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混沌としためいぷる日記
第三章ノ二
数百人の大歓声の中にあっても、その男の声はロックの耳に入ってきた。視線をを向けると、バトルステージに傷だらけの男が立っていた。
いろいろな所が擦り切れ、血と泥のせいで随分と薄汚れた軽装鎧を着た男。手には剣を持ち、まだ闘士は燃えているようだが、肉体も精神も激しく消耗していることは知れた。
満身創痍の男と対峙するのはぼろ布を身にまとった爬虫類。緑色の肌は湿っておりぬらりと光っている。手にした包丁は何かが染み込んでいるようで――何が染み込んでいるのか大体の想像はつくが――くすみ、光沢はない。
洞窟の奥地に住処をおき、中に入ってきた冒険者を殺してその血肉を喰らう『トンベリ』というモンスターである。
トンベリはゆっくりと男へと近づいてゆく。そのゆったりとした足取りは、相手の恐怖心を煽るためなのか。それとも、単に足が遅いだけなのか。男は後退しながら懐を探り、一本の杖を取り出した。先端に炎を抱いた赤とオレンジの杖。
「あれは……炎の杖…………」
ロックは我知らずつぶやいていた。あの杖には嫌な思い出があった。あの杖が原因で、大きな屋敷が火事になったことがあった。大切な仲間を閉じ込めて。
「あの時は、最後に気絶しちまって……シャドウに助けてもらったんだったな」
目を閉じればまぶたの裏に浮かび上がってくる。闇に完全に溶け、光るのは一対の瞳のみ。その速さはロックを上回り、短刀を手に誰よりも早く敵陣に斬り込んでいった。無口で、何事にも関心がなく……
「くらえぇ!」
記憶の中に品のない怒声が入り込み、ロックは目を開いた。バトルステージの男が炎の杖を掲げている。
瞬間、杖の先端が輝き、一筋の光がトンベリへと襲い掛かる。杖に封じ込められた魔法『ファイラ』が解き放たれたのだ。光はトンベリに当たると、炎上し、その身体を灼熱の炎に包み込んだ。観客のボルテージは炎に煽られ、更に高くなってゆく。
役目を終えた炎の杖が、砕けて男の手から零れ落ちると同時に、トンベリを包む炎も消えた。
しかし――
「…………!」
炎から開放されたトンベリは、さしたダメージもなかったようである。変わらぬ歩調で男へと歩み寄る。手にした包丁がぬらりと輝いた。
後退しながら男は更に二本の杖を取り出した。黄色とオレンジの『雷の杖』と青と水色の『氷の杖』である。
「くそっ! くそ、くそくそ!」
半狂乱になりながらも男が掲げた杖から、一条の雷が疾る。しかし、無造作に差し出された包丁を避雷針代わりにそれを回避する。続いて迫りくる氷の煌きはゆらりと右に身体を傾けて回避した。
「く……ひっ…………」
完全に手詰まりなのだろうか。男はその場にへたり込み、腰の剣を抜いた。トンベリの歩調は変わらない。男は後退しようともがいているが、腰が抜けたのだろう。立ち上がれず、恐怖の表情が濃くなっていく。
ゆっくりと、焦らすように、トンベリは歩く。獲物はもう目の前である。男は嗚咽を漏らしながら剣を振るうが、包丁の一振りで半ばから折れてしまった。
そして、凶器は刺し込まれた。右の腹部に深々と。軽装鎧をものともせず、音も無く、抵抗も無く、衝撃も無く。
「う……――――!」
悲鳴が上がった。この大観衆にあっても、それはよく響いた。悲鳴の音量に比例して、歓声も大きくなる。
包丁は抜かれ、再び差し込まれる。右胸。左太もも。側頭部……
際限なく刺し込まれる包丁。あまりの光景にロックは目を背けたが、観客にとってはそれが興奮するらしい。歓声は大きくなる一方だった。
「…………壊れたのは、大陸だけじゃないのかもしれないな………………」
彼のつぶやきも、この狂った世界には届かない。
「……ふう」
酒場のカウンター席でロックは一息ついていた。あれから聞き込みをしたが、状況は芳しくなかった。
聞く耳持たずは当たり前。知らない邪魔だどけのオンパレード。元々、探し物自体が伝説級の代物である。そう簡単に見つかるわけがない。そう自分に言い聞かせて数年。いい加減に慣れたものと思ってはいたが、どうしても挫けそうになる。
やはり、直接行って確かめるしかないのだろうか……?
