音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年05月14日
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 ギタリストとしてのエリック・クラプトンの最高作はどのアルバムか。意見は様々あるだろう。ジョン・メイオール&ブルースブレーカーズでの 『ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』 は、明らかに最初の頂点の一つだろうし、 クリーム時代 の諸作を外すことはできないという人もいるだろう。また、レイドバックした『いとしのレイラ』(デレク&ドミノス)のプレイがいいという人も多いかもしれない。けれども、今回は少し違った角度から、クラプトンのギターを楽しんでみたい。

 『エリック・クラプトン・ライヴ(原題:E.C. Was Here)』は、1975年発表のライヴ盤である。周知のようにクラプトンは、ヤードバーズやブルースブレーカーズでの活躍によって、若くして功を成し名声をとどろかせ、20歳そこそこで「神」とまで形容されるようになった。その後、クリームで成功を収め、クリーム解散後はブラインド・フェイスやデレク&ドミノスといったグループへと活動の場を変えていくが、やがてドラッグに溺れ、一時は覇気を無くしていった。そんなクラプトンがようやく立ち直り、今度はソロとしての成功を収めていく過程で生み出されたのが『461オーシャン・ブールヴァード』(1974年)や、 『安息の地を求めて(There’s One in Every Crowd)』 (1975年)といった諸作であった。このソロとしての成功に伴って、クラプトンのミュージシャンとしての力点は、ギタリストからヴォーカリストよりに変わっていく。

 この『エリック・クラプトン・ライヴ』は、そんな中、ちょうど上記2枚の間にリリースされたもので、1974年と75年のツアーの音源からセレクトされたライブ・アルバムである。このアルバムの演奏は、まぎれもなく、ギタリストとしてのクラプトンという側面を存分に聴かせてくれるものである。上記のような経緯を考えると、アーティストとして次のステップに行く上で、これまでの整理をつけたのかと思わせるようなプレイである。レコードでは片面3曲ずつの計6曲、つまりはいずれも長尺の演奏である。どの曲も捨てがたいのだが、のっけから、1.「愛の経験(ハヴ・ユー・エヴァー・ラヴド・ア・ウーマン)」での、のっけから前面に出てくるギター演奏が聴いていてぞくぞくする。アコースティックでスタートし、最後はエレクトリックで終わる3.「ドリフティング・ブルース」の盛り上がりもなかなかいい。5.「ランブリング・オン・マイ・マインド」(後年にまとめてカヴァー集を出すことになるロバート・ジョンソンの曲)でのソロ・プレイも鬼気迫る迫力ものである。アルバムを締めくくる6.「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」では、ノリのいいリズムに乗って得意のギター・フレーズ群を矢継ぎ早に弾きまくる。

 以前にも述べたように( 『ミー・アンド・Mr・ジョンソン』 の項を参照)、クラプトンのギター・プレイはブルースそのものではない。ブルースを極めようとしながらも、良くも悪くもブルースとは明らかに違う方向に行き着き、結果として、新しい世界を開拓するに至ったと言っていいと思う。そのクラプトンのギターの世界を堪能するなら、本盤はうってつけだ。ちなみに、裸の女性の後ろ姿に「E.C. Was Here」と赤色の字で記されたジャケットは、正直、趣味がよくない。他のアルバムのジャケットと一緒に並べられていたら、敢えてこれを買おうという意欲はわかないかもしれない(実は筆者もこのジャケのせいで、長らく避けていたという過去がある)。しかし、ジャケのイメージと中身は全く違っている。クラプトンのギターを堪能したい、あるいはその凄さを実感したいと思う人には、二重丸の推奨盤である。





1. Have You Ever Loved a Woman
2. Presence of the Lord
3. Driftin' Blues
4. Can't Find My Way Home
5. Ramblin' on My Mind
6. Further on up the Road

1975年リリース。





Eric Clapton エリッククラプトン / Ec Was Here 輸入盤 【CD】





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