地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2008.02.04
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カテゴリ: スピノザ


「わたしの哲学入門」
木田元 1998/04  新書館 単行本 427p 
No.970 ★★★★☆

田本は、何冊か読んできた。もっと順序よく読んでみればよかったかな、と思ってみたり、いやこれでよかったのだ、と思ってみたりする。哲学の世界では、一瞬一瞬のことを語るよりも、50年100年などは、昨日おとといの感覚で語られる。1000年、2000年も、ごくごく普通だ。2500年あるいはそれ以前のことなども、現在と並列に語られる。

 だから、木田の本は30年や40年に渡っていたとしても、ほとんどなんの違いもない。パソコンやインターネットの世界なら、10年前のマニュアルなどはほとんど役に立たない。いかに役に立たないかを、際立たせるためにだけ活用されるくらいだ。しかし、哲学の世界は・・・・・・

「哲 学」というのは、まったく奇妙な学問である。いや、「学問」と言えるかどうかさえ検討を要する学問であろうから、当面は「奇妙なもの」と言っておく方がよいのかもしれない。なにを対象にし、なにを主題にしているのかもよくわからない。範囲もはっきりしない。西洋という文化圏に固有なものなのか、もっと普遍的なものなのか。たとえば中国哲学とかインド哲学というのは本当に成り立つ概念なのか。それなら、なぜ日本哲学がないのか。なにもかにもがはっきりしない。しかし、そんなふうにわけの分らないものだと思いながら、哲学に関心がある、心惹かれる人は予想外に多い。それが百人に一人か千人に一人かはうまく言えないが、いつの時代にも哲学に関心をもつ人は必ずいるのである。 p11

 ここまで哲学とやらとランデブーして思うことは、割とその世界は広いようで、それほど広くないのだなぁ、ということ。言葉や概念、用語はとっつきにくいけれど、無限にあるわけではないし、むしろ限定して使われているために、その概念さえ分り始めると、それを自由にくみたてて遊ぶ レゴ・ブロック のようにさえ思えてくるから不思議だ。いじっているだけで楽しい。アヒルを作ろうが、飛行機ができようが、それはただのブロックに過ぎない。だけど、それが楽しい。哲学もそんなものかな、と、不遜にも思うようになってきてしまった。

学など関心をもたないですむ人は、そんなものはもたない方がいい。その方がたぶん生きやすいと思う。しかし、世の中には百人に一人か千人に一人か知らないが、かつての私がそうであったように、なんだかよく分らないまま哲学が気になって仕方がないという人間がいるものである。だが、そういった人たちもたいていは、哲学にうまく入りこめないでいる。 p394

 おっしゃっていることは、すごくシンプルな言葉であるが、御年80歳の哲学に人生をかけた著者にしてこの言葉がでてくるとなると、その意味するところの重さをどっしりと感じることになる。

れでは<哲学>とはいったい何であったのか、われわれは日本人がそれを学ぶというのはいったいどういうことなのか、われわれはいったい<哲学>にどう関わりあえばいいのか、といったことを考えてみたい。というより、こういう問題について、私がいったいどう考えているのかを述べてみたい。<哲学入門>どころか<哲学卒業>にもなりかねない話であるし、すでにあちこちで書いてきたことではあるが、これを述べておく必要でありそうである。 p397

 たしかに、考えてみれば、レゴ・ブロックはとても楽しかったけど、いつのまにか卒業してしまっていた。今、また手元にあったら遊ぶかも。でも、夢中になる度合いは、以前ほどではないかもしれない。

学はやはり、組み合わせたり、壊したり、イメージしたりして遊ぶには、かなり楽しいゲームだ。ガラクタに見えたようなものから、なんか不思議なものが出来上がることもある。そうとうの集中力も必要だ。なんだかとても魅力的でもあるし、いつかは私も「卒業」するなんてこともあるのだろうか。いやいや、まだ「入門」さえしていない感じもするのだが。

私は永いあいだ哲学の勉強をしてきながら、自分の勉強している<哲学>というものにいつも疑念をもちつづけてきた。むろん私もはじめのうちは<哲学>を、通常考えられているように、どの文化圏にもどの時代にもある世界観、人生観のたぐい、つまり普遍知だと考えていた。というより、ひたすらわが身一つをいかにするべきかにかかずらっていたその頃の私にとっては、哲学が普遍的であろうがなかろうが、そんなことはあまり気にならなかった、と言う方が当たっていよう。 p400

 まさに知的ジムナステッィクという感じがする。テンション&リリース。

うした思想的営みをおこなっていく上で、たしかに<西洋哲学>がいわば反面教師としてもっとも役立ってくれるにはちがいない。しかし、もうそれを必要以上に有難がったり、日本に哲学のなかったことを必要以上に恥じたりするにはおよばないのである。そうした視点で改めて日本人のこれまでの思想的営為を見なおせば、少なくともなにか別のものが見えてくるように思える。 p412

 おっしゃっておられることがよく分る感じがいたします。しかし、ここは地球人スピリット・ジャーナルでした。お言葉ですが、上でおっしゃっておられることは、なにも日本人に限ったことではないのかもしれませんよ。地球人は、よい意味で、そろそろ<哲学卒業>を体験する時期に来ているのかもしれません。

 などと、つぶやいてみたりする。






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Last updated  2008.02.04 23:15:36
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