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「まあ捕虜収容所は私怨で運営されんように、別地域の部隊が管理するのが良いやけどな。遠い南の地やし部隊派遣の都合がつかんかったんかな? 自分らが行った捕虜収容所を管理してたのは、ちょっと前まで戦い合った敵兵達でな。まぁ俺らのせいで片目、片手、片脚とかになった負傷兵が運営してた。だいぶ後で交代の兵士達が来たけど、それまでの間は大変やった。まあ言ってみれば『お前らの顔みると古傷が疼く』みたいな敵兵も何人かはいた。」
(ラバウルでは160名のオーストラリア兵の虐殺の記録がある( ラバウルの戦い
)。カビエンでは少なくとも23名のヨーロッパ兵の虐殺の記録がある( カビエンの大虐殺
)。戦闘に加えて捕虜を虐殺した事も捕虜収容所での日本兵の立場に少なからず影響していたと思われます。敵(捕虜)を人道的に扱う国の教育があれば、捕虜収容所で助かった日本兵が亡くなる事は相当数避けられていたかも?と思う。)
「捕虜収容所では遅礼と言ってな、挨拶の敬礼が一瞬遅れただけで失礼にあたる。普通は軽い処罰で済むところ、相手さんが我々が負傷させた敵兵だと大変。遅礼という事で、即座に銃で頭を撃ち抜かれ呆気なく死んだ兵士もいたよ。なるべく目を付けられないように刺激しないようにね、する必要がある。 」
「自分は幸いにも機械の修理技術を持っていた。機械の調子が悪くなると「Hi Nemu! (仮名)」と呼ばれて直しに行ってサンキュー言うてもらえる。そうやって可愛がられ生き延びる事ができたわ。機械を修理できる日本兵は貴重やから、そうそう簡単には殺されずにすんだ。」
「どの国でも敵国を憎む教育はされると思うけど、戦争行って捕虜にもなって生きて帰って来れて思うわ。敵味方どちらにもいい奴と悪い奴とクズは等しくいると 。帰国して町工場で働いて、海外とも取引して『おたくの工場でないとこの部品は無理』とか日本では理解してもらえなくて海外から認めてもらった事も何回かあった。で、思うんやけど、国で線引くのではなく身分や職種や性格で線引く視点は大事やわ。」
「今でこそ笑い話かも知れないが 遅礼で頭ぶち抜かれる例の収容所でエビス(仮名)というクズが俺に寄って来て迷惑だった」と苦笑いする彼。
「とにかくエビスは手を抜く 土砂運びでもバケツリレーでも 巧妙に俺が手を抜いてるかのように偽装するんや。自分が重い岩を運ぶ距離を少しでも短くしようと細工する。等間隔でリレーしているのに、ワシからちょっとづつジワジワ離れていく。足腰が丈夫という事で仲間からも重宝されたぐらいやから、自分のが運ぶ距離が長くなるけど何とか頑張ったわ。でも頑張ったらその努力を認める奴と「まだいける」と仕事を増やしてくるクズっておるやろ?エビスはそのタイプ。俺が頑張ったら「まだいける」と思って更に遠のいて楽しようとするクズなんや。ちょっとずつ岩とかバケツがワシとクズの間に溜まっていく。結局は見張りの敵兵に見つかって連帯責任になる。しょっちゅうや。刑罰は鞭を使っててな、よくエビスと一緒に鞭でしばかれて転がされたと。鞭の扱いは本当に上手い!転がっても転がっても的確に当ててくる。「イタイ!イタイイタイ!」って、2人でよう転がされてたわ。笑えるけど、笑いごとじゃないわな。エビス(仮名)が1人で手を抜くと殺されるリスクが高いから どうしても作業が面倒で手を抜きたい時は敵兵の気にいられてる俺と一緒の時に手を抜くみたいでな。 そんなバカげた所業も戦争。 華々しい戦死だけじゃない 病死・餓死・敵を憎む教育と洗脳による自殺・収容所で復讐される戦死もある。」
(餓死・病死・敵を憎む教育と洗脳による自殺・楽になりたくて?手榴弾で自殺・収容所で復讐のため?殺害。全てがまとめて英霊として祀られている。食糧を独占した海軍と盗みに入った陸軍との自国の兵士同士で犠牲になった兵も同じ場所。責任を取った現場指揮官と無罪放免となった上層部も同じ場所。「国を愛した尊い犠牲に感謝します」という言葉だけで本当に弔いの言葉になる? 大切な何かを加えるべきでは? 写真と生き残り兵の言葉は 我々に何かを問いかけている。 敵国の住民全部を憎むだけで愛国になるの? 市民同士の交流は不必要? 教育はこのままでいいの?憲法改正で消え行く人権の条文こそ犠牲になった兵士と住民の本当の供養じゃないの?)
(ご高齢になり 複数の病が重なり そうそう何十年も行きられないかも?という事で 他人である私に戦争体験を話されてました。部隊によっては捕虜や住民の虐殺などあったようですが何も語られず。)
ただ「今思い出すと愚か過ぎて笑えて仕方ない」と笑いながらも、涙が溢れ出していた横顔を思い出します。
読んでくださってありがとうございます。
大事な話をされてる横で家事疲れ軽度認知症もあり奥様はずっと居眠り。
彼の最後の話
「辛いばかりの記憶だが良い記憶は2つ
太いロープでみんなで釣り上げた大きなクエは美味かった
そして海は本当に青く美しく もう1度、その海を見たい 」
写真 カビエン近海

ニューアイルランド島カビエン近く生き残… 2018.09.19
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