ありがと♪

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想像妊娠



4月になると、攻撃的な行動がそれに加わる。
例のおもちゃに触ろうとすると、鼻に皺を寄せて「ガゥー」
掃除のためにベッドカバーをはずすと、ベッドの下で「ガゥー」
家族であっても、私以外の人間が近付くと「ガゥー」
散歩のときだけはおもちゃを放し、元気良く走り回っているが、他の犬が近付くと「ガゥーーー」
犬が離れていかなければ噛み付きかねない迫力の威嚇。
「頭が変になっちゃったのかなぁ・・・」
「もしかして狂犬病?狂うって字を書くし・・・」
キャロルに元気があるだけに、通常の病気ではなく最悪の事態を想像してしまう。お医者様に相談しようかと考えるが
「頭がおかしくなっているから安楽死させます」
なんて言われたらどうしようかと不安で躊躇する。

4月2週目になると食べ物を口にしなくなる。水は飲むが固形物は食べない。散歩中は元気だが、家に居る間はほとんど動かない。自分のお腹の下にダックスおもちゃを置いて、時々いとおしそうに舐めている。
「食べなきゃ死んじゃう・・・よね・・・」
意を決して獣医さんに診ていただく。

「ギジニンシンですね」
「はぁあぁ???ギ・ジ・ニ・ン・シ・ン?」
「そうです。この子は今お母さんになるための準備をしているんですよ」
「そっ、そんな・・・」
ハズハアリマセンという言葉が声にならない。
「前回の生理の時に妊娠していたら、ちょうど今日から三日後位が出産ですね。妊娠すればホルモンのバランスが崩れ攻撃的になるし、出産場所を探してそわそわします。出産に備えお腹を空っぽにするので食欲もなくなります。ほら、母乳が出るでしょ」
キャロルの乳首を絞ると確かにミルクのようなものが滲み出てくる。まさか・・・?! 私の不安を察したのか、獣医さんは笑いながら付け加える。
「ええ、もちろん正真正銘この子は妊娠していませんよ。でも自分が妊娠していると思っているし身体も反応している。犬にはよくあることなんです。あと1週間くらいで症状は自然に治まると思うので、栄養補給には犬用の牛乳などを飲ませて様子を見てください。キャロルちゃんはもともと細い子だから、あまり体重が減るようなら点滴しましょう」
あぁそうなのかと ひと安心した後にはショッキングな言葉が続く。
「疑似妊娠は今回よりも次回、また次回、と症状が重くなる可能性があります。そのことで性格が変わってしまった犬もいるんです。子宮に膿がたまることも有るので次回の生理までに避妊手術を考えてみてください」
医師として、最悪の事態まで伝える義務があるのかもしれないが、気が重くなる症例ばかり。もう2度と疑似妊娠しないという可能性は無いのだろうか。

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想像妊娠なんて・・・それこそ想像も出来なかったね。勘違いの出産準備なんかしちゃったこと君はどう思っているの?今では、私の無知な心配と共に笑いのネタになっているけれど、辛かったよね。

「待てっ!」
の命令と共にボール目掛けて突っ走り、自身満々に戻ってくる頭脳明晰?な君。「やっぱりお腹を切るのは止めにしよう」と思うのだけど、どうかな?・・・君もイヤだよね。

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