京都徒然.御朱印

京都徒然.御朱印

新撰組!

新撰組 による刀傷
西陣の大寺院は、豊臣秀吉の都市計画によって、都の城郭として、周囲に整備された。 妙蓮寺 もその一つで、城郭のようなつくりになっていた。私が妙蓮寺塔頭寺院の住職なので、妙に妙蓮寺のことには詳しいが、宣伝しているわけではない。
幕末の京都は、動乱が相次いだ。 池田屋騒動 寺田屋騒 禁門の変 、蛤御門の変、要人暗殺、 鳥羽伏見の戦い といい、新しい時代が生まれる前の陣痛のような時期であった。
妙蓮寺は、近隣の 妙覚寺 と同様、薩摩藩士の駐屯地および野戦病院のようになっており、後の 薩長同盟 を結ぶ相手である長州とは敵味方の間柄であった。
当寺の口伝では、方丈入り口の門柱や大黒柱の刀傷は、薩長同盟が成る前後、押し寄せた新撰組によるものだと伝えられている。

19妙蓮寺(イラストは 貞岡なつこさんです。)



近藤勇、芹沢鴨、沖田総司以下、新撰組が駆けつけたが、妙蓮寺は、朝廷(伏見天皇以来の伏見の宮家の位牌所)や公家とゆかりが深く、菊の御紋と御所塀をゆるされた山門両袖の寺であり、刃傷沙汰は許されず、怒りを柱にぶつけたものと言われている。
奇しくも今年(平成十六年)は、NHKの大河ドラマ「新撰組」が放映され、京都の各地で新撰組ゆかりの地が紹介されているが、ここは、以前から隠れた新撰組ゆかりの地として、一部のファンの間で、話題になっている。
妙蓮寺には、(リンクページ上から4項目目) 赤穂浪士四十七名の墓 もあり、昭和の初めまで、歌舞伎役者などが上演前には参拝に訪れていた。白御影石製の線香台には、歌舞伎各家の銘が刻まれている。その縁あってか、映画俳優の 月形竜之介 の墓所も妙蓮寺にある。
コミック本なので史実かどうかわからないが、新撰組を描いた 「風光る」 第四巻に、妙蓮寺の 御会式桜 が登場する。芹沢鴨が暗殺される前夜、沖田総司が芹沢を「雨が上がったら桜を見に行きませんか?」と誘っている。紅葉や雪景色の中で咲く桜を勇ましく凛々しい武士のようだと讃えているが、紅葉の時期にも厳冬期にも咲き続ける桜というものは、この妙蓮寺にしかなかったわけで、これも何かの因縁か。十月の日蓮入滅の頃から咲き始め、普通の桜同様、四月に満開となる珍しい桜で、半年咲き続ける。
あの 斉藤道三 が修行していた妙覚寺には、NHK大河ドラマの時は、観光バスがいっぱい来訪したのにもかかわらず、今は、静寂な寺にもどっている。新撰組や陰陽師でも同じような現象が起こっている。憂うべきは一時のブームで観光産業に消費される対象にならないこと。今、京都は空前の観光ブームだが、京都が本来持っている奥深い魅力を再発見することに務めた結果が、今の京都ブームにつながっている。
京都のみならず、日本全体が、京都における観光産業の占めるウエイトを再認識し、欧州の都市にも劣らない美観と受け入れ体制を整えてほしいものだ。

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