アオイネイロ

ドキドキバレンタインデー♪




「ん~~♪よしっ!できたぁ!!」
 ご機嫌でガシャガシャとボウルの中身を泡立てていた時歌が、嬉しそうにそう言うと立ち上がった。隣で千歳がそれをじっと見つめている。

「時歌? 何作ってるの?」
「え・・・。チョコ、だよ?」

 そこに沙ゞがひょっこりと現れて尋ねてきたので、時歌が小首を傾げてそう答えた。

「ああ! バレンタインね!
ウチも一緒に作っていいかい?」
「おう! オッケーさ☆」

 沙ゞの言葉に、親指をびしっと立てつつ時歌がそう答えた。
 二人できゃいきゃいとやっていると、そこに籟琉と葵・紅亜が入ってきた。

「あ、やっほーー」
「ん? 何やって・・・・ああ、バレンタインか!」

 声をかけると籟琉が一瞬不可解そうな顔をして、分かったのかそう言った。
「主・・・。?何やら甘い香りが致しますね」
 そこにまた、沙ゞを探しに来たらしい蜻羅が現れる。

「あ、蜻羅! 蜻羅も疾風にチョコ作るんだ!!」
「へ・・・? あ、ああバレンタインですね」

 突如としてそんな事を言われた蜻羅はきょとんとするが、思い至ったようにそう言う。
 そう、今日はセント・バレンタインデー。
 心ときめく乙女達の告白の場でもある甘い日だ。

「甘い匂いがするーー!」
「お菓子~~!!?」

 と、そこにまたやってきたのが暴飲暴食組、るかと苺夢だ。
「こらー、これは出来上がってからだからね。バレンタインなんだから皆で一緒に作ろうよ」
 既に焼きあがっていたケーキを箱にしまいながら、時歌がそう言った。
「あ、いいね~~。みんなで作ろーー」
 籟琉が嬉しそうにそう言って、皆は早速料理に取り掛かった。

                           †

「ふぅ・・・・、疲れたな」
 今まで剣術の鍛錬をしていた疾風が、木陰に座り込んで大剣を地面に刺すとそう呟いた。
 先ほどまで聞こえていたはずの自分の主である籟琉と、葵の言い合いや剣の擦れる音が、いつの間にか消えている。
「気配が、静かになったな」
 ふと気になって、疾風は大剣を消すと歩き出した。
 瞳を閉じて神経を研ぎ澄ますと、人の気配を探ってゆく。
「・・・家の中か?」
 何となく引っかかった人の気配に、疾風はひとりごちて家の中へと向かった。
 今いる場所は宿屋が無いため、空いている家を借りて寝泊りしているのだ。
 その家に近づいた瞬間、甘い香りが漂ってきて、疾風は思わず足を止めた。
 中からは皆のはしゃぎ声が聞こえてくる。
 一瞬入るのを躊躇ってから、疾風は家の中へと入った。
「あ、疾風~~! 丁度良かった」
 入った瞬間、籟琉がぱたぱたと疾風の傍まで駆け寄って来る。
 そのほっぺたにはチョコレートが付いていた。
「・・・主、それに皆は何をやっていたのだ?」
 籟琉の頬のチョコを指で拭いながらそう尋ねると、皆は一瞬黙り込んだ後、可愛くラッピングされた袋やら箱やらを渡してきた。

「な、これは・・・?」
「今日はバレンタインデーですから」

 呆然としながら受け取ると、蜻羅が淡い蒼色の綺麗なリボンで結ばれた箱を渡してきながら、そう言った。

「ばれん、たいんでー?」
「そういうコト。ま、ちゃんと味わってね」

 舌足らずに繰り返す疾風の肩をぽんと叩きながら、紅亜が疾風に小さな紙袋を渡してウィンクと共にそう言う。

「いや、だから何なのだ?」
「えっと・・・疾風、もしかしてバレンタイン知りませんか?」

 不可解そうにそれらを受け取りながら直も尋ねると、凜が薄いクリーム色の箱を手渡しながらきょとんとして聞いてきた。
 疾風はそれに無言で頷く。

「え・・・。うっそーー! 籟琉、疾風バレンタイン知らないってよ?」
「えぇ~~、何で知らないの? ウチ去年もチョコあげたよね?」

 葵の言葉に、籟琉が不満そうにそう言うと、疾風はああ・・・と思い出したような声をあげた。

「あれは、何故チョコ等をくれたのか分からないままだったが・・・そういうものだったのだな」
「えーー、じゃあ疾風は貰っといてホワイトデーのお返しもあげなかったわけで?」

