地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2008.10.25
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カテゴリ: スピノザ


「マンダラとは何か」 <1>
正木晃 2007/08 日本放送出版協会 全集・双書 283p
Vol.2 No.345 ★★★★★

「マンダラをさらに深く知るために」 読書リストのトップにある限り、まずはこの本を読まなくてはならないだろう。ましてや、同じ著者によるインテークである。ただ、 「増補チベット密教」 の増補部分と書かれた時期が重なるので、内容的にはかなりの部分、繰り返しになっている。

 先日、なんの脈絡もなく 「マンダラ事典」 なる本を読んで、すこしイラついた自分を思い出した。マンダラはマンダラとして、独立した美術品的な存在とか、突出した文化現象としてみてしまうことには、私はやや批判的だ。マンダラは、方法論であり道具だ。なんとかとハサミは使いよう、とは言うけれど、マンダラも使われ方によっては、方向性が全く違ってしまう。そのような意味では、マンダラをどのように使ったらよいか、いまだにつかみかねている自分にイラだっていた、ということになろう。

 たとえばOshoにおける 「マンダラ瞑想」 において、外的な幾何学的な美術品であるいわゆるマンダラ画像などは使われていない。この辺の理解を進めていかないと、マンダラという「美術品」に引きずり回されて、いたずらに徒労感をもつだけに終始してしまう可能性もあるのではないか、と危惧する。

マンダラ成立史の第一人者とされる田中公明氏は、マンダラをこう定義する。
 仏教で信仰される尊格(仏神)を、一定の幾何学的パターンに配置することで、仏教の世界観をあらわしたもの
 さすがに第一人者だけあって、この定義は簡潔で、とてもわかりやすい。しかも、よく的を射ている。私も、狭義のマンダラに関する限り、もっとも基本的な定義としては、これを採用した。
 いっぽう、マンダラがもつ機能に強い関心を寄せる仏教学者である立川武蔵氏は、1500年にもおよぶ歴史を考えると、そう簡単に定義はできないと断ったうえで、マンダラの本質にまつわる要件を三つあげている。
1)仏菩薩や神々、もしくはそのシンボルが配置されていること
2)仏菩薩や神々が住む場所があること
3)そういうマンダラを見ている人間がいること  
  p18

 現在の日本におけるチベット密教研究の中において、田中公明、立川武蔵、正木晃、という三者を抜きにしては、何事もすすまないので、この三者による、おおまかな「合意」は、ひとつの大きな定義であると考えてもいいだろう。

 しかし、私は研究者でもなければ、学者でもない。あるいは密教者でもなければ、狭義でいうところの仏教者でもない。私がチベット密教やマンダラに近づくにおいて、自らの立場をいまいちど確認していかないことには、いたづらにこれらに近づくことだけでもリスクをともなうものであるし、無意味でもあるだろう。

 とくに立川言うところの「3)そういうマンダラを見ている」「人」が問われなくてはならない。当ブログにおいては、これ以上読み進めるには、まずは、マンダラを単独なものとしてみることはできない。マンダラは、密教、とくにチベット密教へのアプローチとして学ばれなくてはならない。そして、その中において、大日如来とアバター多火手のシンパシーの進行度によっては、最適な距離間がつねに維持されなくてならないだろう。

 私のマンダラ研究は、たぶんに現代の精神医学とかかわっている。このあたりが従来型のマンダラ研究者からすると、邪道といわれかねない点かもしれない。
 しかし、「マンダラは現代社会に寄与できるか?」という問いのみならず、「マンダラとは何か?」という問いもまた、現代の精神医学とはまったく無縁では成り立たないという確信が、私の胸中をにある。マンダラを、あえて「教義のマンダラ」と「広義のマンダラ」に分け、その両者に関心のまなざしを注いできた理由も、同じ理由による。

 マンダラ・パターンと精神医学ということでいえば、私はまず浅利篤の自由想画法のなかの 「のどの構図(頸喉投影)」 を思い出す。現在は色彩心理学者と称している 末永蒼生氏 などのリードで、この色彩心理診断法を学んだことがある。詳細はさけるが、つまり、子供たちが自由に描く絵のなかにはたくさんの秘密が隠されていて、その基本は、体と顔と喉のパターンの三つに分かれているというのである。

 とくにこの喉のパターンは、喉の輪切りがもとになっているのではないかということであった。体と顔をつなぐ喉、マントラを唱えるときに、頭から体に伝える神経系のすべてが詰まっている喉。その喉がヴァイブレートすると、体全体に効果が現れるという。この喉のパターンがマンダラ・パターンと呼ばれていたのは、とても興味深いものであった。

 当ブログにおいては、正木言うところの「教義」のマンダラを追いつつ、本当に関心があるのは、当然「広義」のマンダラだ。そして、そのマンダラも、マンダラという文化領域を離れて、もっと神聖幾何学のようなもにつながっていくのではないか、という予感と期待観をつよくもっている。

 たとえば、当ブログが2007年度に読んだ約1000冊の読書ワールドを 「地球人スピリット・ジャーナル曼荼羅2007」 と表現しておいたが、その中心に 座している一冊 は、 「 フラワー・オブ・ライフ」 である。実は、この古代神聖幾何学へのスライドを虎視眈々と狙っているのである。

 正木は「マンダラ塗り絵」というものを開発している。色や形にもそれぞれの意味を付与している。上記の浅利式色彩診断法などと対比したら、これは結構おもしろいことになるかも知れない。

<2>につづく






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Last updated  2009.01.30 22:01:45
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