KAYO in ENGLAND

KAYO in ENGLAND

2005年11月14日
XML
カテゴリ: シュタイナー
夏のルドルフ・シュタイナー・カレッジには素敵な人たちが各地から集います。数多くの講座を教える先生達と、それに参加する人たちが2000人以上。その中の一人、クラウスは、ドイツから来るクラフトの先生。30年のシュタイナー教師としてのキャリアを持ちます。今は定年退職して、ドイツ、ロシア、ポーランド、エジプト、アメリカなど、世界を飛び回って教えています。ひょうきんでお茶目さん。見た目はちょっと宇津井健風。まん丸メガネをかけて、おどけた表情。でも、教師として、ウッドワーカーとしてはぴか一です。

高校では、生徒達はクラウスのクラスで1年間かけてのビック・プロジェクトに挑みます。バイオリン、ビオラ、チェロなどの弦楽器を作るのです。シュタイナー学校ですから、「ギター作成キット」みたいなものは一切使いません。単なる木材を手で彫って作りあげるのです。

あるバイオリンの才能をもつ女子生徒は、自分で自分のバイオリンを作りあげました。彼女は、あの有名なニューヨークのジュリアード音楽院に進学するほどの才能の持ち主。ジュリアードに進学する前、彼女は、彼女の才能を活かすことのできるバイオリンを探しました。ところが、納得できるバイオリンがない。よほど、彼女自身が作ったものの方が、良い音なのです。結局、納得できる、というか、彼女作のバイオリンと同等レベルの音のバイオリンを見つけました。なんと1000万円もするモノだったそうです。結局、買うのはやめて、自分のバイオリンを携え、ジュリアードに進学したそうです。彼女の耳が良い、とは言え、やはりいい先生あってこそ、これだけのバイオリンができたのですね。

そんなクラウス、何せ30年のキャリアですから、教え子は数知れず。定年退職する時、教え子達が集まってイベントを開きました。コンサートです。シュタイナー学校の卒業生ですから、弦楽器演奏はお手のもの。コンサートで彼らが演奏したのは、全て、彼らがクラウスのクラスで作った、手作りの弦楽器たちでした。

そんな、生徒達に愛されているクラウス。
毎夏、カリフォルニアに来るたびに、シェラネバダ山脈に小旅行に出かけます。山脈の一部、ホワイト・マウンテン。アメリカの国定公園です。そこには、世界最古の木が今も生存しているのです。
国定公園から、自然のものを持ち帰ることは禁止されています。たとえ、石のかけらであろうと、松ぼっくりであろうと、木の切れ端であろうと、ご法度です。でも、クラウスは、許可を得て、その世界最古の木の一部(落ちていたものです)を持ち帰りました。

翌夏、カリフォルニアに来たクラウスは、ビオラを携えていました。そして、彼はまたホワイト・マウンテンへ旅をしました。ドイツから持ってきたビオラをもって。そのビオラは、前の年、ホワイト・マウンテンから持ち帰った木で作ったビオラでした。ビオラとして生まれ変わって、生まれた場所に戻ってきた木。クラウスは、ホワイト・マウンテンの世界最古の木々たちの前で、そのビオラを奏でたのでした。

なんて、素敵な叔父様クラウス。


この記事を評価する












お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年11月14日 06時29分06秒
コメントを書く
[シュタイナー] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

コメント新着

王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
リナ@ 今日は苺ぱんちゅ <small> <a href="http://kuri.backblac…
しおん@ ヤホヤホぉ★ こっちゎ今2人なんだけどぉ アッチの話…
ヒゲメタボ@ クマたんと呼ばれてます(^^; 最近はこれが流行ってるって聞いたので …
ニキビ侍@ ありがとう!!!!!!! 顔見てるだけでもギンギンでミルク発射し…
ユーキ♂@ 盛り上がりすぎ(ミ ̄エ ̄ミ) まだ始めてから2ヶ月だけど毎日入れ食い…

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: