地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2007.07.30
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「グーグル・アマゾン化する社会」 森健 2006/09 光文社 新書 253p
★★★★☆

「サイバージャーナリズム論」07歌川版 の中で、初めて 森健 という人を知った。 共著 も覗いてみたが、彼本来のキャラクターをうまくつかめなかった 。実質的には、この本が私の読んだ彼の初めての本と言える。

 さて、と読み始めてみて、まずびっくりしたのはネグリ& ハートの
「<帝国>」 「マルチチュード」 がでてきたことだ。もともとネグリ&ハートに触れている 文献はそう多くないのだが、このようなネット社会関連の文脈の中で触れている文献はさらに少ない。こういう言及のしかたこそ、私が求めていたものだった。

*マルチチュード、フラット化、群衆の叡智
 そんなウェブにおける奔流のような情報の流れを、「情報革命」と捉える向きは少なくない。
 「文字の発明」「員s夏技術の発明」という流れの三つ目に情報革命を置く見方もあれば、蒸気機関の発明による18世紀の「産業革命」、自動車のT型フォードに代表されるオートメーション工場の発達という20世紀初頭の「製造業革命」などに続いて起きた革命と整理する向きもある。
 視点はいろいろだが、従来の歴史にはなかった巨大なパラダイム変換が起きているという一点については、一致している。誰もが、これまでなかった大変化を感じており、その意味合いを論じている。
 たとえば、イタリア出身の哲学者アントニオ・ネグリと米デューク代のマイケル・ハートの二人も、そんな大変化を実感した人たちだ。
 二人は、冷戦崩壊以降のグローバリズムから起きる新しいかたちの帝国論をまとめた大著『<帝国>』(邦訳2003年1月、以文社)を1999年にものし、2001年9月11日の同時多発テロで新しい世紀を感じて、まもなく『マルチチュード』(邦訳2005年10月、NHK出版)という続編を著した。『<帝国>』で述べていた実体のない組織のありようを、「マルチチュード(群衆)」として急いで言及し直したのが後者のテーマだ。国単位ではなく、あちこちに分散化したテロリストグループとの闘いを象徴として、あるいは国家よりも力をもちつつある民間のグローバル企業の台頭や、イラク戦争の際にウェブで世界的に広がった反戦デモなどを象徴として、これからの世界を人々や組織がネットワーク的に離散集散する群衆の時代と捉えた。
p19

 この本にざっくりと目を通してみて、すこしづつこの著者のキャラクターが見えてきた感じがする。以前、私は彼について「適当にネットから情報を集めてきて、適当に切り貼りすれば、誰にでも作れそうなページのように感じた。」とあまりに失礼なことを書いている。

 ネグリ&ハートをここでこういう形で引用してくれたのはとてもありがたかったが、他の部分を読んでいくと、まさに彼の本こそ「グーグル・アマゾン化」していて、ほとんどが私がここのブログで読んできたことと重なっている部分が多いのだ。つまりどういうことか。

 私は、ブログを書いていくに当たって、いろいろ逡巡してきた。結局私のとっているスタイルは
1)ネット上の特殊な情報より、普通の市民図書館にあるようなありふれたコモンセンス的書籍を読んでいこう。
2)ネット上の責任が発生するほどの突っ込みではなく、適当なざっくり話でいこう。
3)適当なプラットフォームとなるようなデータベースができるまで、出会い頭の読書を続けてみよう。
 簡単に言えばそういうことなのだが、この本に書いてあることは、ある意味、私のような読書を続けていけば、この森健のような書物に行き着いてしまうのではないか、と思うのだ。つまり、私はこの本から初めて知った、というようなオリジナリティを感じないのだ。だから、どこかで読んだことのあるようなページがどこまでも延々と続いていく感じだ。

 だから文頭からネグリ&ハートがでてきたからといって、その部分を特徴的にフォーカスしているわけではなく、他の「はやり」の文献を網羅的に寄せ集めているに過ぎない感じがするのだ。それが本当かどうかは、もうすこし精読しないといけないが、どうも、そのイメージはぬぐえない。

 つまり、彼の見ている「社会 」は、
梅田望夫 が見たり、 佐々木俊尚 見たりしている世界となんら変わるものではない。しかし、彼から見た場合の「社会」の流れの中で、彼は、一人立ち、その流れに抵抗しているかのポーズを取る。一人立つことになんの異論はないが、「グーグル・アマゾン化する」ものとして、彼以外がある方向性に流れている事に対して、レジスタンスしているかのようなポーズをとる。

 本当だろうか。彼は「グーグル・アマゾン化」という言葉で、さも外的世界が、一つの世界を形成しているかのように見る。このような見方は、結果として、帰結する成果に大きな差異をもたらすに違いない。

 彼が「社会学的手法」を取ることに、私としては特に異論を挟むものではない。しかし、私はこの手法では、私の行きたい方向には行き着かない。私の行きたいのはスピリチュアリティの方向 なのであり、
レイ・カーツワイル いうところの 「魂」「意識」の世界だ。これを見つけるには、どれほど外部の「社会」を見ていても出会えない。人は一人の人間となって、「個」として存在しなくてはならない。そのためには内側を見つめなくてはならない。 ロバート・A.F.サーマン のような 形で「死」を見つめることが大事となってくるのだ。「死」は「社会」の中にはない。

 まずはそんなことをメモしておこう。もう少しゆっくり読んでみたい。

つづく





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Last updated  2009.02.11 20:49:15
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