書評日記  パペッティア通信

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Jun 29, 2005
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カテゴリ: 歴史
tyousen


「朝鮮社会停滞論」と戦前の歴史学。

その克服のため、戦後、「内在的発展」過程の究明がすすめられ、朝鮮近代史像は根本的に改められたという。その到達点と現状をふまえて、1863年の大院君政権成立から、1910年「韓国併合」までの通史を描く本書。やや古いけど、なかなか楽しめる本になっています。

李朝後期の、商品経済の発展にともなう、高密度の定期市網の出現。
17世紀以降、「小中華思想」の誕生がみられ、
庶民文化の成長を示すハングル小説も盛行したという。
18世紀先鋭化する、四色党派(老論・少論・南人・西人)の党争。
そんな門閥政治も、19世紀、外戚の「世道政治」によってさらに細かい党派に。

大院君政権は、書院整理&王権強化(&鎖国政策)策をおしすすめ、「斥和碑」建立に見られる「衛正斥邪」派の形成がみられました。一方1873年、閔氏政権の成立とともに、「開化派」が出現します。宗主権強化をはかる清に対して、「開化派」は、急進派(日)と穏健派(清)に分裂。1884年甲申事変で、急進開化派のクーデターは失敗。日本の勢力は後退しました。しかし1894年、「反日反閔氏政権」を掲げた東学党の乱を契機に、大院君を担ぎ出して、日本は閔氏政権を打倒。日本は、東学党再蜂起も鎮圧して、1895年以降、内政改革「甲午改革」をおしすすめます。



1904年日露戦争は、内政干渉をゆるす日韓議定書と、翌年の日韓保護条約の調印をまねき、06年には統監府は設置されます。ハーグ密使事件を機に、第三次日韓協約。義兵闘争は、1905年からはじまり09年に最盛期を迎えるものの、日本側警察による焦土作戦、懐柔・分断作戦によって鎮圧されてしまう。独立協会をついだ、大韓協会の反日愛国啓蒙運動も弾圧。1909年7月、日韓併合閣議決定。11月、伊藤博文暗殺。12月、一進会の「合邦声明書」。1910年4・5月、露英の承認。1910年8月、日韓併合。

こうまとめると、韓国が反日一色になる理由が、なんとなく見えてきます。
てゆうか李朝は、読んでいるこちらが腹のたつほど、バラバラなのですな。

なにせ、併合条約に調印した李完用は、元々親露派らしい。大院君を担ぐ勢力は、つぎつぎかわる。独立派は、反露、反日定まらず、訳分からない。義兵闘争と開化派は、独立運動しているのに、まったく協力しようとしない。むろん、大院君と閔氏のからみもあるのでしょう。これに、複雑な四色党派がからむ感じ。かの高名な朝鮮の朱子学まで、党派で系列化されていた(嶺南学派の李退渓は、南人派らしい)のには、驚くばかり。

そりゃ、植民地化の歴史から汲みだされる教訓は、どんなに主義主張や、地域や、党派を異にしても、とりあえず外に対しては民族は「一致団結」して、日本など外敵にあたることですよ。そういや、韓国のサッカー記者は、韓国に連敗続きの中国サッカー代表に「恐韓症」よばわりしてました。無礼な表現だなあ、とおもったものの、案外、こういう形になって一致団結が表現されているのかもしれません。

とりあえず、日本、清国、ロシアが入り乱れて、朝鮮半島を狙うさまは、複雑怪奇のひとこと。朝鮮の「自主」と「属国」をめぐる、さまざまな格闘が繰り広げられています。日本は、かなりスリリングな橋を渡ってきたことがわかって面白い。隣国の近代史を知らない人には、お薦めの入門書ではないでしょうか。

評価 ★★★
価格: ¥765 (税込)


追伸  

何冊かもっているけど、 山川の世界史リブレット は、どれもかなり面白いです。








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Last updated  Aug 25, 2005 01:59:25 AM
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はじめまして  
myuuta さん
トラックバックありがとうございます。 (Jan 5, 2006 07:28:07 AM)

はじめまして  
myuuta さん
トラックバックありがとうございます。 (Jan 5, 2006 07:28:11 AM)

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