広げた地図を眺めながら、ため息をついた。
地図の南方大陸最北端に位置する山。最後の可能性。そこで待つのは、レイチェルを蘇らせる希望か。何も無い、ただの岩と土の塊なのか。
「マスター、金は置いてくぞ」
地図をしまいこみ、数枚の硬貨をカウンターに放ってから、ロックは酒場を後にした。
「て、てめえはあの時の!」
声をかけられたのは、酒場を出てすぐだった。
振り返るとそこには見覚えのある――そして忌々しい格好の男がいた。
茶色のくすんだ制服を着込み、その顔は目深にかぶった帽子で見えない。妙にキビキビとした動き。
「帝国兵が何の用だ?」
その男の格好はまさに帝国兵であった。
帝国兵――今は無き帝国首都ベクタに仕える兵士である。もう帝国はないので、別に『帝国兵』であるわけではないのだろうが、この格好ではそう呼ばざるを得ないだろう。
『元』帝国兵の男は、怒りに身体をわななかせながらロックに詰め寄ってきた。
「てめえ、あの時はよくもやってくれたな!」
「……あの時?」
身に覚えが無いわけではない。帝国兵と戦ったことなど数え切れないほどある。……が、兵士全員が同じ格好をしていれば、いつのことを言っているのかはさっぱりである。
「あの時! 二年前のあの時……念願のエアフォースに入隊して最初の任務の時だ! 魔大陸に突入しようとするブラックジャックを撃墜する任務で、見事に撃墜してくれやがって! あのでっかいブーメランはお前のだろう!」
「あぁ、あの時か。乗ってるやつの顔なんていちいち覚えてられないな。というか、あの高さから落ちてよく助かったな」
「悪運だけは強くてな。って、そんなことより……お前、死者を蘇らせる秘宝を探してるそうだな?」
「……それがどうした?」
問い掛けるロックに、帝国兵は嫌な笑みを浮かべながら口を開いた。
「耳寄りな情報があるんだけどなぁ。どうだ? 買わないか?」
「さっきまでの恨みつらみはどうした……」
あの口ぶりからして、いきなり戦いを挑まれる事を予想していたのだが……
「俺を倒そうと思ったんじゃないのか?」
「そんなもので腹がふくれるか? 上等な武器が買えるか? 今、俺が欲しいのはそんな安いプライドじゃなくて、力なんだよ。この腐った世界を生き抜ける力だ」
「……そこまで言うからには、確かな情報なんだろうな?」
「確かかどうかは知らねえが、ガストラ皇帝が隠した秘宝のありかを示すものだ」
「ガストラの……」
帝国首都ベクタの皇帝ガストラ。世界崩壊の元凶である彼も、既にケフカの手で殺されてしまっている。
そのガストラが隠した秘宝――聞いたことがあった。崩壊前に、ある街のオークション会場で――
『魂を蘇らせる秘宝を手に入れたいんじゃが、どんな金持ちもまだ持ってないらしい。帝国首都ベクタにあるという噂が……』
いまいち情報源がハッキリしないが、聞いてみる価値はありそうだ。
「話を聞こうか」
「おっと、その前に……」
「わかってる。見返りに何を求める?」
「お前の持っている魔石をもらおうか」
「…………魔石を……」
「あれのおかげで、お前たちは魔法が使えたんだろ?」
魔石とは、肌身離さず持っていることで、人間に魔法を扱えるようにすることの出来るものである。
しかし、それは大変貴重なものなのだが、ロックはそのいくつかを持っていた。
「あぁ……」
懐に手を入れると、内ポケットに硬い感触。取り出すと、中心に炎のようなものが揺らぐ、瑠璃色の宝石が手の中にあった。暖かいような、冷たいような、不思議な感覚が手のひらを支配する。
「そう、それそれ。命を蘇らせようってんだ、魔石の一つくらい、安いもんだろ?」
こちらへひらひらと手を差し出す帝国兵を見て、しかし、ロックは魔石を再びポケットへとしまいこんだ。
「……渡せない」
「あ?」
「魔石は渡せない。これは幻獣たちの命だ。簡単に人に渡していいものじゃないんだ」
ロックの言うとおり、魔石とは幻獣の命そのものである。幻獣が死ぬとき、この世に残される力の結晶。
その身を魔石へと変じ、初めてロックたちに魔石を与えたのは、ラムウと呼ばれる老人の姿をした幻獣だった。彼は言った。『魔大戦を再び起こしてはならぬ……』と。
しかし、魔大戦以上の惨劇が世界を覆った。幻獣たちは大量に虐殺され、世界は崩壊し、大地は死へと歩み、神気取りの狂魔導師が世界を支配する世界となってしまった。
「ほう。じゃあ、秘宝の情報はいらねえってのか?」
「う……」
魔石を渡すことはできない。が、貴重な情報を見逃すことも出来ない。
どうしたものかとロックが考え込んでいると――
「面白い話をしているみたいだな」
割り込んできた声の方を見ると、そこにはこのコロシアムのオーナーが立っていた。
「コロシアムのオーナー殿が何の用でしょうか?」
一応、丁寧な言葉を使っているが、帝国兵は高圧的な態度でオーナーに話し掛けた。
「なにやらもめているようだったから、打開策を提案しに、な」
「打開策、ですか?」
「うむ」
オーナーはうなずき、帝国兵とロックを交互に見ながら、
「見たところ、この帝国兵が秘法に関する情報をもっている。そして、ロックは帝国兵が欲しがっているものを持っている。
が、ロックはそれを渡せない。それを渡せないなら帝国兵も情報を渡さない。そういうことだろう?」
「その通りです」
「……いつから聞いてたんだ?」
「『悪運だけは――』のあたりからだ」
「それで、打開策とは?」
促され、オーナーは笑みを浮かべた。子供のような無邪気な笑みを。
「ここをどこだと思っている? 賭ければいいじゃあないか。互いに欲しているものを」
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