boundary

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

2007.09.17
XML
カテゴリ: うちそと系
メール返信ありがとうございます。

ナショナリズムについてのAさんのお考えは、私なりに染み入るように入ってきます。
特に日本においてそれを考えるとき、おっしゃっていることが本当にそうだと感じます。
私自身、ナショナリズムからできるだけ遠く離れて生きてきたように思います。先日の二次会で、どなたかがオリンピックやワールドカップの有り様を批判していましたが、私の中ではそうしたレベルでの「日本」への肩入れはほとんどありません。また自分なりに日本の風土に対する思い入れと、日本という「国家」に対する考えは、別のものとしてあることを意識してきたようにも思います。

しかし一方で、どこへでもころがっていってしまう「自然な感情」としてのナショナリズムに背を向けてしまうとしたなら(私の場合です)、ナショナリズムにとらわれる人たちへの言葉は届かないのではないか、と考えたりもするのです。
最近、メディアにおいて、「反日」という言葉をよく目にします。日本のしてきたことに批判的な言説を行うものもの、それが日本人であっても、そこに「反日」というレッテルを貼るのです。これは「反日」が歴史的にどのように生まれ、ことばとしてどのように使われてきたかを考えれば、恐るべきことだと思います。胸が塞がる思いがします。

すごく矛盾するのですが、日本という国を愛することを突き詰めていくのなら、日本という国に誇りを持とうとするなら、朝鮮問題に思いをいたし、戦争責任を考え、沖縄について考え、「特定の外国に対する敵意をナショナリズムと呼ぶ」ようなことを批判し、そのようにしてナショナリズムを通過した先に「世界」と繋がっていくことはできないだろうかとも考えるのです。
Aさんは「自然な感情には、あらかじめ論理を封じる危険な作用がある」とおっしゃいます。それはその通りだと思います。しかしその自然な感情を否定するのではなく、相対化することのできる想像力を常に自ら問いながら寄り添うことはできないか、ということです。
私は長く、日本におけるナショナリズムを軽蔑していました。しかし軽蔑もまた一種の思考停止であって、それでは自然な感情で(それが危ういものだとしても)日本を愛する人たちへ届く言葉は持てないようにも思えるのです。


これまでの話とずれるようでもあり、繋がっているとも思えるのですが、北朝鮮による拉致被害者のご家族のことをときどき考えます。ご家族たちはなぜ、北朝鮮に対して強硬な措置を訴えるのか。

過去の植民地政策の実態を明らかにし、強制連行や強制労働、従軍慰安婦との関わりを詳しく公開し、戦後における政策において反省すべきは反省し、戦争責任と戦後責任をはっきりと認めて北朝鮮と向き合うこと、そうして国交回復へと努めること。乱暴に言ってしまえば、これまでの日本の北朝鮮政策と同格のものとして「拉致」があると認めること、そうであるならば、道義的にまず日本が、ほとんどが取り返しのつかないものであるとしても一歩でも前へ進むことが拉致問題の進展に繋がるのではないか。拉致被害者のご家族こそが北朝鮮の人々の痛みを知るものたちではないのか。
私は夢想するのみです。勇気を振り絞り、傲慢は承知でご家族たちに直接問いかけることをよく夢想します。しかし実際はただ新聞を読み、複雑な思いを抱えるのみなのです。

「責任の共有の自覚は、ナショナリズムという感情とは別物ではないか」
この問いかけについて、自分なりにもう少し考えてみたいと思います。
それはその通りかもしれない。いや、そり通りだと思います。しかしモヤモヤしたものが残る。そのモヤモヤを今は捨てず、抱えたまま考えたいというのが現在の心境です。

Aさんの問いかけてくださったことからずれてしまったかもしれません。
申し訳ありません。それでもこうした機会を与えてくださり(勝手に書いていますけれど)、深く感謝いたします。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.09.17 20:23:13
コメントを書く
[うちそと系] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Favorite Blog

テーマに沿った私の… 紫陽花ロックさん
石冢雄人のナイチン… バガボンド6449さん
ざわざわ日記 野沢菜々子さん
ふと木が震えるだけ… 木震さん
Words works Words worksさん

Comments

★みゆきち★@ 性感エステってもったいないよね ムラムラってきたら性感エステに通ってた…
ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
ウラガエル @ そーですか? 育児・子育て きらりさん 「そーです…

Archives

・2025.11
・2025.10
・2025.09
・2025.08
・2025.07

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: