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あ~ちょっと今回も場所の説明がなげーっすよねw なんか長文ですまんっすw 第3回もすっと読み飛ばしてくださいっすwユウちゃんはまだちょっとしか登場しないっすよ~w 今回登場するカズくんは、バブル後も最高のビジネスパートナーとなった人っす。
600億円のユウ -3- バブルの城
さすがに歩の高い仕事だけあって、面接会場には割と大勢集まっていた。15人くらいかな。
ブン「すいません遅刻しました」
こんな面接の時にも普通に遅刻してしまう俺は、ホント社会適応力がない。太ったやたらモミ上げの長い男が怒った様な顔をした。会社側の人間っぽいが、ネクタイはしてなかった。こいつがイベント会社のしきりの杉山氏。
杉山「何時だと思っているんだ!席につけシッポ!」
ブン「シッポ?」
シッポと呼ばれてすぐ俺は気がつく、俺は当時後ろ髪の一部だけを細く腰まで伸ばしていた。そういえばシッポと言えばシッポだな。俺が席につくと、さらに遅れてきたやつがいた。耳にピアスをしていて、沢田健二をベリーショートにしたような男だった。
「カズです。遅れてすいませんでした。」
杉山「ま、いいや遅刻した罰として、遅刻した二人から聞こうか。カズとシッポ!お前ら二人、他にどんな仕事したことがある?」
カズ「僕は麻布のバーでDJみたいな事してました。」
ブン「俺、僕はパソコンで作曲とかしたり、雑誌のイラストとかっす。」
杉元「よし。他、帰っていいぞ。お前ら二人採用!」
なんという面接だw 他の人たちはまったく納得がいかない表情で、会場をあとにした。遅刻した二人が採用されたのだ。後で聞いた話だけど、実はこの面接さらに4グループが俺らより前に行われていたみたい。100人くらいの中からもっとも社会からはずれてそうな二人が採用されたってわけだw
杉山「カズ、シッポ!外へ出ろ現場に向かうぞ」
俺たちはワンボックスの車に乗せられて、ある場所につれていかされた。そこは汐留(シオドメ)だった。夕留というのは東京の中心地にありながら、わりと土地が広く開いている場所だ。新百合丘生活の長かった俺は、まったく知らなかったんだけど、そこには巨大な遊園地が建設されていた。
杉山「ここがあさってからオープンする 東京ルーフって大人の遊園地さ」
ブン「じゃ僕たちはこの遊園地で働くんっすか?」
杉山「いやこの中に巨大なハコがある。」
ブン「ハコ?仕事ってどんな事なんですか」
杉山「後ろの席に黒い服があるから、それに着替えておけ」
俺の質問をスルーして、杉山氏は着替えるように指示した。俺の20倍は遊んでそうなカズは察したのか。こう言った。
カズ「僕らディスコの黒服やるんですか?」
杉山「いやDJブースに入ってもらう」
俺にはさっぱりなんだかわからなかった。服を着替えながら、戸惑う俺を見てカズがクスリと笑った
カズ「ブンくん 改めてよろしく。なんで俺たちが採用されたかはわからないけどね。俺2x歳。カズ。」
ブン「あ、よろしくです。俺より2個上ですね。」
カズは俺が今まであったことのない、大人の雰囲気をもった男だった。初対面なのに敬語を使わない彼にちょっと救われた。何をやらされるかわからなくてそわそわしている俺の不安は解消された。ぱっと見ちょっとオカマっぽいといえばそうなんだけど、おしゃれでかっこよかった。
ちなみに俺には上の兄弟はいないっすよ。兄貴がいる人って兄貴の影響で絶対早く大人になれるっすよね。いろんな悪いこととか覚えるのが早いと思うっす。かっこいい兄貴がほしいってのは、けっこう男の子の願望だったりするっすね~w
杉山「挨拶は後だ。ここがお前らが働くハコ。サイカだ。車降りて中に入れ。」
サイカ。そこは巨大な映画館のような場所だった。あさってのオープンに向けて、作業員がいろんな機材を運び込んでいた。
杉元「あとこいつ貼っておけ。バックステージパスだ。」
バックステージパスは知っていた。ライブなんかで、スタッフや出演者とお客を区別するために貼られるシールの事だ。これを貼っていれば、楽屋なんかに自由に出入りできる目印になる。
サイカの入り口には巨大なロケットの様なものがたっている。作業クレーンが吊り上げている。
杉山「あのロケット、本物の宇宙ロケットだぞ。ソ連 (*1)
から50億円でレンタルしたんだ」
ブン「うっそ~? (*2)
高いっすね」
杉山「ま~はったりだからなw」
サイカに入り、大き目のロビーがあった。巨大なマイケルジャクソンの肖像を壁に設置しているところだった。
杉元「あの肖像は2億円する。」
俺には縁のない億という単位が乱発される。ほえ~~っという感じで周りを見渡すと、金髪で長髪の外人が、サングラスをかけた日本人と立ち話をしている。
ブン「うわっ ロッドスチュート (*3)
に似ている外人だな~」
杉山「本人だ」
ブン「うそ~ 俺大ファンなんっすよ なんでここに?」
杉山「あさってオープン日に歌うからな。彼のギャラは4億だ」
俺がジーッと見ていると、ロッド本人が気がついて手をあげた。
「hi コニ↑チ↓ワ~↓」
「な、な、ナイスミーティング…」
心臓ばくばくだ。
ありえない光景の連続だ。なんなんだここは。そしてロビーを抜けるとそこは小学校の体育館を4つほどあわせたような広さをもつホールだった。天井からは巨大なミラーボールが吊り下げられていた。そのホールから階段2階ぶんほどあがったところにDJブースはあった。巨大な音響ミキサーや照明コントローラーのとなりに、小さなテレビがたくさんならだような席があった。LD (*4)
,シブサンデッキ (*5)
,ビデオミキサー(DVE),ビデオスイッチャー。その頃はわからなかったけど、今思えば、当時にしては割と高級な映像業務機が並べられていたと思う。
杉元「ま~お前らの仕事はこの映像をコントロールして、ホールに流す仕事だな。言ってみれば、映像のDJみたいな仕事だよ」
杉元氏が指差した方向には、400インチのテレビが16個も並べられてつくられた映画のスクリーンみたいなものがあった。マルチスクリーンというらしい。当時はまだVJ(ビジュアルジョッキー)という言葉はなく、映像オペレーターと呼ばれていた。DJの鳴らす音楽にあわせてリズムよく複数の映像をミックスする仕事なわけだ。
今日はバイトの面接のはずなのにいきなり、この始めて触る機材をマスターさせらる事になった。
杉元「今日もギャラはちゃんと出るから心配すんな。お前らならオープンまでにマスターできるさ。俺の感で選んだんだからな。間違いはねー」
「おはようございまっすっ!!」
「おはようございますっ!」
DJブースにスタッフの声が次々と鳴り響く。と同時にダークスーツのオールバックの男がブースに入り込んでくる。
杉山「お前らもあの人に”おはようございます”と大声で挨拶しろ。あのお方がここのオーナーの藤代さんだ。」
小声で俺とカズに伝える。
ブン&カズ「おはようございます!」
杉山「おはようございます 社長」
藤代「よう 杉山ちゃん。映像のほうどうよ」
杉山「今日はオペレーターを二匹連れてきました。カズとシッポです。」
藤代「シッポ? あ~シッポみたいな髪だなw」
「かわいい~~!!」
あの威圧的な杉山氏より、さらに強圧的な藤代社長の後ろから、小柄な女の子が顔を出した。そしていきなり俺のシッポ(?)をつかんできた。胸の大きくあいた大人びた格好をしているけど、間違いなく俺より年下だ。
「かわいい!なんでこんな髪型してるの?」
俺が困っていると、藤代社長がその女の子をつれもどす
藤代「ユウw おとなしくしてなさい」
ユウ「はぁい。しっぽちゃんまたね~♪」
初めて会ったユウは、俺がそれまであったどんな女よりもキラキラしていた。
("第4話 愛人契約
"につづく)
うんちく
(*1)ソ連
かつて、世界を二分していた巨大な共産主義国。貧富の差のない理想的国家を目指したが、その理想を維持するための弾圧が目立ち、1991年に民衆の力により崩壊する。当時の科学水準はアメリカと並んでトップクラス。
(*2)うそ~
ウソー ヤダー カワイイーはバブルより少し前におこった女子大生ブームで一般化したもの。現代の"アリエネー"の前身。当時の女子大生はバカさが売りだった。(ex."今のアメリカの大統領は?" "リンカーン")少し前の女子高生ブランドの様なブーム。
(*3)ロッドスチュアート
ロンドン出身のロックボーカル。ジェフベックグループのリードボーカルを経て、ソロロック歌手として、数々のヒットを飛ばす。代表曲 セイリング、ホットレッグス、トゥナイトナイト
(*4)LD
高品質な映像メディアとして1980年代に流行した。大きさは今のDVDよる遥かに大きく、30cmくらいのフリスビーのような円盤だった。アニメマニアなどには後期まで支持された。
(*5)シブサンデッキ
業務用のビデオデッキ。VHSよりやや大きい。ちなみにVHSの事をニブンノイチという。
ユウの最後を掲載して 2006年01月17日 コメント(16)
600億円のユウ 最終話 カウントダウン 2006年01月16日 コメント(33)
600億円のユウ -6- バブルの正体 2005年12月31日 コメント(15)