文句事件

文句事件


日本人は英語ができないと

バカにされてる。

それに、NOと言えない。

どうもそれが許されない。



大学生のとき、イギリスに研修旅行に行った時の事だった。

ちょうど、母の日の時に、私はロンドンにいるから

ホームステイ先のお母さんに何もしてあげれないし

早めに、花を買って帰ろうと思いつく。



学校帰りに、近くの花屋に行った。

何にしょっかな~とあたりをみた。

そしたら、運よく、カーネーションがあった。

店員さんが「何にいたしましょうか?」と聞いてくる。

「2000円ぐらいで花束がほしい」と言った。

「じゃ、何がいい?」と聞かれる。

「カーネーションで」と言うと、

「カーネーションだけ?」と聞かれる。

日本みたいに、値段が書いてないから

困る。

辞書を片手に「一本いくら?」と聞いてみる。

「100円だ」という。

「そしたら、とりあえず、8本ぐらいで」と言ってみる。

カーネーションだけは淋しいし、近くにかすみ草があったから

それも頼む。

「何に使うの?」と聞かれる。

「母の日に。日本では、カーネーションを贈るのよ」と言った。

そしたら、やけに、店長は納得する。

ちょっとした葉を付けたりして

ようやく、花束が完成する。

でも、彼女の感性で、段々になっている。

手前の花の茎が短くて段々に長くなっている感じ。分かるかしら?

ちょっと、やだなって思いつつ、

「いくら?」って聞く。

そしたら、彼女は「これは売り物よ!明日から、この店で売るのよ!

あなたには、別の花束を作ってあげるわ」と言われる。

「なんだと!?私のネタをパクる気か?冗談じゃないよ。」

と半ギレ気味。

ま、でも、私には、別に作ってくれるわけだし、いっかって思って

つくり直してもらう。



「カーネーションは8本よ」と言うと、残りのカーネーションは

5本ぐらいしかなかった。

彼女は「5本でいい?」と言ってきた。

なんで、私が妥協をしなければならない?

日本人がいつでもNOと言えないと思うな!と

「私は8本がいいの!」と断言する。

そうすると、彼女はしょうがないわねと

“売り物”の花束から、カーネーションを取った。

彼女が取ったのは、一番下の段の茎が短くなった

カーネーションだった。

それは許されない行為やわっと

すかさず、「ノー!」という。

そうすると、彼女は、茎の長い方を取ってくれた。

それからは、猛攻撃。

気に入らないのは気に入らないとはっきり言った。

出来上がってみると、とってもステキな花束になっていた♪

でも、ふと気付く。

「え?いくら?」不安になる。

「いくら?」と聞くと、

彼女は「本当は、2500円だけど、あなたが先に2000円でって言ったから

いいわよ、2000円で」と言われる。

急に私は笑顔になって

「ありがとう」と悪魔の微笑みになる。



NOと言えないのはよくない。

でも、私はやりすぎだったかなって思う。

でももしかしたら、価格が書いてないから

本当は2000円にも達してない花束で

彼女のほうがやり手だったかもしれない(笑)

でも、たとえ、辞書片手でも

言いたい事を言えないよりは

言いたい事を言うほうが

もっとステキであると信じたい。



花屋さん、ごめんね。あの時は。



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