音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2014年09月12日
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 ポール・バターフィールド(Paul Butterfield)は、シカゴ生まれのブルース・ロック/ホワイト・ブルースの雄(1987年に44歳で没)。1965年のデビュー作 『ザ・ポール・バターフィールド・ブルース・バンド』 の後、翌1966年に発表されたのがこのセカンド作にして代表作とされる『イースト・ウェスト(East-West)』である(なお、このリリースの前月には彼らの演奏を含む前年の録音盤 『ホワッツ・シェイキン』 もリリースされている)。

 特筆すべきは、リーダーのP・バターフィールドに加え、ギタリストのマイク(マイケル)・ブルームフィールドが引き続き参加している点で、ブルームフィールドは本盤の後、ジ・エレクトリック・フラッグの結成、さらにはアル・クーパーの誘いで『スーパー・セッション』に参加と、バンドからは脱退し、独立して活動するようになる。他方、前作のシカゴ・ブルースっぽさを引っ張っていた黒人系ドラマー、サム・レイは、ビリー・デイヴンポート(この人もまたウィリー・ディクスン、マディ・ウォーターズなどブルースに関わるドラマー)に交代している。全体として、初作よりも“ブルース”から一層“ブルース・ロック”になっているという漠然とした印象があるのだけれど、このドラマー交代によるのか、はたまたM・ブルームフィールドの陰でいい味を出しているエルヴィン・ビショップの影響なのだろうか。

 個人的趣味で聴きどころを挙げるならば、まずは、1.「ウォーキン・ブルース」。後に 『ポール・バターフィールズ・ベター・デイズ』 (1973年)に再録されているが、こちらが彼らの演奏としては元祖。元々はロバート・ジョンソンの曲だが、彼らが演ると不思議なほどカッコいい。

アルバムの山場としては、LP時代のA面、B面のそれぞれを締めくくる長尺曲が聴き逃せない。前半締めくくりの5.「ワーク・ソング」は、キャノンボール・アダレイ(『ゼム・ダーティ・ブルース』に収録、参考過去記事 (1) (2)

 もう一つの長尺曲は13分越えの大作である表題曲の9.「イースト・ウェスト」。本盤のハイライトにして、クリーム(エリック・クラプトン他)やオールマン・ブラザーズ(デュアン・オールマン在籍期)など優れたジャムと並ぶ名品と言っていいように思う。最初にエルビン・ビショップのギター・ソロから始まり、続いて、ポール・バターフィールドがハーモニカを聴かせ、その後にマイク・ブルームフィールドの圧巻のギター・ソロ(このソロの出だしがまた絶妙にカッコいい)。そして終盤のギター共演がまた盛り上がる。途中、バターフィールドのハーモニカといい、ブルームフィールドのシタール風ギター・プレイといい、どこかしらオリエンタルな風情があるので、“イースト・ウェスト”というタイトルなのだろうか…。それはともかくとして、とにかく熱くて濃密な名セッションで、ブルース・ロックが好きならこれを聴かずに墓場には行けない、といいたくなるほどの大名演だと思う。



[収録曲]

1. Walkin' Blues
2. Get Out of My Life Woman
3. I Got A Mind to Give Up Living
4. All These Blues
5. Work Song
6. Mary, Mary
7. Two Trains Running
8. Never Say No
9. East-West








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Last updated  2014年09月12日 08時01分17秒 コメント(2) | コメントを書く
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