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BLUE ODYSSEY
第7話 委員長の恋 act.11~20
委員長はだんだん怖くなって来て、今日ここで会う筈のクラスメートに携帯から電話した。
すると相手は、
委員長「もしもし、今ね……。」
「あっ!委員長?!!今大変なのよ!”ロジャー・スチュアート”が来日したの!」
委員長「え?あのう…。ロジャー・スチュアート??」
携帯の向こうでは人ゴミでも出来ているのか、雑音のようにたくさんに人の声が聞こえる。また受信状態も悪いようだ。もみくちゃにでもされているのだろうか?衣服のすれあう音がする。
「知らないの?ロジャー・スチュアートよ!全米ヒットチャートナンバー1の。今人気急上昇中なの!
今日いきなり緊急来日したらしいわ!私達が空港のターミナル駅に通りかかったら偶然それに出くわしたの!
ね、ね!委員長もここに来ない?」
委員長「えーーーーー?!悪いけど……私、興味無い。」
「えーーーーー!!興味ない?
ロジャー・スチュアートよ!ロジャー・スチュアート!
私達、これから”おっかけ”するわ!悪いんだけど、今日の予定はキャンセルして!
ゴメン!後でまた埋め合わせするから!」
携帯の雑音は大きくなり、相手の声が聞き取りにくなった。
「きゃーーーー!きゃーーーー!」と叫ぶ女の子達の声が断続的に聞こえる。
「現れたわ!」
「きゃーーーー!きゃーーーー!」
口々に女の子が叫んだ。そして雑音が最高潮になり、携帯は突然ブツッと切れた。
委員長「もしもし!もしもし!」
それっきり、うんともすんとも言わない。
まるで人ゴミにもまれて携帯が壊れたかのような切れ方だった。
委員長「………………。」
委員長はしばらく携帯を握り締めたままになった。
「どうだい?僕の言った通りになったろ?」
男はそう言った。委員長は彼の顔を見た。
「お茶にしないか?」
委員長「いいえ、結構です!」
そう言って委員長は走ってその場から逃げ出した。
男は走り去る委員長に、
「今日は挨拶がわりだ。」
とだけ言った。
委員長は駅の改札機にパスを当てて構内に走り込んだ。
駅員もいるのでそこで委員長は初めて後を振り返ったが誰も追いかけては来なかった。
委員長「ふう。」
ホームまで行くとちょうど発車間際のトレインがあった。
委員長はそれに乗ろうと必死に走った。
トレインの車掌は女の子が懸命に駆け込んで来たのを見て列車を待たしてくれた。
そして委員長が乗り込むと発車した。
委員長は車内からクリスのもとへ電話を入れた。
委員長「あ、クリス君!今、怪しい男に声かけられたの!それで………、」
委員長がおびえているようなので、クリスはすぐ迎えに行くと言った。
この反応の速さに委員長は機嫌が良くなって、
委員長「えーーー、でも、大変じゃない?♪ここまで来るの?♪」
……とかなんとかうわの空で喋った。
委員長はクリスが迎えに来る事を一応断ったが、来て欲しい事は明白だった。
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.12] 235
クリスはすぐに電話を切って、レッドノアから小型シャトルに飛び乗った。
このシャトルは非日常的なデザインで、その形状は近未来のヘリコプターという感じだった。
軍用ヘリにも似た形だ。しかしデザインは異質であり、飛行していると民間人にはよく”異星人の乗り物”と間違えられるそうだ。それで機体側面には大きくレッドノアのロゴが入っている。
明るい薄めの水色のボディーカラー。消防のヘリと間違えられないようにそれとは色が変えられている。
そのシャトルに乗って委員長のトレインのいる場所に向かった。
クリスが機内から再び委員長に連絡を取った。
トレインの向かう先の大型の駅ビルの屋上にはヘリポートがあるのだ。
そこに着陸するので落ち会おうと言った。
委員長「(きゃーーーー!クリス君とヘリポートで会うんだ。)」
委員長はこの映画の1シーンにも似た待ち合わせ場所を気に入った。
クリスは委員長の乗ったトレインを上空から確認した。トレインの路線のレールはその外側を完全にチューブ状の防壁で覆われていた。トレインはそのチューブの中を走っている。
付近にそのトレインを追跡している車等がないか一応調べてみたが見当たらなかった。
そうしている内に委員長のトレインが駅ビルに滑り込んで来た。
そこで再び委員長に電話を入れ、自分でヘリポートまで上がってくるように指示した。
そしてクリスはシャトルをヘリポートに着陸させた。
しばらくすると無事に委員長はエレベーターで屋上まで上がって来た。
クリスはシャトルから降り、その機体をバックにして立っていた。その姿はいつもよりさらにかっこよく委員長の目に映った。
委員長はなんだかご機嫌そうである。着陸したシャトルにクリスにエスコートされて乗り込む委員長。
委員長「ありがとう!クリス君!」
委員長は普段と違って落ち着きがなくなっていた。はしゃいでいる感じだ。
クリス「委員長、シートベルトを。」
シートベルトをしめる事も忘れていた。
そして機体は空へと舞い上がった。
クリスは内心ホッとした。空へ上がればその男も追跡して来ないだろうと思った。
委員長もそう思って安心したのか、それから狭い機内でいろんな事を喋りまくった。内容はどうでもよい日常会話。クリスにはいい迷惑になっただろうが、嫌な顔は見せなかった。
委員長「”私みたいな者”の為にここまでしてくれるなんて、感激だわ!」
クリス「”仲間”じゃないか。当然だよ。」
”仲間”と言われた事に急に気が重くなる委員長。
でも数秒経つと気を取り直した。
今日の空はすごく青くて綺麗だったからだ。
クリスはそのまま委員長を自宅まで送って行った。
委員長の家は住宅地の中にあった。
シャトルはとりあえず委員長の家の前に着陸した。
この辺の電柱は全て地下に埋められたタイプだった。
シャトルは自動的に障害物を検出しながら周囲の何物も壊さずに着陸した。
送ってもらったお礼に委員長は家で夕食を食べていくようにクリスに勧めた。
委員長「今、お父さんとお母さんが出かけてていないの。」
それで仕方なくクリスは委員長のご両親が帰って来るまで家にいる事にした。
シャトルはナリがデカイので、その住宅地の共同駐車場と言える所まで持って行って、そこに止めた。シャトルから何本もの細い脚が出て、それが駐車場内の車と車の間を縫って接地し、いわばシャトル本体は空中に止められた形になった。
その後委員長は自宅のキッチンでクリスとのお茶を楽しんだ。そして自分で夕食を作ってクリスに食べてもらった。
それが美味しいかどうかはわからないが、とりあえずクリスはほめてくれた。
委員長にとって今日は最高の1日となった。
ご両親が帰って来るとわかったので、クリスはその直前に委員長の家を後にした。
委員長「パパに会っていってくれたらいいのに……。」
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.13] 236
次の日、委員長は昨日の事があり、気分が高揚していた。
今日は日曜。委員長は思い切ってクリスを買い物に誘ってみた。
クリスは別に断る理由も無いと言った感じでOKした。ただそれにアンナ、神田、豪も呼ばれて付いて来た。委員長はこれにはがっかりした。
最新のファショナブルなショッピングセンターに皆で出かけた。
そこは白を基調をした明るいデザインの店内で、中にいるだけで楽しくなりそうな雰囲気があった。複合店舗で、女性用の服やアクセサリー、化粧品、ハンドバッグ等、女の子が興味ありそうな物がたくさん売っていた。CD・DVDショップ、携帯電話ショップも多数あった。
委員長ははしゃいでいたし、アンナもまんざらこういう場所が嫌いではないように見えた。
普段はあまり周りをきょろきょろと見回さないアンナもあちこち視線を移していた。
2人は女性用の服やアクセサリーの売り場ばかりを見て回った。
神田はべったりとアンナと委員長にくっ付いていた。
そしてアンナにいらぬ事を話しかけていた。委員長にもくだらない事を話しかけた。
アンナは別に嫌な顔はしないが、委員長は迷惑そうだった。
しかし、結局は委員長とアンナの2人だけで売られている商品について会話をしていた。神田は女の子同士の会話に入りきれなかった。
クリスと豪は始終周りを警戒していたが、昨日の不審な男が現れる様子はまったくなかった。
クリス達はたっぷり女の子2人に連れて回られた。
いい加減歩き回った後、委員長は1人でトイレに行った。
皆から離れてトイレのある場所に歩いて行った。そしてトイレから出て来た所で何者かに声をかけられた。その人物は建物の影から声をかけて来たのだ。
それはやはりあの男だった。
「君に話がある。」
委員長は驚いた。走ってその場を逃げ出した。そしてクリスの所へ戻った。
委員長の急変に気が付いたクリスは何事かを訪ねた。
そして男の話を聞き、周辺を探したが、結局その男の姿は見当たらなかった。
クリス 「いない。消えた。」
委員長「怖いわ…。」
クリス「何者だろう?隙を突いて来るなんて。」
そこで委員長はクリスといっしょにレッドノアに帰る事にした。
その方が安全に思えた。
神田 「そや!それがええで!」
神田が委員長の事を心配しているようだった。
神田 「兎は兎小屋に入れとくのがええんや。オオカミなんかの外敵から守ってくれるさかい。」
委員長「”兎小屋”?」
神田の表現にはいつも素直に喜べない委員長だった。
クリスは携帯電話からシャトルを呼んだ。シャトルはオートパイロットでクリスを迎えに来た。
皆でシャトルに乗り、クリスはアンナ・豪・神田をそれぞれの自宅に送り届けた。
その後はすぐにレッドノアに着いた。
レッドノア艦内には監視カメラがあり、外部からの侵入者を厳しく監視していた。
クリスは委員長を[自室]まで送って行き、そこで分かれた。自分の部屋に戻って行った。
それから委員長は久しぶりにそこにある[自室]に入った。
ここも懐かしい。狭いが、愛着がある。
壁に収納してある折りたたみ式のベッドを引き出して、さっそくその上に横になった。
それから家に電話を入れておいた。
委員長「そうなのママ。また政府機関のボランティア活動で……。今夜はその宿舎に泊まるのよ。
そう、急になの。」
家に電話をかけてからは安心して眠る事が出来た。当然ながらその夜は何も起こらなかった。
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.14] 237
翌日になった。
レッドノアの自室で目が覚める委員長。
今日の登校はクリスがシャトルで送ってくれる事になった。
途中までシャトルで行き、その後は降りてトレインに乗る。
そして青葉ガーナ学園の校門を目指す。
こうして”普通の登校”をして、皆の中に紛れるのだ。やはり学校までシャトルで行くのはやめておいた。
こうしてクリスと委員長は無事に青葉ガーナ学園に到着した。
校舎に入り、自分の教室へと向かう。
午前中の授業もいつも通り何事も無く過ぎていく。
そして4時間目の授業の授業になった。今日は体育だった。
教室にいる時はクリス達が委員長の事を警戒していたが、体育の時間は男女バラバラになり、クリス達は委員長の元へは来れなかった。
アンナも先生に呼ばれて行き、委員長の周りはクラスメートの女子だけになった。
その委員長も体育用具の片付けに呼ばれて1人でボールを倉庫にしまいに行った。
委員長は1人きりになってしまったのだ。
委員長「ちょっとぐらいなら大丈夫よね。」
すると……、体育用具入れの倉庫にあの男が現れた。ちょうど委員長が1人の時を狙って来たかのように。
委員長「は?!」
「大きな声を出さないでくれ。
そう言っておかないと、君は大きな声を出す事になっているからね。」
委員長「きゃーーーーー!」
委員長は思わず悲鳴を上げた。
だが、そんな事が起こるのを前から知っていたかのように、男は委員長の悲鳴にも動じなかった。
委員長「人が来るわよ!」
「いや、来ない。そう、5分はね。」
委員長「……?」
この男はこの間と同じように自分の言う事には自信ありげな口調だった。
「それより取引しないか?君は私が必要になる。そして私も君の助力が必要なのだ。
その時、ここへ連絡してくれ。」
そう言って男が渡して来たのは電話番号を書いた名刺サイズの紙だった。
委員長はその紙を受け取った。
委員長「?」
クーガ「僕の名前は”クーガ”。覚えておいてくれ。
ただ、今は誰にも僕の事は話さないで欲しい。それだけは約束してくれ。」
委員長「なぜ?」
クーガ「理由は言えない。今は。その内、話す。」
クーガはそれだけ言うと、後ろを向いてすぐに去って行った。
その直後にアンナが慌ててその場に走り込んで来た。委員長を探していたようだ。
アンナ 「貴方の助けを呼ぶ声が聞こえたような気がしたの。」
アンナは委員長が一人きりになっていた事を見て取った。
委員長は周囲からあの男が消えた事を確かめると、建物の影にアンナを呼び寄せてさっきの男の事を話した。
委員長「さっき、あの男に会ったの。」
アンナ「そう……。」
委員長とアンナは相談して、すぐにスポルティーファイブにメンバーに報告した方がいいという事になった。
昼休みにさっそく委員長はクリスと神田と豪を呼んだ。
委員長はあのクーガと名乗った男が現れた事を話した。
神田 「また現れたのか?新手のストーカーかいな?」
委員長「ええ。それにクーガと名乗った以外は正体はわからないの……。」
神田は声を潜めてなにやら真剣そうに委員長に話した。
神田 「ええやん、好きにさせとけや。
そやけどテレビ局には事前に電話しとくんやで。そうせんとニュースにならんで。
