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2007.07.04
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テーマ: たわごと(27384)
カテゴリ: うちそと系
昔世話になった人が少し前にお亡くなりになり、そのお宅に線香を上げにいった友人が言う。
そうそう、川口さんの息子夫婦な、子どもを育てているんだよ。
えっ? 子どもはいなかったろう? 
うん、あずかることになったらしい。4歳でな、幼稚園の制服とかが壁にかかっていてさ。
あずかるって?
18歳になるまでは預かるらしい。
里親ということ?
そうそう、それだ、里親。

電話でそんな世間話をした後に、しばらくぼんやりした。


子どもは授かるもの、という思いがある。子どもはやってくるかどうかわからない。子どもがやってくることがあるとしたら、自分はどうするのか、そのことは最初に考えておく。産まない性である自分はそんなふうに考えていた。受動的ではあるけれど、どのようなことが起きても主体的に受け止めよう、というような。
一方で、不妊治療についていくらかは知っていた。ほんのいくらかだが、やはり近くで、不妊治療を続けていく苦労を聞くことがあった。例えば北海道に住む人が不妊治療で有名な栃木県の病院に通うというようなこと、あるいはまた、さまざまな副作用で苦しむ人の話、そしてそれを続けた先に、子どもを断念することがあることも。
そうしたことを知る前に、私は不妊治療にたいして、否定的な思いがあった。よく言われていることだが、それはある意味不自然な医療行為であるからだ。だが、実際に治療を通して子どもを授かった人たちの話や、先に書いた断念した人の話を知ることを通して、しだいに私はなにも言えなくなった。
産まれる、あるいは産まれないという事実は、とても重たい。それは不自然な医療行為かもしれないが、それを言うなら、子どもに限らずほとんど誰もが、そうした「不自然な」先端医療を通して、今を生きているともいえるからだ。

子どもを授かることを切実に望み、そのために具体的に費やしたものがあり、その上で断念した川口さんの息子さん夫婦のことを思った。そして詳しい事情は知らないけれども友人が会ったという、夫妻の「こども」のことも。
家族はあたりまえのようしてそこにあるのではない。そのことも思った。彼ら夫妻は「こども」を引き受けただけではない。彼らは家族であるということもまた、あらためて引き受けようとしたのだ。







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Last updated  2007.07.04 22:54:15
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★みゆきち★@ 性感エステってもったいないよね ムラムラってきたら性感エステに通ってた…
ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
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