おとぼけ香港生活から脱皮

おとぼけ香港生活から脱皮

【捕まる女】


パトロールをしていた。

パトロール警察官の姿をあまり見かけなくなったのは
多分大陸人が自由に香港観光が出来るように
なった辺りだろうか。

私達が住んでいるこの下町は
密入国者や不法滞在者が潜むにはかっこうの場所で
警察官が通りごといてもおかしくない
ほど居たものだった。

結婚前、香港にいた頃は、
私は1ヶ月の観光ビザで滞在していた。
そして、1ヵ月毎に香港を出て
延長していたのだった。(*参照bebe国境越え)

そして、毎日パパさんの家へ洗濯物を
持って行っては洗濯をしていた。
当時、豊に日本人だとバレないようにしろと
言われていたのでそれはそれは貧乏臭い
格好をしており、香港人に道を尋ねられる
ほど、現地化していた。←(日本人にも見えにくい)
毎朝、豊が出勤した後、私はいつものように
貧乏臭い格好で洗濯にでかけたのだが、
通りを出た所で警察官に見張られていたかのように
すぐさま声を掛けられてしまった。

警察官:「○△◇!!(広東語)」
bebe :「sorry?」
警察官:「IDカードを見せてください」(以下英語)
bebe :「持っていません」
警察官:「パスポートは?」
bebe :「家です」
警察官:「じゃ家へパスポートを確認に行きます」


観光ビザで滞在している後ろめたさもあり
慌ててしまうbebe

bebe :「私は日本人です!!!」←(どうにかその場を逃げたい)
警察官:「ほう、日本人ですか」
bebe :「はい、日本人です!!」
警察官:「家へ行きます」
bebe :「うっ・・・・(バクバク)」

私の対抗作戦もむなしく、
まるで捕らえられた犯人のように
警察官3人、警察犬1匹が私たちの
住んでいる家に来ることになった。

そして、パスポートを見せると
無線で何処かへ連絡して確認を取っていた。
その状況は「本当は私は密入国者ではないか?」
と自分が錯覚を起こしてしまいたくなるほど
緊迫が漂っていた。
獲物ではなかったと知ると
一番えばっていそうな警察官が言った。

「pretty、これからはパスポートを携帯するんだ」
  ↑(私の中では八つ当たりに聞こえ、荒々しい)
「コピーはいいですか」
「駄目だ。パスポートを持ちなさい」

そして、さっき持って出た洗濯物を持ち、
警察官3人と警察犬に囲まれながら
エレベーターで下りた。
私の足元にいる警察犬に今にも噛み砕かれそうな
ほど、私の潔白さは見えてこなかった。
一人の優しそうな警察官が私を見て
微笑んでくれたが、私の心の中は未だに緊張が
取れていないままであった。


洗濯から戻ると、私はすぐに豊に電話をした。
豊の声を聞くと同時に私の中で緊張していた
ものが張り裂け、とても怖かったことや
犬が大きくて怖かったこと、
パスポートを携帯しなくてはいけないことなどを
涙ながらに話した。

でも、私の心の中はこうである。
「結婚してくれないからIDカードがないんだよ!」
「IDカードの方が携帯に便利じゃないか!」
「パスポート持つのなんてまっぴらだ!」
「日本人とバレないように貧乏臭い格好がいけないんだ!」



それから結婚して、IDカードを携帯しているのだが、
また、警察官に呼び止められた。
今度は婦人警官だ。

その日は真夏なのにバッチリメイク、ピチピチTシャツに
ジーンズというなんの変哲もない出で立ちだったのにである。

険しい顔でIDカードの提示を求められさっそく
見せてあげた。
私が日本人だと知ると、さっきまでの険しい顔から
笑顔に変わったではないか!


婦人警官:「広東語勉強をしに来てるのですか?」
bebe  :「いいえ!」(きっぱり)
婦人警官:「北京語ですか?(汗)」
bebe  :「いいえ!!(きっぱり)
      私の夫がここで仕事しているから、ただ居るだけです!」

私が旦那の仕事で香港にいるだけで
香港にまったく興味を示していないと知ると
婦人警官の顔が少々曇った。←(ワザとそう振舞った)


やった・・
相手をギャフンと言わせてやったぞ
どうだ。前回の仕返しだ フッフッフッフッフ


しかし、なんで私が呼び止められなきゃいけないんだ?
バッチリメイクがいけないのか?
それともTシャツがいけなかったのか???
こんな普通の格好でさえ売春婦に見えてしまうのか?
はたまた、東南アジア系の濃い顔が密入国者の顔に
見えてしまうのだろうか。


そして、私は極力ボディーラインの出る
服を控え、以前のように貧乏臭い格好に
戻ったのだった。



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: