書評日記  パペッティア通信

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Jan 26, 2006
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koruda5

1月27日


低迷久しい、クラシック業界。

新盤CDがまったく売れない。「帝王」カラヤン死去以降、ほとんど4桁どまりという。ウィーン・フィル&小澤『 ニューイヤーコンサート2002 』、サイトウ・キネン&小澤『 第九 』の夢よ、もう一度!モーツアルト・ブームを!なんとか起死回生の一打を!!ここ2週間メディアには、モーツアルトを讃える文章が絶えない。

朝日・読売の文芸欄を始め、モーツアルトとその周辺について、とりあげられない日はないといってよい。「美しい旋律」「天才」…さまざまな礼賛とともに語られ消費されてゆく、モーツアルト。

この軟弱な風潮に、わたしたちは断固、異議を唱えねばなるまい。

あえて言おう!
2006年は、ロベルト・シューマン没後一五〇周年でなければならぬ! 、と

ロベルト・シューマン(1810-1856)。


ピアノ曲を始めとして、交響曲などに多彩な才能を発揮。ドイツロマン主義文学にも深い造詣をみせ、音楽批評の先駆者として知られる。 「ドイツ音楽の精神性」神話をつくりあげ、今にわたるクラシック観の原型をつくりあげたのも、何あろう、シューマン である。かれの前では、『ピアノの詩人』ショパン(1810-1849)など、ポーランドの田舎音楽人にすぎない。しかし。ベートーヴェンの「第九交響曲」を越える作品を作らなければならない。その重圧は、同時代のライバル、リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)をして「楽劇」に走らせ、『ニーベルングの指輪』などの傑作に結実する。ところが、シューマンにとっては、精神を徐々に蝕んでゆくことになるのだ。1854年、ライン川へ投身自殺。一命を取りとめたものの入院。1856年7月29日、名ピアニストの妻クララと、7人の子供を残して、精神病院の中で息をひきとる。享年46歳。


だいたい、モーツアルト二五〇周年でブームを起こし、CDやコンサートの売り上げを伸ばそうという魂胆が寒々しい。「美しい旋律」…そんなものに引っかかるお客さんは、モーツアルトを何枚か買ってくれても、決してそこから先に進むことはない。実際、私も昔は、そんなお客さんだったから、良く分かる。クラシック音楽を子供の頃から注入されることなく過ごした人間にとっては、「美しい音楽」の何がいいのか自体、まるで分からない。楽譜に書かれた音符が、 演奏者によって命が吹き込まれ生成 されてゆく…その瞬間々々を、一音一音を予想しながら楽しむ… 「受け身」ではなく、「没入」して楽しむ …なかなか書きづらいが、 要は楽しみ方自体J-POPとはまるで違うもの であることを、初心者に分かってもらわないと、一過性で終わってしまうのではないか。

そもそも美しい旋律なら、ドヴォルザーク(『新世界』で有名)、チャイコフスキーでもいいはずだ。悲しさと楽しさ。この2つがめまぐるしく揺れ動き展開する、モーツアルト独特の個性は、一見「イージー・リスニング」にみえて、 聞き手にとっては、最高の難易度をもつ音楽の一つ であることを忘れている。ヘタすれば、美しいだけの退屈な音楽になりさがる危険があるのだ。 初心者が好む「交響曲」には、必ずしもモーツアルトの大傑作がない のも痛い。モーツアルトの神髄、ピアノ協奏曲やオペラに行き着くまでには、ファンはたいてい去ってしまうだろう。ブームを作るのは構わないが、不信感と禍根を残しかねない取りあげ方には、いささか辟易させられてしまう。

だからこそ、「ロベルト・シューマン没後一五〇周年」でなければならない。シューマンのメランコリックで不安定極まる旋律は、現代の病んだ我々にこそ、受け入れられるものではないか?。彼の音楽は、ベートーヴェンを受け継いでロマン派の確かな礎を築いただけではなく、後のブルックナーやマーラーを予告さえしているのだ。その精髄たる、交響曲第四番、豊饒なピアノ曲群を聴かずして、何を聴く!!。今こそ、忘れさられた時代の寵児、ロベルト・シューマンを復権させなれけばならない。1991年、モーツアルト死去200周年イベントを催しておきながら、今また取りあげるのはクラシックの裾野を広げることにはなるまい。

そんな、上っ面のモーツアルト・ブームを爆砕するためにも、あらたなクラシック受容の地平を予告している、コミックを紹介しましょう。 二ノ宮知子『のだめカンタービレ』(講談社Kiss)

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同名のPC・PS2のゲームと、メディア・ミックス。

音楽などに無縁の、普通の女の子だった主人公。ある日、精霊の命令で、音楽科へと通う美少年たちと一緒に、学内コンクールに強制出場させられてしまう…ラブコメディ作品です。

主人公以外のコンクール参加者は、男の子5人、女の子1人。
当然のように、主人公以外の女の子はまったく影が薄い。作者もいってるけど、結構いい娘なのに、惜しいですね。

ウリは、ご覧のように
驚愕する位、美麗な絵
つーか、美少年揃い!文句なし!(笑) 
樋野まつり先生、由貴香織里先生の耽美派の洗礼を受けた私でさえ、
ここまで耽美な絵というのは、あまり見た記憶がありません。

そのためか、バイオリン、チェロ、ピアノ、トランペット、フルート、オーボエの奏者が、何故、学外のコンクールへ出場するのに、 7名が一緒に同じ学内コンクールで優劣を競わなければならない のか。そんな異種格闘技コンクール、常識ならありえないだろ、どうやって採点できるの?という根源的な疑問がねじ伏せられてしまう。王道ならぬ、「邪道」といったゆえんです。とはいえ、結構、音楽についても、ソロや協奏曲など幅広く押さえているので楽しめます。ゲームに触れていな人でも、十分に面白い。

当然、美少年同士の関係も、伏線バリバリに張りまくっています(笑)。ただ、本編では、危ない雰囲気を漂わせることなく普通に展開されているのですね。残りは、腐女子向2次創作、「やおい」にお任せしましょうというお約束も守られています。その辺は一安心。少女マンガ、並びにクラシック漫画に興味のある方は、一度ご覧になられたらいかがでしょうか。

評価はこんな感じでしょうか↓


価格: 1~5巻  ¥410(税込)


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いずれにせよ、「ロベルト・シューマン没後一五〇周年」が「モーツアルト生誕二五〇周年」を圧倒し、『金色のコルダ』が『のだめカンタービレ』を圧倒したとき、日本のクラシックは、新たな次元が訪れることでしょう。

その日が来ることをねがって止みません.
(ちょっとウソ交じりです。苦しいですね【笑】)


kurara

追伸   ちなみにクララ・シューマンの愛用したピアノは、東京のホテル
     「 フォーシーズンズホテル椿山荘 」ロビーラウンジ「ル・ジャルダン」
     にあるそうです。結婚式やパーティーなどに出席した際、
     ヨハネス・ブラームス(1833-97)との関係に想いを馳せながら、
     ぜひ一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

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Last updated  Jan 30, 2006 05:25:22 PM
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