「2012 地球大異変」
ローレンス E.ジョセフ , 東郷 えりか・翻訳 2007/12 365ページ 日本放送出版協会
Vol.2 No.0068 ★☆☆☆☆
「原書の原稿を手にしたわたしの第一印象は、とんでもない仕事を引き受けてしまったということだった。」p348という「訳者あとがき」が、この本を的確に表現しているのではないだろうか。このような本をNHKがなぜ出版しなければならないのか、理解に苦しむ。真面目に視聴料を払い続けることがイヤになる。「科学が予言する文明の終焉」というタイトルまではまだ許せるとしても、ものごとをすべて「2012」に収斂させようとする手口は、なんであれ噴飯ものであると、私は思う。
この本で唯一メモしておくべきことは、カルキ・バガヴァンに触れているところあたりか。
2012年に時が終わるという予言はもともとマヤ族のものとされるが、偶然の一致なのか、それに感化されたのか、いまではユダヤ教のラビからインドのゴールデンエイジ財団まで、世界各地の多様な分野にまたがる人びとが、その前後に大異変が起こると考えている。
「訳者あとがき」p350
「この世のおわりがやってくる」という類は、イエス・キリストから出口ナオまで、ありとあらゆる時代と地域で使われてきた手口だが、1999年が失敗すれば、2012年にスライドするだけで、さらには2050年とか、あるいはウンヌンと後伸ばしされて行くだけであろう。この手口がいつまでも根絶されないのは、人類はこの手のトリックに「ひっかかりたがっている」からなのだろう。
ヒンドゥー学者はカリ・ユガとして知られる現在の時代の始まりは、クリシュナ神の肉体が死去した日、つまり紀元前3102年2月18日の真夜中までさかのぼるとする。これは紀元前3114年8月13日というマヤの始まりのときと驚くほど近い。カリ・ユガ、または堕落の時代の終わりには、カルキというヒンドゥー版の救世主がやってくる。カルキは、ヒンドゥーの三最高神の一つ、ヴィシュヌの10番目で最後の化身だ。ヴィシュヌ、ブラフマー、シヴァは、ヒンドゥーの三位一体とも呼ばれる最高神を構成する。カルキは邪悪な者に裁きを受けさせ、新しい黄金時代を迎え入れる。しかし、その黄金時代は西暦42万8898年まで始まらないとされるので、誰もあまり心配していない。
それも、スリ・カルキ・バガヴァンが数年前に登場し、彼の遁世僧院をこれまたマドラス/チェンナイ郊外に建てるまでだった。そこは実は、1991年にラジヴ・ガンディが贈り物を差しだされた場所からさほど離れていない。爆発のあと見つかったものは、彼のテニスシューズだけだった。
カルキ---彼はそう呼ばれるのを好んでいる---は、自らをヴィシュヌの10番目で最後の化身だと称し、黄金の時代は、多くの苦しみと動乱のあと、2012年に始まると宣言している。カルキはマヤの予言を信じており、宗教的支配層であるバラモンからは大いに不評を買っている。彼らは、この元保険会社員を詐欺師とする裁判を支持した。裁判はインド最高裁まで争われたが、カルキはひるまない。世界各地からの100万を超える信奉者---その多くは彼の急速に拡大する施設に詰め掛けている---の助けを借りて、彼と妻のアンマはゴールデンエイジ財団、ワンネス大学を経営し、ワンネス寺院を建設している。これはアジア最大の柱のない建物になると言われている。幅広い世界を対象とした彼のグローバル・ワンネス・ウェブはワールドワイドウェブのサイトのなかでも最大規模のものだ。
カルキは2012年に関する彼の予言を金星の通過と結びつけている。金星が太陽を通過するのは、つまり、地球から見て太陽面を横切るのは、一世紀に二度以下である。最後に通過したのは2004年6月8日の6時間ほどで、次にそうなるのは2012年6月6日だ。-----
(後略) p305
訳者がノッていないからなのか、著者がア*なのか、引用されている団体がマタゾロ同じ手口で夜店を開いているのが見え見えなせいなのか、とにかく転記しているこちらが、ア*臭くなる。まぁ、寡聞にして、この団体の資料もすくなく、触れている本も少ないが、ひっかかっているノー*リン連中は少なくないので、当ブログとしては、回りくどいが、この団体に対する態度を表明しておく必要はあるだろう。

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