ぶたりしあす

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唇2~俺とTakeru~ ”俺”からの視点編


何を考えているのか分からないが、あいつの心臓の鼓動が聞こえてくるような気がした。なんだか、ちょっと緊張した面持ちで俺を見つめていた。それが、いい意味でだったのか、悪い意味でだったのか、俺の単純な頭じゃ読み取れなかった。

あいつは年ばかりは全然下だけど、俺なんかより全然頭が冴えている様な気がする。気がする、ってより冴えていた。考えていることも一般的な人よりよっぽど大人だった。時々遠くを見る瞳が寂しすぎて、どこか果敢無くて、このままあいつを失ってしまうんじゃないか、って思う時もあった。考えすぎかもしれないが、そんな俺以上に奴の頭は働いていることを知っていた。

そんな事を、頭に思いながら愛しいあいつとどの位キスをしていただろうか。あいつが急に俺の耳元に何かを言った様な気がした。実際は、息を吹きかけただけなのかもしれないが、その聞こえた様な言葉がいやらしくて、俺の吐息は荒くなる。
今度は俺があいつに何かしたくて、乳首を色んな方向に弄ってみる。意外な好反応。そんなお互いの肢体を弄んでいると、急にあいつは手錠で縛りつけた。途中で目隠しまでされて、これから何が起こるのか、ちょっとの不安と大きな期待と、そんな変な感情で、吸っている空気も空気じゃない気がした。

暗闇でたけるの身体を想像する。
やっぱり、アジアの人間、って言うのかな。身体の作りも繊細で。凄くほっそりしていて、無駄な筋肉って言うのが無くて。長身ながらも小柄な身体には似合わず(ま、意味的に矛盾しているんだけどさ)、俺のなんかより全然持っているモノとかも大きくて。
・ ・・って、そんなこんな考えているうちにもあいつは、俺のモノを美味しそ
うに口に含んでいる(んだと思う。実際目隠しされて、分かったもんじゃない)。あいつの絶妙な舌や手の動きのせいで、俺は声まで出してしまう。もう、俺の頭には奴と身体で一つになることしか考えられなかった。口に出していいたいが、声にならない。緊張とか、そんなんじゃなくて、こういう行為って、言葉で伝えるものじゃないんだ、って、なんか自分なりの変な定義があって。

急にたけるが目隠しと手錠を取る。
奴のいやらしい目に哀願する。目で全てを訴える。いつだか、自分は目が一番物を言う事に気づいてしまった。
分かったよ、という意地悪な目をした小悪魔の様な天使は俺の穴に、ゆっくりと挿入しようとする。
ちょっと大きいあいつのモノを入れるのにはちょっとの苦痛が必要だったけれど、すぐに痛みが極楽になる。
全てが一つになった時、俺はあいつに、あいつの前で蕩けてしまうのではないか、と思う位不可思議な、だけど素敵な気分になる。
吐息が喘ぎ声に変わる瞬間、あいつが俺に目で訴える。あいつもやっぱり目で哀願する。もうすぐ、奴に絶頂がくることを悟る。
俺ももう少し。そう、首で合図をした。
・・・やばい、って声があいつの口から出たとき、俺も絶頂を迎えた。穴に押される振動と、興奮のせいで自分の精液が口まで飛ぶ。
自分で自分のを飲むなんて莫迦みたい。そう思うと同時に軽い腹痛が俺の身体を襲う。
わりぃ、ちょっとトイレ・・・。

トイレから戻って来た俺はベッドで横になっているたけるを見て、自分はあいつの事を本当に好きなんだ、って思った。なんでか、とかよくわかんねえし、意味とかも考えたわけじゃないけど、本当にいとおしくて。こいつさえいればいい、って素直に思った。あいつの唇に、やっぱり引き寄せられるように、キスをして、時間が止まってくれ、って、ちょっと頭で泣きながら願った。



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