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2007.03.22
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カテゴリ: 読後感あれこれ
ちくま文庫/ 田村泰次郎傑作選『肉体の門』 のなかの一篇、 『肉体の悪魔』

私が読んだ『肉体の門』

一九四〇年から敗戦までの、一兵卒としての中国従軍体験は、
皇軍、聖戦という理念の虚妄を教え、兵士たちの犯す様々な罪業、
あらゆる惨苦を嘗める現地の人々の姿を透徹した眼差しでとらえることを強いた。
人間の持つ深い闇に錘鉛を下ろす戦争文学の数々は厭戦的であり、
また戦後の一時代を画した肉体文学は、敗戦後の混乱する社会をも
戦場の延長とみなすことで誕生する。田村泰次郎の戦争をめぐる名作を精選
(楽天ブックスより)

戦時中の中国で八路軍の女性と愛し合ってしまい、肉体関係を持つに至る兵士の話。
無論、官能小説ではないのに、
敵対する立場の男女の苦悩が、悲痛かつ官能的な迫力を持って読み手を圧倒する。


無言で体をぶつけ合うような行為が、硬い文章で綴られてゆくが、
明日死ぬかもしれない環境で、お互いの同胞を殺し合う(故に)恋愛感情も激しく募る。

殺意を抱くほど嫉妬に焦がれながら、なお女性より優位に(戦時中の立場ではなく)
立っているのだと思い込もうとする箇所などは、時代に関りなく不変の心理なのだろう。
現代にも相通じる男性心理のエゴ(か)

戦地の移動に際して女性と離れ、敗戦後生きながらえて日本へ戻り、
殺伐とした心境は虚脱状態でもあったはず。
ラストの描写はもの哀しい。

~焦土となった故国に送り帰され、いま亡国の関頭にあって、私はようやくにあの頃の
 君の苦悩がわかりかけている。私たちを近づけたものは、私たちを別れさせたものは
 何だろう。けれども、少なくも君だけはそういう運命に挑みかかった― (略)
 敗戦の街で夏空を見上げ、君に呼びかける「黄河大合唱」♪

 倆 家 在 那 裡(あんたの家はどこ?)

 倆 打 那 児 来(あんたはどこから来たの?)~


出版当時(昭和21年)も鮮烈だったのだろうが、今でも衝撃的。
現代の小説に比べ、非常にエネルギッシュで文章も簡潔だと思う。


田村泰次郎の経営した画廊は、州之内徹が引き継いだはずで、それを読んだせいか、
田村の他の戦記小説と、州之内の戦記小説のイメージが重なってしまった。
しかし、州之内のほうがずっと凄惨で残酷な描写ではある。

今では 『肉体の門』 だけが戦後の風俗小説として有名だけれど、
『堕落論』 に匹敵するような思想が籠る。
埋もれてしまうのは惜しいと思う。





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最終更新日  2007.03.23 00:53:50
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