読書日記blog

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2007.05.04
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カテゴリ: 教養・実用


集英社新書



ハンチントンの名著『文明の衝突』の概要紹介に二本の論文を加えた、日本人向けの手軽で便利な一冊。

ハードカバーの『文明の衝突』は値が張り、かつ読むのが面倒なので、手軽なほうで済ませる。日本のケースについて突っ込んで見ていきながら「文明の衝突」理論を掴めるように構成し、興味を持たせやすくまとめられており、サラリーマンの教養用向けとして良くできている。

「文明の衝突」理論の紹介はいろいろなHPに掲載されているので当blogでは割愛し、「二十一世紀における日本の選択」に関しての一言コメントのみ記しておく。

アジアの地域大国を中国、第二位の国を日本とする考え方は、非常に残念であるが認めざるを得ないだろう。日本とは中華文明圏と決別したアジアの国家であり、孤立しているのはやむをえないし、むしろそこに存在意義がある。また、日本の国家戦略は「追従(バンドワゴニング)」にあるというのも、悔しいがその通りである。
ただ、日本がとるべき選択肢として、追従する対象となるパートナーにアメリカと中国のどちらかを選ぶことのなるとあるが、中国を選ぶことは考えにくい。日本にとって、中国とよりもアメリカとのほうが、共有できる中長期的な戦略的目標が圧倒的に多い。中国もアメリカも日本とは別の異質な文明のリーダーであるが、どちらかを選ぶとなればアメリカの理念のほうに共感する日本人のほうが圧倒的に多いのではないだろうか。中華文明圏の辺境から離脱しアジア性を捨て去ったアジアの国が日本であるという存在意義を示すことこそが、近代化のはるか以前から国是であった。それをいまさら、中国に追従するならば、それはもはや日本が日本でなくなることを意味するのではないか。
あくまで、表面上では中国との関係を悪化させないように配慮しながら、裏ではグローバルな超大国アメリカとしっかりと手を結んで中国を押さえるしかないだろう。ブレジンスキーも、ひよわな花である日本はグランドチェスボードのプレイヤー足りえないと書いている。孤独で小さな日本文明が、一極多極時代を乗り切るためには、アメリカの覇権と日米同盟が強固なものであり続ける必要があるだろう。





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Last updated  2012.04.07 23:55:30
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