読書日記blog

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2007.04.21
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カテゴリ: 教養・実用


新潮社


アメリカ人のジャーナリスト夫婦が見た現代中国の実像。


活気あふれる成長も非道な抑圧も現在の中国の実体である。政府は実体を隠蔽すべく取材を制限しようとするが、クリストフとウーダンはあの手この手で規制をすり抜けて、地元民との交流のなかから中国の現状を探り出す。具体的エピソードがふんだんが書かれており、臨場感ある中国論となっている。特にウーダンは中国系アメリカ人であったので、白人にはできないような取材をを行なっており、非常に面白い。また、華僑と中国の関係も浮かび上がってきて、興味深かった。

権力者の苛烈な支配、関係(コネ)と人治による社会システム、腐敗した王朝に対する暴動と易姓革命、都市部の繁栄と貧困にあえぐ農村、社会の隅々にまで蔓延する賄賂、女性への徹底的な差別、権力への盲従、散砂のごとき個人主義、拝金主義、中華思想による対外膨張の傾向。共産党の革命で、中国は大きく変わったとはいえ、その本質は中国四千年の歴史を継ぐ赤い皇帝の率いる王朝である。西側と中国の間には巨大な溝があり、多くの問題を抱えているが、このような中国と付き合うためには、まず中国を知り、対話と圧力を駆使する必要がある。

中国は巨大かつ複雑な存在なので、クリストフとウーダンにも、今後の展開を読みきることは出来ない。崩壊し未曾有の混沌を引き起こすのか。それとも、経済的豊かさ、外国からの圧力、教育水準の向上によって民主化し、超大国となり繁栄を手にするのか。北京オリンピックを翌年に控えた中国の姿に、いま世界中が注目している。





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Last updated  2012.04.06 12:02:40
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