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2006年09月06日
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焚き火の炎がだんだん小さくなって、

元のペアがそれぞれ、酔っておぼつかない足を引きずるようにして

どこかへ消えていった。

最後に誰かが熾き火を消して闇が広がった。

しかし、それはほんの一瞬のことで、

天空からシャワーのように星の光が降り注いできた。

都会にいれば、こんなに空に星が詰まっているとは想像もできない。

英語で天の川をミルキーウェーというのを思い出す。

ミルクの道とは、よく言ったものだ。



北極星を探す。方角が分かると何となく安心する。

星座を習い覚えたときの記憶をたどる。

確か北極星の近くにはW字型のカシオペア座があるはずだ。

そこを起点にして見つける方法を思い出した。

あった! あれがあれが北極星だ。

こぐま座の柄杓の端に輝いている星が北極星の星だ。

するとあの大きな柄杓が北斗七星か…。

じいっと星空を見ていると忘れていたはずの星座の名前が次々に蘇ってきた。

ヘビ座、さそり座、いて座・・・・・・。

そうだ、ぼくは小さい頃、星をよくみていた……。

白鳥座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガ、



ベガは織り姫で、アルタイルは彦星・・・・・・。


「ちょっと、起きて。ほら」

酔って横になっている恵子を揺り起こした。

恵子はびくっとして一瞬半身を起こそうとする。

「ほら、星がいっぱい出てるよ」といったが、



恵子が少し不満そうにつぶやく。

「どんな夢?」

「うーん、・・・・・コイビト」

「恋人? 誰?」

「夢の中の恋人」

「……。コイビトか、コイビトて何やろなあ」

「・・・・・・」


正面に広がる海を見る。

ザザザーッと音が高くなって波が押し寄せる。

そしてサーと引く。

小石の跳ねる音も聞こえる。じっと聞く。目をつぶる。

寄せては返す波。万、千万、億、兆、京・・・、

どんな単位もこれまでの波の総数を数えることができないだろう。

ここにいると、海は天空につながり時空にもひろがっていくような気がする。

その海の中で人魚のように泳ぐことができればどんなに心地よいことか……。


一枚の木の葉のように波穏やかな海の上で揺られている。

胸の上を波がいったりきたりする。

恵子から離れて、岩場から飛び込んだときに、怪我をしたようだ。

傷がいたむ。

血がまだにじみ出ているだろう。しかし、それも海が無限大に溶かしている。



饗宴が終わり、火が消えてからまだ三〇分足らずのはずなのに、

その記憶は小さくなってゆく。(つづく)





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最終更新日  2006年09月06日 20時06分38秒
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