「目覚めよ仏教!」
ダライ・ラマとの対話
上田紀行2007/06 日本放送出版協会 全集・双書 230p
Vol.2 No.0111 ★
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素晴らしい一冊。この時期、ぜひ読みたい。 「がんばれ仏教!」
の続編
ダライ・ラマ
・・・ 今日の社会では二つの社会主義のカテゴリがあります。社会主義のシステムに則りながら、より自由や民主主義を尊重するという、たとえば、スウェーデンやほかのヨーロッパの国々のような社会民主主義が第一のカテゴリーです。
そして、第二の社会主義のカテゴリーは以前のソビエト連邦であるとか、中国といった国々です。もっとも中国はいまではもう社会主義とはいえないですね(笑)。そして北朝鮮ももう社会主義とはとうてい呼べない代物です(笑)。
「アイ・アム・レフティスト。私は左翼ですから。」p61、と断言するダライ・ラマ。
ダライ・ラマ ・・・
私自身が社会主義者であるだけでなく、左翼系の人間であり、共産主義的でもあるからです。ソーシャルエコノミーの理論に関していえば、私自身はマルキストといってもいいでしょう。もしかすると私はいまの中国の指導者たちよりもずっと左翼系ですよ(爆笑)。中国の指導者たちはもはや資本主義者ですから(笑)。
p60
きわめて重要な対談であり、きわめて重要な記録だ。だが、よくよく考えてみると、このお二方の対談から飛び出す言葉やビジョンとしては、読者の想像を軽く超えた新境地とはいえがたい。ある意味では、お二方のいままでの活動や言説をすこしでも知っている人たちになら、なんの当たり前のことの確認でしかない。こういう対談の形になって、初めてこれらの本を読む人達にこそ読まれる本であろう。とくに、日本の仏教人たち。
ダライ・ラマ
・・・私は、チベット人であれ、中国人であれ、日本人であれ、皆、仏教徒であるならば、21世紀を生きる仏教徒にならなければいけないと思います。つまり、宗教を受け入れて、それを信じていくのであれば、仏教の教えている教義の意味を知ることが大切であり、意味を理解してはじめて、私たちは、その宗教に対して真摯な姿勢で信心をし、実践していくことができるわけです。もし、そういう部分が欠けてしまうならば、宗教に信心をするというのは単なるファッションのレベルにとどまってしまうのではないかと思います。
p77
しかし、結論として言えることは、まずは自分自身の中にくつろぐこと、そして 自燈明
として、自分自身の光を掲げて、一歩づつ歩き始めるしかないのだ。
上田
・・・・高価な外国車を何台も持つとか、手にはたいへん高価な時計をキラキラはめているとか、毎晩芸者と遊んだりして、とてつもないお金を使うような僧侶がいるわけです。そういうことをしても、それは執着を離れているゆえなのだから許される、というようなことをいう。 p93
当ブログとしては、この部分はなかなか心穏やかには通り過ぎることはできない。93台のロールス・ロイスを日替わりでドライブしたり、腕には模造ダイヤモンドをちりばめたスウォッチをはめていたり、世界から集まってきた美しい人たちと毎日瞑想していた御仁をマスターとしているからだ。本書では表現としては、物質主義VS精神主義のようなとらえ方をしているところもあるが、Oshoのいうようなゾルバ・ザ・ブッダ=物質的にも精神的にも豊かな存在を、当ブログはよしとしている。
ダライ・ラマ
チベット人社会でも同じようなことがあって、アメリカに住んでいる高僧たちのなかには、自分は非常に高いレベルの悟りを得ていて、たいへん高度な修行をしているのだから、どんなことをやってもかまわないといって、実際面の行いでは、さまざまな俗人のやるようなことを何でもかんでもやってしまうということが実際に起きています。
p95
さて、この部分は誰のことを言っているのだろうか。チョギャム・トウルンパのことだろうか。あるいは、他のだれかだろうか。
道ばたに露出している岩には、至るところにチベット仏教文字で刻印がしてある。 「オム・マニ・ペメ・フン」
、観音菩薩の真言であり、人々が観音菩薩の慈悲に心からの感謝を込めて唱える言葉である。その真言は一文字一文字が、白、緑、黄色、赤、青であざやかに彩色されているので、道を歩いてうちに文字酔いのような不思議な気分になってくる。
「対談を終えて」
p211
貴重な対談であったことは間違いない。そして、今回の北京オリンピックがらみで初めて「Free Tibet」の動きを感づいた人たちがいるとするなら、その人たちにこそ、このダライ・ラマのタイムリーなメッセージが届く可能性がある。
いま日本の仏教者の皆さんが、仏教の教えをより厳密に探究することに全力を傾注し、仏教の伝統を復興されることは、きわめて重要であり、挑戦に値することであると私には思われます。古来からの仏教思想と日本の現代性の結合こそが、いま真に求められていることなのです。 ダライ・ラマ
「日本の読者に向けて」p228
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