世界で一番愛する人と国際結婚

初デートで彼が脈ありかどうかを見極める




返事は帰国直後に書くことにして、私はタイに旅行に出たのだが、
彼のことが頭から離れなかった。
のんびりとしている間にも、他の女性に持っていかれたらどうしよう、と。


6日間のタイ一人旅の予定だった。ところが出発前に急用ができ
てしまい、予定を繰り上げて4日間で帰国することになった。
帰国後すぐにメールをした。


『今、帰国しました。私は来週の月曜から新しい会社に
入社します。英語で書かないといけないアプリケーションフォーム
があるのですが、分からないことがあるので、
教えていただけたらありがたいのですが。。。』


そのようなメールを出してみた。


米系金融会社に就職が決まっていた私は、英語のぶ厚い
フォームを提出しなければならず、分からないことはなかったが、
自分で書くのが面倒だと思っていたのは本当だった。


またしても、返事はすぐに来た。


『お帰り。タイはどうだった?英語の手伝い?僕にできることなら喜んで。
日曜日の午後なら空いています。もしよかったら、ホテル○ーク○の
ロビーで会いませんか?何時が都合いいですか?』


ホテル○ーク○は、彼のマンションのすぐ側。
私は最寄駅まで電車で15分くらいかかる。徒歩を入れたら
ドアツードアで30分もかかる。


どうして。冗談じゃないわよ。
私の家の近くまでいらっしゃいよ。


と、普段ならそう思うし、ましてや物を頼んでおいてでも、
興味のない男になら絶対にそんな遠くまでわざわざ行かない。


しかし惚れた弱み。私は、


『ありがとうございます。では、ホテルのロビーで
○時にお待ちしております。楽しみにしています。』


メールした。 彼も楽しみだとメールがきた。
明後日の初デートに備えて、着ていく服をあえこれ考えた。



当日は、英語のアプリケーション・フォーム、
行ってきたばかりのタイの写真、
2ヶ月前にインドに旅行した時の写真も持っていった。


話が続かなくなった時の救世主になると思ったからだ。


私達は、待ち合わせたホテル内のラウンジでお茶を飲んだ。


明るいところで彼の顔を見る。
へえ、こんな澄んだ淡い青の瞳をしていたのか。
なんだかいつも笑っているような優しい目をしているな。
こっちまで自然に微笑んでしまう。
サラサラしたブロンド交じりの茶色の、きれいな髪だなあ。
でも、ごつごつした大きな手だなあ。


最初から口実だった英語のアプリケーションフォームは
さっさと終わらせ、その後はずっとブランと話をした。


彼はお昼過ぎまで仕事だったので、終わってすぐに
来られるようにと、自分の家に近い場所を指定した
ことも分かった。


自分でも驚くほど話が弾んだ。
持って行ったタイやインドの写真を見せる暇はなかった。



気がついたらもう夜だった。

食事をしないか、と誘われ、同じホテル内のレストランで
Dinnerをすることになった。
通されたテーブルで、 彼は私の向かい合わせではなく、隣に座った。


一体、何を話したのかよく覚えていないが、トータル
4、5時間は一緒にいたはずだ。


なんてかっこいい人だろう。なんという素敵な人だろう。
私達は何度も見つめ合っては微笑みあった。


ドキドキしているのに、 何故か居心地がよくて、もっともっと
一緒にいたいと思った。

お互いがそう思わないと、ああいう気持ちにはならないと思う。



レストランを出ると、すっかり夜だった。
いつの間にか会計も済ませてくれていた。


外に出るためのエスカレーターに乗る時、 彼が私の手をとった。
大きな手だった。そのまま手をつないで、駅まで送ってくれた。


永遠に続いて欲しい坂道もあっという間に、最寄駅に
着いてしまった。 小さなハグの後、ブランがそっとキス
してきた。
夜のXXX駅の前で。


帰りの電車の中の私は、嬉しくてニヤニヤしっぱなしだった。
彼も私に気がある。確かな手ごたえを感じた。


つづく


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