相手に襲われたらニュースになって有名になれるさかい。」
委員長「もう……、いいわ、神田君。私、貴方にボディーガード頼んでたら今頃死んでるわ。」
神田 「俺、ガンアクションゲームでよく間違えて味方を撃ってしまうんや。
それですぐに味方プレイヤーが死んでしまう。俺はボディーガードの仕事は向かんわ。」
委員長「ゲームの話じゃない!」
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.15] 238
クリスは矢樹に相談してはどうかと言った。
豪 「やはり、それがいいかも知れませんね」
神田 「やはりマッドサイエンティストに相談かいな?」
豪 「………………。」
委員長は矢樹に相談する事に決めて、放課後レッドノアに帰った。
クリス、アンナ、神田、豪も心配して付いて来た。
メンバー全員で矢樹の研究室を訪ねた。
矢樹 「ストーカーかね?それは警察の仕事のような気がする。ノアボックスでは動けない。」
委員長「ストーカーかどうかわかりません。でも、相手は予知が出来るようなんです。私が一人になる時間帯がわかるんです。」
矢樹「それだけでは予知が出来るとは断定できない。彼は君が見える位置に常にいるのかもしれない。じっと君を見ているから、君が一人になる時間がわかるというだけかもしれない。」
クリス 「でも、周りには僕達が警戒していたんです。不審な人物は見当たりませんでした。」
矢樹 「アンナ、その時なにか感じたか?」
アンナ「クーガが小川さんの前に現れた時には感じました。
でもそれは小川さんが助けを呼ぶテレパシーを感じただけです。それ以外には何も……。」
矢樹 「そうか。では、アンナが特に感じなかったと言うのなら、彼は異星人のたぐいではないと思う。ところで彼はクーガというのか?」
委員長「はい。そう言ってました。」
委員長はクーガからもらった電話番号が書かれた紙を矢樹に見せた。
矢樹はその電話番号を調べてみた。
それは警察や電話局の協力を得て極秘の内に作られたデータベースだった。ここには絶対に悪用してはならない情報が集められていた。矢樹はそこにアクセスして調べた。
矢樹 「ない。この番号は検索にひっかからない。使われてない可能性が高い。どこの番号か特定できないな。」
委員長「そんな……。」
豪 「じゃあ、彼の言ってた事はウソですか?騙された?」
矢樹 「電話局にかたっぱしから電話をかけ、捜査を依頼する事もできるが……、まずはその紙に記された番号にかけてみる事だな。」
さっそく委員長はノアボックスに電話を借りてその番号にかけてみた。
しかし、電話はつながらなかった。
委員長「……。」
矢樹 「やはり嘘の電話番号を教えられたのかも知れない。そのクーガという男の言う事全てを信用するわけにはいかないな。」
次の日、委員長は教室で授業を受けていた。
そこに来ていた教師は職員室にプリントの山を置き忘れて来た。
「小川君、すまないが取って来てくれませんか?」
教師に頼まれると断りきれない。それにこれは”学級委員長”としての仕事だった。
豪 「(まずい。委員長が一人きりに………。)」
クリス「……………………。」
その時突然神田が手を上げて、
神田 「センセ!俺、腹が痛いんで保険室に行っていいですかあ~~~?!」
と、聞いた。教師は保健室に行く事を許可した。
豪 「ふ~~~~~。」
シンと静まり返った廊下。すこし肌寒く、ひんやりとした感覚がある。
神田 「委員長!ちょっと待ってえな!一人になったらあかん!」
委員長は軽く神田を無視してさっさと職員室に行った。
神田 「冷たいな、委員長は。顔に似合わず。」
廊下は暖房が無く、肌寒かった。
職員室でプリントの束を取って来た委員長はさっそく教室に戻ろうとした。
神田 「委員長、待ってえな。あいたた……。本当に腹が痛くなって来た。」
委員長「さっきのは気を利かせての事じゃなかったの?」
神田 「ここら気温が低いから急に痛くなってしもうた。
ちょっと待ってえや。トイレ行ってくるわ!」
委員長「あきれた!」
神田は温度差のために急にお腹の調子が悪くなったようだ。
あわてて一番近いトイレに駆け込んだ。
男子トイレの前で委員長は重いプリントの山を抱えたまま待っていた。
授業中であり、当然付近には誰もいない。
委員長「まっくもーーー!これだから神田君はぁーーーーー!!!」
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.16] 239
カツ!コツ!
