音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年12月30日
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 1970年代の半ば、リッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)はディープ・パープルを脱退して、新たなバンドを形成する。この新バンドは、リッチー・ブラックモアズ・レインボー(Ritchie Blackmore’s Rainbow)→ブラックモアズ・レインボー(Blackmore’s Rainbow)→レインボー(Rainbow)とバンド名を少しずつ変えながら、1984年まで続いた(後に、1995年にはリッチー・ブラックモアズ・レインボウとしてさらに1枚だけアルバムをリリースしている)。

 活動当時、ブラックモア自身はあくまでバンドの一メンバーに過ぎないと明言していた。けれども、メンバーの入れ替わりや音楽性の変遷を今になって振り返ってみれば、彼のワンマン・バンドもしくはソロ・バンドと言える性質のものであったことは否定のしようがない。最初はバロック的様式美を採り入れたハードロックを志向していたが、セールスは思うように上がらなかった。やがてメンバーも変遷する中で、次第にポップな要素も取り込んでいった。本盤『ダウン・トゥ・アース(Down To Earth)』は、その転換点とも言える内容である。様式美ハードロックのある種の仰々しさは、このアルバムの前の段階でも徐々に薄れてはきていたが、劇的にキャッチーな方向に向いたという意味では、この作品がバンドの転換点となった。なおかつ、バンド形成時以来のボーカル(ロニー・ジェームス・ディオ)が脱退し、代わりにグラハム・ボネットという野太い直球タイプのボーカリストが加入している(とはいえ、その後、グラハムはまもなく後任のジョー・リン・ターナーに入れ替わる)。

 レインボー・ファンの間では賛否両論がある盤と言われるが、一人のロック・ファンという立場で見た場合、実に出来のよい、質の高いアルバムだと思う。結果的にバンドの代表曲として認知されることになった5.「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」のポップさからアルバム全体を酷評する人もいる。しかし、この曲はむしろアルバムの中で例外的な曲調(それがバンドのヒット曲=代表曲と見なされるようになったのは皮肉な結末でもある)。実際、この曲だけがカバーで、残りはオリジナル曲が占めている。おまけにこの5.の収録をめぐっては、この曲をやりたがったリッチー・ブラックモアに対し、ドラムのコージー・パウエルは断固反対し、一説によれば殴り合いの大喧嘩になったとの噂もある(結局は録音がなされ、パウエルはまもなくバンドを脱退した)。

 さて、残るオリジナル曲はいずれもリッチー・ブラックモアとロジャー・グローヴァー(ベース)の共作。オリジナル曲の中で目立ってキャッチーなのは、1.「オール・ナイト・ロング」だが、残りの楽曲はさほどポップではないし、バンド当初以来の様式美的要素もところどころに残している。その中で、ややダミ声気味ではあるがストレートなボーカルを披露するグラハム・ボネットと、ギターは相変わらず冴えまくるリッチー・ブラックモアが持ち味を発揮している。例えば、2.「アイズ・オブ・ザ・ワールド」のソロなどは個人的にはお気に入りだ。 

 アルバムのハイライトは、上記の2.「アイズ・オブ・ザ・ワールド」、および8.「ロスト・イン・ハリウッド」。8.はスピード感のある曲で、ポップさも適度に心地よく、G・ボネットのボーカルも曲のイメージに合っている。強いて難点を挙げるならば、全体を通して聴いたときに楽曲のイメージに若干のばらつきを感じることだが、バンドの転換点ということを考えれば、今となっては当然こうならざるを得なかったのかもしれない。それにしても一つ一つの楽曲の演奏はレベルが高く、ロック史的にはなかなかの名盤の部類に入る一枚だと思う。



[収録曲]

1. All Night Long
2. Eyes Of The World

4. Makin' Love
5. Since You Been Gone
6. Love's No Friend
7. Danger Zone
8. Lost In Hollywood

1979年リリース。





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