。

夕方から夜にかけ部屋の中に運び入れたはいいが、
部屋が散らかり放題で寝る場所がない。
生憎、豊は出張でいなく、
パパさんは知り合いと食事だという。
私も誘われたが断り、
根性を入れてベッドの組み立てをするつもりだった。

一つ一つベッドの枠を組み立て終わる頃には
もう既に右手が痛み出していた。
組み立てたはいいが、
マットの土台(鉄枠に木が肋骨のように込みこまれている)が
持ち上がらない。
せめてもう1人いれば担うことが出来たのだが、
一人では到底持ち上げることができなかった。

せっかくここまでやったのだから、
完成させたい思いが強く
時はもう夜中の12時を越していた。



そうして、









ようやく、










よーーやく考えついたのが







「背負う」





だった。

マットの土台を背中に置き、
前かがみのまま動かなくてはならない。

こんな真夜中に一体私は何をしてるんだ?
と正気に返ったが、ここまでやってきたのでやることにした。

が!!

やっとのことでベッドに置くことができたのに

上下逆だった・・

今度はベッドの下に潜り込んで背負わなくてはならない。

むぅ、明日になればパパさんが手伝ってくれるのに・・・
一人で作り上げて「すごい」と言わせてやろうじゃないか。
そう、私の中で無駄な野望が燃えたぎっていた。

やっとこベッドを作りあげたときはもう、朝だった。

だからか、余計にこのベッドに愛着が沸く。

そして、家をもっと住みやすくするために、
今日ものこぎりでギコギコやっている。




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