委員長の後ろで靴音が響いた。それは不気味に廊下に反響した。
委員長は振り向いた。
そこにクーガが立っていた。
委員長「クーガ!」
クーガはほんの少し片側の唇をつり上げて笑った。
委員長「電話はつながらなかったわ!」
クーガ「繋がるさ。」
クーガは落ち着いていた。
委員長「いいえ!かけたけど……、つながらなかったわ!」
クーガ「じゃあ、今すぐかけてみて。」
そう言ってクーガは自分の携帯を取り出した。
それを指でつまみ上げて誇らしげに見せた。
委員長は言われた通りクーガの番号にかけてみた。するとクーガのつまんでいる携帯が鳴り始めた。
委員長「……。」
クーガ「どうせ君は”まともには”かけてくれない。だから最初のうちは”かからなく”しておいた。
1人でかけてくれないとフェアじゃない。僕は君と話がしたかったのに。
大勢のいる所でかけるのは約束違反だよ。」
委員長「え?」
クーガ「そう、君は約束をやぶった。他人に僕の事を話したのだ。」
委員長は自分の行動が全て見透かされているような気がして、背筋が寒くなった。
するとクーガはフッと短く笑った後、突然こう言った。
クーガ「この青葉ガーナ学園が火事になる。」
委員長「え?火事?この青葉ガーナ学園が?!」
クーガ「そうだ。」
委員長「(火事ですって?突然何を言い出すの?
クーガのこの言葉はいったい?)」
クーガ「僕の言う事を真剣に聞いた方がいい。
明日、この学園で火事が起こる。
もちろん僕が火を点けるのではない。
その証拠に○○市で起こるニュース報道のテレビ中継の画面に中に僕は映る。
それは16時ちょうどだ。この地区では15チャンネルで放送されるニュース番組の中にある。
16時7分頃、ニュース画面を見てみるといい。」
委員長「え?」
クーガ「ではまた。次に会う時は、きっと僕を見る目が変わっているだろう。」
委員長「あっ、ちょっと待って!」
呼び止めたがクーガは去ってしまう。
その態度はいつも自信に満ち溢れているようだった。
委員長「ちょっとなによ?今の態度は?!」
少し怒った口調でそう言った。委員長はクーガのこの一方的な態度が嫌いだった。
そこへ神田がトイレから出て来た。
神田 「なに、怒っとん?!ちょっとトイレに行っただけやないか?
そんなに怒らんでもええやないか?!」
委員長「神田君…………、ズレてるわよ。」
神田 「はあ?」
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.17] 240
昼休みになった。
委員長はこれを口実してまたクリスの元へ相談に行った。
謎の男につきまとわれるという不安はあったが、クリスと会える口実が出来てその点はラッキーだと感じていた。
これまでは口実がなかなか見つからなかったからだ。
口実は見つけようと思うと見つからない。見つかっても、その口実を相手に言っても断られるような気がするものだ。委員長は今回の事件のような口実なら、断られる事もないと思っていた。
委員長はさっそく学内でクリスの姿を探す。
ようやく見つけてクリスの元へ行くと、その側にアンナもいた。
そういえば、学校内ではアンナは人に呼び止められない限りは必ずクリスの側へ近づくようになっていた。いや、そうとも言い切れないかも知れないが、少なくとも委員長はそんな風に感じるようになっていた。
アンナはこれまでは学校内では1人きりでいる事が多いようだった。もちろん男子からよく声はかけられたが、あまり相手にしなかった。
それがこのように人の後をついて歩くとは、以前とは劇的な違いだった。
委員長「……。」
それでも委員長は”2人”の所へ行ってクリスに相談した。
委員長はクーガの言った火事やテレビ放映の事を細かく話した。
委員長「彼も特殊能力があるのかしら?予知ができるみたいな口調だったわ。」
クリス「それにしてもこの学校が火事になるなんて……。その予言が当ったら大変だよ。なんとかしなきゃ。」
アンナ「……そうね。」
次の日、クリスは朝から校内を警戒する事にした。
スポルティーファイブの他のメンバーにも協力を頼んだ。それでメンバー5人は校舎内の廊下に集まった。
クリス「先生に正式に許可を取ってから、学校内を警備しよう。」
委員長「”正式”にって、どうするの?」
クリス 「ノアボックスを経由して依頼するんだ。ナターシャさんにこの事を連絡する。
