風鈴文楽夢綴り🌸 🌸 今日も笑顔で毎日ルンルンスキップ しよう🌸

僕が死すなら






 僕が死すなら

 僕がもし死んだら僕がもし何かの不慮の事故か
 不測の事態で死すことがあったら必ず涙を流しておくれ

 これは虫のいい話だろうと思う。
 生きているうちからこのような要求をするなんて
 しかし涙流さずともせめて線香一本あげておくれ

 人生の道には幾多の困難がつきまとう
 重い荷物を背負っていばらの道を歩くようなものだ

 それゆえにある日突然に死が訪れるのである
 死ねばその人の魂は天に昇り二度とその人に
 会うことはできぬ悲しい定めがある

 僕はいま不意に死に直面した時僕の口から
 発せられることは何だろうかと考える時
 僕は母であり兄弟に対しての死していく前の僕の
 悲しみであり母や兄弟に対しての惜別の感情であろうか

 しかし僕はその時僕の人生は幸せだったとか
 死して本望だったとかは一切口にしないだろう

 死は悲しさだけを残す最たるものだ
 その人の思い出と面影といくつかの遺品を
 残してしかその人の人間を表現しうるものはない

 死して何を残しうるかそれを考える時僕は財産や金でもない
 不意に訪れた死に対しても燦然としてその人の生き様を
 伝えるものそれは母や兄弟に対する勇気づけの文章だろうか

 勇気づけの言葉や文章が僕の惜別となるものだ
 僕は何も母や兄弟に残すものもなく
 忽然とこの世から消えさることはできない

 それは僕の気持ちであり愛であり母や兄弟に
 対する僕の永遠の別れのメッセージである

 僕は死んでも母や兄弟の心の中になんらかの
 形の命として小さな灯として住んでいたい

 死は新聞紙上で毎日のように報じられて
 いるのが今日の常であるが真の死・
 勇気ある死とは一体いかなるものなのか

 溺れかかった人を助けようとして死す
 火災の中に飛び込んで行って死す

 死はまさに勇気という文字の隣合わせにいる

 なにはともあれ恥ずかしくない死に方を覚悟して
 こそ真の男であり真の日本人ではないだろうか

 僕が死す時はせめて恥ずかしくない男として
 の死をもってなにかの文章を残して死にたい




























© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: