Precious Precious

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フルーツの香料を作ろう



 実験室で、簡単に果物の香りがする物質を作ってみましょう。
 お酒の主成分・エタノールに代表される「アルコール」と、お酢の主成分・酢酸に代表される「カルボン酸」の組み合わせでいろいろな果物の香り成分を作ることができます。今回は6通りの組み合わせで試してみました。

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試験管に各アルコール2mlずつ入れたところ。左からブルー・エタノールC 2 H 5 OH、ピンク・エタノール、黄色・n-ペンタノールC 5 H 11 OH、緑・n-ペンタノール、白・オクタノールC 8 H 17 OH、オレンジ・ベンジルアルコールC 6 H 5 CH 2 OH


↓試薬の入っている瓶。液体はいずれも無色透明です。 エタノール は注射の消毒の香り、 ペンタノール は鼻が曲がるような臭いです -_-#  デカン酸 は別名「カプリン酸」といいヤギの汗の成分だとか。30℃くらいで凝固するので湯煎で融かして使いましたが、バターというか、シェーブルチーズの臭いがしました。 サリチル酸 は昔解熱鎮痛剤として使われていた物質で、現在はこれに酢酸を反応させた「アセチルサリチル酸」いわゆる「アスピリン」が使われています。アスピリンの合成も高校化学の実験でよく行われます。

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 カルボン酸を2ml(サリチル酸は固体なので1g)を加え、濃硫酸1mlを静かに加えてよく混ぜます。

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恐怖の濃硫酸。慎重に扱います。


湯浴に試験管を入れて数分、香りを確かめます。どんな香りがするでしょう?

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↓実験結果。↓

ラベルの色 ブルー ピンク 黄色 緑 白 オレンジ
アルコール
エタノール エタノール n-ペンタノール n-ペンタノール オクタノール ベンジルアルコール
カルボン酸
ヘプタン酸 デカン酸 酢酸 サリチル酸 酢酸 酢酸
香り
イチゴ? グレープ? バナナ? パイナップル? リンゴ? ジャスミン?


 先に結果を見てしまうと、思い込みが働くので自分で香りを確かめてから資料と照らし合わせました。ピンクはデカン酸のバター臭が強烈でフルーツ香があまり感じられず、緑はほとんど香りがせず。中でも白のリンゴは強烈に香りました。

~~ここから化学の勉強~~
 炭素C・水素H(他に酸素O、窒素Nなど)からできている「有機化合物」の種類に、 「エステル」 というグループがあります。たとえばエタノールC 2 H 5 OHと酢酸CH 3 COOHに濃硫酸を加えて加熱すると、

C 2 H 5 O H + HO OCCH 3 → C 2 H 5 O-OCCH 3 + H 2 O


の反応が起こり、「酢酸エチル」という物質ができます。
このように 「アルコールのヒドロキシ基-OHの水素原子Hと、カルボン酸のカルボキシ基-COOHのOHがとれて合体(縮合といいます)した物質をエステルといいます。」 とれたHとOHは合体して水 H 2 Oになります。濃硫酸は脱水剤として反応を進める働きをしています。

 エステルは芳香をもつものが多く、アルコールとカルボン酸の組み合わせで様々な香りになります。

R-O H + HO -CO-R' → R-O-OC-R' + H 2 O
(R,R'は炭素Cと水素Hの集団)


 製菓用エッセンスなどの香料、生活用品や食品にもエステルは使われています。「天然の香りじゃないなんて」とか「体に悪そう」などというイメージを持たれるかもしれませんが、日本は諸外国に比べて食品の香り成分に使われるエステル合成の材料としての、アルコールには厳しい制限を設けています。(健康上全く問題はないが日本ではダメでアメリカでは使用可という物質はいくつかあります)
 わたしは実験で天然と同じような物質ができるなんてすごいと感激して化学にのめり込んでいきました。この感動を、今の高校生にも伝え、化学への興味をもっと持って欲しいと思っています。

 今回、この実験をしたのは実は初めてです。この分野は教科書の最後のほうにあり、その学習時期になると教科書を終わらせるのに必死で、その後はセンター試験などの受験向けて問題演習に切り替わります。一番化学の楽しさがわかる有機化合物の実験に時間が割けないことが課題の一つです。


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