そしてナターシャさんから学園に連絡を入れてもらう。
もとより僕らが”青葉ガーナ学園を休んで、ノアボックス内の授業で単位が取れる”のはナターシャさんが動いてくれているからなんだ。」
神田 「でも、俺らがノアボックスに行ってる事は本当はないしょになっているやろ?」
クリス 「ああ、公には僕らはボランティア活動をしてる事になってるんだ。」
神田 「ボランティア活動?!」
豪 「”地震の起きた被災地に行く”とか。”海洋調査に行く”とか、いろいろです。」
神田 「そんな嘘を学校についてていいのか?それとも”スポルティーファイブでのあの戦闘”がボランティアやとでも言うんかいな?」
豪 「あれも”ボランティア”の一種です。嘘は言ってません。」
豪は自信あり気にきっぱりと言い切った。
神田 「はあ~~~~~。」
クリスが電話でナターシャに頼むと、すぐにとりはからってくれた。
それでクリス達は教師に許可を取って、授業を休むことが出来た。そして学園内の警備を開始した。
神田 「よう取れたの~、許可が!一体なんて言うてごまかしたんや?!」
豪 「今回ナターシャさんが使ったカモフラージュが”病原菌駆除”です。」
神田 「病原菌駆除ぉ~?!」
委員長はアクアラングのタンクと同じぐらいの大きさのタンクを持って来た。
そしてそれを皆に配った。
委員長「はい、タンク。」
神田 「タ・タ・タ…、タンクぅ?なにすんねんこんなもの?」
豪 「この噴霧器から消毒液を散布して歩くんです。校舎内全てを。
これもボランティア活動の一環という事になっています。
”僕らはボランティア団体に所属しています。”
誰かに会ってもそうやって話を合わせといてください。」
神田 「そんな、合わせるったて………。」
委員長「はいはい。もうその辺で。細かい事は言わない!さあ行きましょう!」
こうして皆それぞれ別れて校舎内を回る事になった。ただお互いに見える位置には常にいるようにした。でもクリスだけは委員長のすぐそばにいた。やはりクーガが現れるのを警戒しての事である。
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.18] 241
神田 「こんだけ警備しとったら火事も起こりようがないな。」
豪 「でも警戒するに越した事はありません。」
委員長「いないわね。」
クリス 「用心してくれ。予言は当るかもしれない。そのつもりで警備しないと。」
すると、その警戒網をぬうようにして体育館から突然出火した。
神田 「げっ!」
委員長「そんな!」
クリスは校内に備え付けられていた警報機を押した。そして消防署へ通報した。
床が木製になっている体育館なので、このままではすぐに火が燃え広がる事は明白だった。
委員長「きゃーーーーー!」
神田 「早よう!消火器を!」
クリス達は校内に備え付けの消火栓を使って消火作業に入った。
収納されているホースを伸ばして、消火栓につないだ。そして放水する。
幸いにもまだ小さなボヤだったので、クリス達だけで鎮火する事ができた。
委員長「良かった。火がおさまって。」
クリス 「ああ。本当に良かった。この程度ですんで。」
豪 「僕たちが警備してなかったら、おそらくもっとひどい事になっていました。
見てください。あの古いガラス窓。そこに置かれた照明器具用のレンズ。あれが出火の原因じゃないでしょうか?」
見ると、体育館側面の2階通路にレンズだけが焼け残っていた。
豪 「この日差しでレンズに光が集まり火が点いたのでしょう。2時間前に点検した時はあんな物はありませんでした。どこかのクラスが演劇の練習のために出して来たのでしょうか?」
神田 「文化祭の練習やないか?」
クリス「ところで………、今16時7分だ。クーガの言ってたニュースを見てみよう。」
クリスは時計を見ながら、冷静にそう言った。委員長達は火事の事で慌てて、他の事に気が回らなくなっていたが、クリスは警戒を怠らなかった。
委員長「あっ、そうね。もうそんな時間だわ!」
クリスは携帯電話の画面からニュースを見ようとした。
携帯の液晶にテレビ画像を映した。クーガの示した時間になると、やはりその通りニュース番組があり、何かのニュースのための中継画像が放映された。そして、画面がそこに集まって来た野次馬をパンした時、画面のすみにクーガが映った。それは見間違えようがなかった。