 そんな疾風の反応に、るかが不可解そうな表情でそう聞いた。

「ほ、わいとでー・・・?」
「その様子じゃ、あげて無いね」

 また舌足らずに復唱する疾風に、沙ゞが呆れたようにそう言った。

「そういや貰ってないね。ま、別にいいけど」
「よくないよーー!折角籟琉があげたのにぃ~~!!」

 籟琉の冷めた反応に、苺夢がぶーぶーと文句を言う。

「ほわいとでー、ちゃんとちょうだい・・・ね?」
「あ、ああ・・・・いつ渡せばいいんだ?」

 千歳が小さな箱を疾風に渡しながら小さな声でそう言うので、疾風も受け取りつつそう尋ねる。
 何だか主に対して申し訳ない気持ちにもなった。
「ホワイトデーは3月14日にバレンタインでチョコを貰った女の子にキャンディーとかクッキーをお返しするんだよ」
 そんな疾風に、時歌がにっこり笑ってそう説明した。
「3月14日に、キャンディーやクッキーだな・・・・分かった」
 疾風が、そう言って軽く頷く。

「じゃあ、美味しく頂いてね~~♪」
「疾風、甘いのだめだっけ? ごめん、思いっきりケーキなんだけど・・・」
「あ、ああ・・・別に平気だ。嫌いなわけでは無い・・・」

 わいわいと疾風を囲みながら話す皆。

「蜻羅は、本命チョコかい?」
「え・・・いえ。・・・・? どうなんでしょうか・・」

 沙ゞのそんな問いかけに、蜻羅が一瞬否定した後に小首を傾げてそう言った。
「蜻羅って時々鈍いっていうかだよね。ってか凜はその残ったひとつ、どうするの?」
 天音がそう言って、凜の方を見た。
 凜はというとその可愛くラッピングされた残りのひとつを大事そうに抱きしめている。
「あ、あーー。凜、少し待っていてくれ」
 その行動に、疾風が何かを理解したようにそう言うと瞳を閉じた。
 皆が見つめる中でしばらくそうしていたと思ったら、疾風はうっすらと瞳を開いて2・3度瞬きをする。

「凜か・・・・?」
「え・・・あ。もしかして・・・」

 疾風のその言葉に、凜が口元を覆って驚いたような顔をした。
 そんな凜を、疾風が愛おしそうに抱きしめる。

「え、えぇぇぇぇ!!?」
「・・・・フェイク・・」

 叫んでいる皆をよそに、千歳がぼそりとそう呟く。

「本物には感謝しないとな。わざわざ俺を呼び起こしてくれるなんてよ☆」
「会えるとは、思っていませんでした・・・」

 にやっと笑う偽者(フェイク)の胸に、凜が俯いて持っていた残りのひとつであるチョコを押し付けた。
「ヘヘッ・・・・サンキューな、凜」
 偽者が少しだけ照れたように笑って、凜の頬に軽くキスをした。
 凜が驚愕の表情で顔を上げた時には、疾風は元に戻っていて、偽者の気配はもう無かった。
 しかし、元に戻った疾風の手に、凜が手渡したはずのチョコは無くなっていた。

「偽者が、持って行ったぞ」
「あり、がとうございます・・・」

 疾風の言葉に、凜がふわりとひとつ微笑むと嬉しそうにそう答えた。
 甘いバレンタインの一日が、あっという間に過ぎていった・・・。


~オマケ~
 疾風ががさごそと袋の包みを開けていく。
 中からは可愛らしいチョコレートやカップケーキが沢山出てきた。
「・・・すごいな。これを我だけで食べるのか」
 それらを見ながらひとり呟く疾風。
 無言でそれらを食してゆく。
「・・・・美味しい」
 ぽつり呟いたその言葉を、部屋の扉の隙間からこっそりと覗いていた葵・籟琉・時歌・苺夢・沙ゞ・るかと疾風を除くその使い魔の11人が聞いて、目を合わせて微笑み合った・・・・・。

                       END

~コメント~
適当でごめんなさぁい(泣)
いや、バレンタイン当日めっちゃぶっつけのなりゆきで書いたものですんごい適当になってしまいました(ノA<。)
では、お粗末様でしたm(_ _*)mペコリッ

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