Precious Precious

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バラード第4番への憧れ



 前述のアシュケナージのアルバムで初めてChopinのバラードを知りました。
全4曲あり、すべて演奏時間が10分近くある大曲です。聴き慣れないうちは、1曲がとても長く感じ、ただ聞き流している、という状態でした。そして、明るく華やかなNo.3(変イ長調)が素敵だなあと思うようになり、ついにバラードの楽譜(全音)を買ってしまいました。CDで聴くと「どうやって弾いているのか」と思うような箇所は楽譜で見るとこうなってたのかー、と新たに感動もあり、なかなか曲の最後までたどり着けないもののちょっとずつバラードに触れて行くようになりました。CDを何度も聴いているうちに、 No.4(ヘ短調)の曲のドラマティックな後半部分 が忘れられなく、何と感動的なのか、ともう10年以上もこの曲に取り憑かれています。本当の「通」であれば、ショパン弾きの音源を聴き比べして「エチュードはポリーニが最高だ」「アシュケナージよりはツィマーマン」などと奏者の技術や音楽観を解説するものかもしれません。私はなぜかアシュケナージにこだわり続けています。何でも極めないのがわたしです。

 その後、大学に進むと一人暮らしをするようになり、ピアノのない生活が始まりました。バイトや実験に明け暮れた生活でしたので、不便は感じませんでしたが、たまに痛切にピアノを弾きたいと思うことがありました。(よその大学のレッスン室にもぐりこんで練習しに行ったこともあります:笑)実家に帰省するとひたすらピアノを弾きましたが、日頃弾かないと指が動かなくなり、バラードNo.4は一生かかっても無理だと半ばあきらめてしまいました。ピアノリサイタルのプログラムにバラードNo.4が入っていると、一人で聴きに出かけたものです。アシュケナージは最近指揮者としての活動が素晴らしいですが、96年と98年にピアノリサイタルのツアーを日本でしており、もちろんどちらにも行きました。ただ、私が行ったときのプログラムにだけ、バラードNo.4が入っていませんでした(涙)

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 月日は流れ・・・高校教諭になり、現在の夫と出会いました。彼は声楽を専門としてきた音楽教員で、彼の父親はピアノ調律師です。嬉しい出会いでしたが、幼い頃からコンクールに出場し、高校から音楽専攻科で教育を受けたという彼に「趣味はピアノなんです」と言えなくなってしまいました。でも、よく話してみるとお互いのピアノに関わってきた環境が全く違い、彼にとってはピアノ=やらされるものという感覚が染み付いてしまったようで、ただピアノ好きな素人の私をうらやましいとも思うと話してくれました。おかげで夫に変な引け目はなくなりました。義父もたまたまピアノ好きの嫁でとても喜んでくれています。私に十分な時間ができ、義父からスタイリッシュな電子ピアノを購入して本格的にピアノを始めることができました。
 ぜいたくを言えばきりがありませんが、家にピアノがある、これだけで何て素敵な生活が送れることか。ピアノを弾くときは身だしなみを整えて座りたいのでいろんな意味で気がひきしまります。またレッスンに通うこともできるかもしれません。バラードNo.4をあきらめずに、一生の目標として弾いていきたいと思っています。

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