委員長「あ!いた!」
神田 「映っとる。すると、やっぱりヤツが火を点けた犯人じゃないわけね?」
クリス「ああ。そうだ。彼じゃない。彼は今回の火事の予言をしただけだ。
これで、彼の予言が当る事が確かめられた。」
豪 「そうですね。彼は特殊な能力を持った特別な人間かも知れません。」
クーガの予言は当たった。委員長は恐ろしくなって来た。
委員長「今後は彼に会わない方がいいのかしら?」
クリス「なるべくそうした方がいいね。
彼の正体や彼の目的がわかるまでは。とりあえず今後は僕が君の護衛に当る。」
委員長「え?ホント?!」
こうしてクリスが24時間体制で委員長の護衛に当る事になった。
委員長「(役得、役得!)」
委員長は急に明るくなった。
神田 「なんや委員長は?」
次の日、学校は休みだった。
委員長は外出してクリスを連れ回した。
クリスが真面目に委員長について来るのをいい事に、アイスクリームショップ、ケーキショップ、映画館とはしごした。
クリス「委員長!いくら”休み”とはいえ…、クーガに狙われているんだ。家でじっとしていた方がいいんじゃないのか?」
特に急用もないのに委員長が外出した事を不思議に思うクリスではあったが……。
しかし委員長は”これまでたまりにたまっていたもの”があり、もう自制が効かない状態だった。
クリスと委員長から少し離れた位置をアンナ、豪、神田の3人が護衛の為につけて来ていた。
委員長はこの事を知らず、ずっとクリスと2人きりだと思っていた。
委員長はまた喫茶店に入った。そこは紅茶の専門店だった。
ドアを開けたとたん、店内には実にいい香りが漂って来た。
南国の観葉植物がそのまま鉢植えされている店内。床は古い教室の床みたいなニス塗りの木目。とてもシャレたお店だった。
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.19] 242
他のメンバーはこっそりクリスと委員長から離れたテーブルに座った。
アンナが近くにいるので神田は大喜びだった。アンナは変装の為に普段とちがった服装をしていた。それは普段のアンナなら着ないような派手で少女っぽい服装だった。
神田 「かーーー!アンナちゃんすごい!ミニスカートじゃん!」
アンナ「……。」
豪 「神田さん。大声を出さないでください。2人に声が聞かれてバレますよ。」
神田 「そやな。委員長は地獄耳やさかい。」
豪 「本当ですか?」
神田 「ああ。俺は絶対そう思うで!
………それにしても今日のアンナちゃんは~~~~!」
豪 「神田さん!クリス君達をよく見てないと置いていかれますよ。
なにせ今日の委員長はやけに”行動的”ですから。」
神田 「いいやんか?
ほっときや委員長なんて!あないな尻軽女知らんわ!」
豪 「……………………。」
アンナ「………………。」
神田 「こうなったら俺たちも楽しもうや!
あっちはあっちで楽しんでるんやさかい。なあ、アンナちゃん?」
アンナ「………………。」
アンナは髪型まで変えており、外見上はいつもの地味さは消えていた。
もともとの素材がいいので、今日のアンナは一段と美しく見えた。
神田 「はああああ~~~。こんなおしゃれな喫茶店でアンナちゃんの底知れぬ美しさが堪能できるなんて……。」
豪 「………………………。」
しかし、その時委員長が席を立ったので、アンナは神田を無視して席を立ち上がった。
神田 「あら?」
クリス 「こんなに街を歩いていてはクーガにつけいるスキを与えてしまう。そろそろ家に帰ろう。」
委員長「ダーーーーーメ!まだまだ行く予定があるの!!」
クリス「急に予定が増えたんじゃないか?!」
さすがのクリスも今日の委員長の行動を不審に思い始めた。
そして……、時刻は夜の8時になった。
その日結局クーガは現れなかった。
クリス「無駄骨だったんじゃないか?」
委員長「♪まあいいじゃない~~♪クーガにも都合ってものがあるのよ~~♪」
委員長は上機嫌だった。
クリス「送って行こう。君の家まで。」
委員長「♪まだいいじゃない?♪もう一軒!カラオケボックスでも行かない?!♪」
クリス「だめだ!」
さすがのクリスもいいかげん厳しい口調に変わって来た。
神田 「委員長のヤツ、いいかげんにしろい!せっかくのチャンスやから言うても…………、あそこまで露骨にクリスを連れ回すこと無いやろ?
クーガに狙われとるの忘れてるんとちゃうか?」
豪 「あれは完全に忘れてる状態ですね。いつも委員長らしくありません。」
神田 「ふう。
でも、委員長もやっと家に着いたし、俺たちの任務もこれで終わりや。
さあ、アンナちゃん、これからは自由行動や!カラオケボックスにでもいかんか?」
アンナ「疲れたので帰ります。」
神田 「なんやて?!アンナちゃん、そりゃないで!
いいやないか?!カラオケボックスぐらい行こうなあ!」
アンナは特に嫌がるでもないが、少し困った顔をした。
豪 「もういいじゃないですか、神田さん。さあ、アンナさんを家まで送って行きましょう。」
神田 「そっ、そんなあ…………。こんなチャンスめったにないし………。」
神田は豪の腕を引っ張られて行った。
こうして神田と豪はアンナを送る為にその場を後にした。
スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.20] 243
クリスはノアボックスの専用車を借りて、委員長を自宅まで送り届けた。
クリス「さあ、着いた。じゃあ、早く家の中へ。」
委員長「ねえ、ちょっとうちに寄ってかない?クリス君、お茶でもどう?」
クリスは疲れていた。
クリス「いや、もういい。これで帰るよ。」
それが冷たい言い方に聞こえたので、委員長は急にさびしくなった。
委員長「そんな……。」
クリス「じゃあ、また。」
クリスがあっさりと車の前方に視線を向けたので、委員長は今までの楽しい気分も急に冷めてしまった。
クリスはゆっくりと車を発進させた。
しかし委員長は明日が祝日である事を思い出し、明日の予定をクリスに言おうと思った。
明日もクリスを連れ回す気でいたのだ。それで走っていって車を追いかけた。
委員長「待ってーー!クリス君!明日!明日!」
クリスは住宅地内だったのでまだ車を徐行させて走らせていた。
委員長はそのまま駆け足で走って行って追いつくかと思ったが、やはり寸での差でクリスの車に一般道に出られてしまう。
そして車はあっと言う間にスピードを上げて、見えなくなった。
委員長「はぁはぁはぁ……。しまったあーーーー!」
委員長は明日もクリスに会いたくてしかなくなっていた。
今日という日は10年分の幸福がいっぺんに来た様な気でいたからだ。
委員長は自分の胸の前で手を合わせ、しばし幸福の余韻にひたった。
委員長「まっ、クリス君には後からメールで知らせればいっか。」
その時、物陰から声をかけて来る男がいた。
「デートは楽しかったかい?」
聞き覚えのある声だった。委員長は今までの楽しい気分も吹き飛び、心は凍りついたように冷めた。
委員長「クーガ!」
まさしくそれはクーガの声だった。
影になった暗闇からクーガが姿を現した。
委員長「いったい?どうして?」
クーガ「君が1人になる時間帯が手に取るようにわかるんだ。僕から逃げようとしてもダメだ。護衛には意味がない。」
委員長「貴方はいったい何者なの?なぜこんな事をするの?」
クーガ「君に興味がある…、とでも言っておこうか?
そうそう、君に頼みがあったんだ。僕に君のノアボックスのIDカードを貸してくれないか?」
委員長「なんですって?!」
クーガ「あのカードがぜひとも必要なんだ。」
委員長「それはできないわ!IDカードは誰にも渡せない!あのカードを使って何をする気なの?」
クーガ「研究さ。」
委員長「何の?」
クーガ「歴史のさ。ノアボックスとか政府機関の歴史について僕は研究しているんだ。」
委員長「うそでしょ!」
クーガ「君は頭が良い。
どうやら嘘は付けないようだね。
でもIDカードは僕にとってどうしても必要なんだ。
すなおに渡した方がいい。でないと君の仲間に不幸が起こるかも知れない。」
委員長「なんですって?!」
クーガ「1日猶予をあげよう。
でもまあ、結果はわかっているがね。
”君は断ってくる”。
…では、その次の日、”君の知り合いに不幸が起こる”とだけ言っておこう。」
委員長「え?」
クーガ「ではまた。」
クーガはそれだけ言うとさっと向きを変えて歩き始めた。
委員長はショックでクーガを追いかける事が出来なかった。
それに誰かに連絡する事さえ思いつかなかった。
やがてクーガの姿は見えなくなった。
委員長「知り合いに不幸が?まさかクリス君が……。」
その後、委員長はしばらく立ちつくした後、自宅へ帰りベッドの中に潜り込んだ。
どうしていいのかわからなかった。
クーガが以前言っていたように、クーガの事を他人に話すのは怖くなった。
それでその日は誰にもこの事を打ち明けずに眠った。
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