音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2013年03月19日
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カテゴリ: 動画紹介
スプリングスティーン曲の名カバー(その8)


 ボスと言えば「ボーン・イン・ザ・USA」( 同名アルバム 所収の80年代のヒット曲)というのは、あまりにありきたりなイメージかもしれないけれど、そもそもこの曲をすすんでカバーしようというアーティストはあまりいないのでは、と思ったりもします。理由は2つあって、1つはヒット・ナンバーとしてあまりにイメージが出来上がっている曲であること。もう1つは、パフォーマー(曲の解釈者)として、突き詰めれば突き詰めるほど重たすぎるメッセージの曲であること。サビだけだと“アメリカ万歳”な感じがするかもしれませんが、実際にはヴェトナム帰還兵を題材にし、わかりやすく言ってしまえば“アメリカ人に生まれちまった”という、米国の陰の部分に疑問を投げかける歌なわけです。

 アメリカン・ロックの世界でこれができる人物の筆頭はと言えば、やはりジョン・メレンキャンプ(John Mellencamp)ではないでしょうか。インディアナに生まれ、都会的とは言いがたい雰囲気ながらも若者のヒーローかのような不本意な売り出され方(当初はジョニー・クーガー、ジョン・クーガーという芸名だった)をしながらも、次第に泥臭く、心情を吐露するタイプの音楽(参考過去記事: 『ビッグ・ダディ』 )を発表するようになっていきました(その過程で芸名もジョン・クーガーからジョン・クーガー・メレンキャンプ、さらにはジョン・メレンキャンプと名乗るようにもなりました)。アルバム等ではリリースされていない音源だと思いますが、2009年、ケネディ・センターでのB・スプリングスティーンを前にしての演奏の模様をどうぞ。





 途中、楽器が入ったアップテンポになったところで、少々盛り上がり気味の聴衆がいますが、きっとその人たちはこの曲の本当の意味を理解できていないのでしょうね。それに対し、原作者のスプリングスティーンは、アコースティックに迫るジョン・メレンキャンプの歌を胸に刻み込んでいるように見えます。“うまいことやられた”と思ったか、はたまた“意図を汲み取ってもらえた”と思ったか、あるいはその両方が混ざった感じだったのかもしれません。

 このことは、 こちらの過去記事 で取り上げた、スプリングスティーンの初期のアコースティック・ヴァージョン(『ネブラスカ』制作時のアウトテイクで、後に『トラックス』に収録)も併せて聴くと、よくわかるのではなでしょうか。





 当初、スプリングスティーンが意図していたのはこういうイメージの曲だったわけです。それも全部ひっくるめて考えれば、ジョン・メレンキャンプの解釈とパフォーマンスは見事ですね。




[関連記事リンク]

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スプリングスティーン曲の名カバー(その9:デイヴ・エドモンズ)

スプリングスティーン曲の名カバー(その10:ザ・バンド)













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Last updated  2013年03月25日 07時56分15秒
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