書評日記  パペッティア通信

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Oct 6, 2006
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カテゴリ: 歴史
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▼  中東情勢は複雑怪奇 ……… 平沼騏一郎ならそう口走りたくなるような、イラン核開発に、ハマス・ヒズボラに、アザガデン油田利権の危機。昨今くらい、歴史に由来した、中東の政治情勢を丁寧に解説してくれる本が、求められていることはありません。そんな人のための本、といっても良いでしょう。


▼  目次はこんな感じ

序章  中東三民族の特徴
   第1章  イスラームを誕生させたアラブ
   第2章  イスラーム世界に多大な影響を与えたイラン文明
   第3章  欧米支配とイラン民族主義の台頭
   第4章  トルコ民族の興亡
   第5章  共存していたトルコ人とアラブ人
   第6章  近現代におけるアラブ・ナショナリズム
   第7章  トルコをめぐる現代中東の国際関係
   第8章  突出するイラン・ナショナリズムと米欧・イスラエル



▼  全般的に重なりあう記述が多い点が難点かもしれない。
   そのためトピックごとにまとめてみましょうか。


▼  近年、中東史は、アラブ、トルコ、イラン3民族競合史に、ユダヤ人が入りこんで「四国志」ならぬ「四民族史」になっている。イラン・イラク戦争でも、スンニー派シリアは、シーア派イランと結びついていて、イラクとはお互いに 「アラブ世界の統一と発展、植民地支配からの解放、社会主義」であるバース主義 を唱えながら、国家同士は競合下にあったという。とはいえ、そのため シリアもイラクも、世俗主義が強い 。一方でヨルダンは、アラブ・ベドウィンが多数派パレスチナ人を支配する、イラクと同じような少数派支配国家。どこまでも中東の政体というのは、ゴチャゴチャしていて難しい。


▼  本書によれば、 イスラム原理主義は、アラブ民族主義の失墜、イスラエルの勝利、アラブ諸国の西欧型経済発展計画の失敗によって、世俗主義へのアンチテーゼとして社会に広まっている イランでは、貧富の差の拡大、若者失業者の改善、政治腐敗、民主主義の欠如といった、イスラム原理主義の原因となった状況がまったく改善されていない 。アラブとイランには、文化障壁があるので伝わらないのだ、とか。


▼  そんな現代中東事情を押さえつつも、その歴史を明らかにしていく。


▼  今も、強力な部族社会であるアラブ。多神教を堕落としたムハンマドは、教徒の代表だけではなく、軍司令官でもあった。このことからみても イスラムは、教徒共同体が必要なため、宗教だけではなく、政治・社会制度 にほかならない。隊商組織化・軍事遠征に手馴れていたアラブ人たちは、有能な征服者・支配者として、つぎつぎと支配を広げていく。アラビア語は行政用語、多様な非アラブ系住人が流入する都市での共通語として、民族の違いを越えて、が浸透していった。軍人による貴族政治ウマイヤ朝に対して、アッバース朝は、イラン人の登用をおこなうとともに、 カリフが「ペルシャ化」して「絶対的権威」 になっていったという指摘には唸らされる。そんな違いがあったんだ。


▼  近現代アラブのナショナリズムとイスラムは、トルコからアラブが独立した後に、英仏などの委任統治勢力に敵対することになった。とはいえ アラブ・ナショナリズムの本格的勃興は、イスラエル建国まで待たなければならない 。1967年中東戦争の敗北、70年ナセルの死、79年エジプト単独講和で、アラブ・ナショナリズムは退潮してしまう。


▼  トルコ、ペルシャ(イラン)と違い、アラブは統一されていないので、われわれには3者が絡まる外交関係が良くわからない。本書のアラブ編の白眉は、この国家間関係の整理にあるのではないか。仲が良かったの国家同士は、「パフラヴィー朝イラン-イスラエル」「湾岸保守王国-アメリカ」「かつてのエジプト-シリア-ソ連」「建国当初のイスラエル-ソ連」「トルコ-イスラエル」。仲が悪いのは「イラン-アラブ」以外には「シリア-イラク」「イラク-イラン」「シリア-トルコ」といった隣接諸国なんだとか。 トルコは、伝統的にアメリカ・西側陣営 につき、アラブと仲が悪かったものの、キプロス領有問題とイスラエルの対アラブ勝利によって、1970年代には、「アラブ-トルコ関係」は蜜月関係になったという。またトルコは、エジプト・イランとは、競合関係にあるという。その一方、近年イランでは、保守穏健派(聖職者・バザール商人:ラフサンジャニ元大統領)・保守強硬派(中下層:アフマディネジャド現大統領)・改革派(ハタミ前大統領)の対立関係があるようだ。イランの影響力はイラクにも浸透していて、アメリカも心配しているが、イラク人の多くは心良く思っていない。 現在のイラク・イラン接近が見られるが、それはイラク・シーア派とクルド人独立派主導の政権を快く思わず、支援しようとしないアラブ諸国に対する、イラクの怒り でもある、という観点はたいへん示唆に富む。

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価格: ¥ 924 (税込)


追伸  更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

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Last updated  Nov 8, 2006 12:53:07 PM
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Re・・・・  
30分パソコンとにらめっこしてましたが、さっぱり分かりません。
内容自体難しいってのもあるのですが、やっぱりものの考え方の違いもあるのでそこらへんもさっぱりで・・・。
とりあえず 複雑な問題ですね。
ここの問題が解決できれば 世界平和に大きく一歩近づくことができるみたいですけどね。
すっごく 大きい壁ですね; (Oct 6, 2006 10:26:20 PM)

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