死は悲しいものではない?2

 * 死は悲しいものではない?2 *







    一度、従兄弟と久々に祖父母の家に集まった時、
    西瓜が出された。




    西瓜は、


    少しも甘くなくて、美味しくなかった。






    従兄弟達が口々に、

    『この西瓜、全然甘くないね。』 




    と言い出し、私も頷いていた。






    しばらくすると、祖父がニコニコしながら
    入ってきた。




    『西瓜、どうね、うまいね?』




    誰も、何も応えられなかった。
    お世辞にも、美味しいとは言えなかった。







    後から聞いた話では、


    祖父は、
    久々に孫がたくさん集まる、と言う事で




    重たい西瓜をわざわざ不自由な身体で
    買いに行ったのだということだった。







    私は、あの甘くない西瓜に、
    祖父の優しさを感じて、




    なぜかとても悲しい気分になった。





    そして、
    『おいしいよ』と
    笑顔で答えられなかった事に、



    未だに後悔を感じている。









    亡くなった祖父は、
    まるで人形のようだった。



    誰もが無言で、





    私は、何か少しでも話してしまうと
    途端に涙が堪えられず溢れてきそうだったので、



    じっと黙っていた。







    火葬場で、



    祖父の何もかもは、



    煙になった。






    私は、知っている。

    あのお腹に、戦争で負った弾丸の穴がぽっかりと空いているのも。





    あの人は、

    あの人のあの身体は、



    戦争を知っていることも。





    あの人をずっと支えてきた骨が、

    灰になってしまった。






    なんで、なんで

    ひとは死ぬのだろう。







    なんで、なんで

    ひとは死ぬのだろう。








    そんな事ばかりが、

    頭をいっぱいにした。






    大好きな、セナも死んでしまった。




    辛い。辛い。寂しい。寂しい・・・。





    なぜ、なぜ、とばかり考えて、
    絶望的になった私の心に、








    突然、声が聞こえた。






    『 死は、悲しいものじゃありませんよ、


      悲しいものじゃありませんよ、死は 』








    私は、はっとした。

    じゃあ、なんなんだ、




    死って、なんなんだ!!!!!





    そう聞き返してみたが、それ以上
    声は聞こえなかった。





    たぶん、その答えは
    自分で見つけるのであろう。




    そして、その答えは
    未だにわからないでいる。








    祖父は、
    こうして私の心に、いつまでもいる。



    死んでしまって、
    いなくなってしまっても。







    そうして、祖父は、
    『わたし』を残した。



    私には、祖父の血が流れている。







    祖父は、私を残した。














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