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2007.02.12
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カテゴリ: 萌えとBL
テレビドラマの感想だけど、かなり濃いゲイものだったので、こっちのテーマで書いちゃう。だって、BL用語使うから(笑)。

WOWOWで、昨年BBCで放映されたゲイが主人公のテレビドラマ“Line of Beauty”(邦題:愛と欲望の境界線)を観る。原作はアラン・ホリングハーストのブッカー賞受賞作。イシグロカズオの『日の名残り』もブッカー賞だったな。日本で言うと芥川賞みたいなものか?

舞台は80年代、サッチャー政権下のスノビッシュなアッパークラスの人間模様。仕事への野心、自分を取り巻く人間関係のなかで悩みながらもゲイを貫き、エイズに怯える主人公の話。ここまではしょってあらすじ書くと、なんか実もフタもないな。とりあえず、お坊ちゃまたちの野望と享楽と破滅がいっぺんに味わえる。いやあなんて80年代的な。ゲイ、バイ、自傷癖のある保守党議員の娘とか出てきて、当然コカイン吸いまくり。ブラッド・イーストン・エリスの“Less Than Zero”のイギリス版だな。

例によってライフスタイルに興味津々なわけだが。別荘という名の城を所有する金持ちとか出てきて、歴史に裏打ちされたイギリスの上流階級って、一体どれだけ資産有しているんだよと思う。日本もマッカーサーが財閥解体しなかったらこういうクラス社会が残ったかな。
それにしても、お金持ち連中は本当に今もあんな感じなのかな。イギリスは何度も行っているし、いわゆるマナーハウスにも泊まったことはあるけど、あの広大な領地をどうやって管理しているのかは、文学作品や映画でしか知らない。でもロンドン市内の大きな公園にはかならず騎乗専用路が整備されていたり、ハロッズなんてワンフロアまるまる馬具売り場だったりしたから、面倒で窮屈で退屈な伝統をしっかり守り続けている層は確実にいるんだろうな。われわれがたまに和服を着るようなものか。あ、全然違う?

狩猟番や厩の下男と公爵夫人ができちゃうような話は、それこそブロンテ姉妹やロレンスの小説を読むまでもなく実際にあったろうし、寄宿舎での生活でホモの洗礼受ける話も実話があればこそフィクションが売れるわけで。
フォスターがゲイなのは周知の事実らしいが、自分のアイドルの一人でもあるジョージ・オーウェルも、あの淡白すぎる私生活を思うと、根っこはそうじゃなかったかと思っている。好き俳優の一人、ダーク・ボガードはまごうことなきゲイだったし。
で、「モーリス」や「アナザー・カントリー」もそうだったけど、イギリスのホモ映画って、仕事や政治や家族と切り離せないのね。ここがフランス映画と違う(笑)。このドラマも本格的な社会派ドラマなんだけど「たまたま主人公がゲイなのよ」とエクスキューズしているような。しかしラブが薄いのは不満だが、セックスが露骨なのはすばらしい(笑)!

なにしろ1話目では議員宅に下宿しているハンサムさんが、出会い系雑誌でカラードの相手を見つけて、その日のうちにとりあえず私有地の庭で青カン。ちゃんとジェル持参であっという間。ホモの欲望ってこんな性急で短時間なの? だとしたら今まで読んできたBLは、前戯長すぎだぞ(笑)。


主人公ニックは大学院で文学を研究していて、美術に詳しくて、ピアノが上手くて、社交術にも長けている。そんなハンサムさんがホモ。ああイギリス、お前もか。BLパラダイス! 避暑地でのプールのシーンなんて萌え満載でしたわよ(笑)。
3話目は政治にまとわりつくゲイスキャンダルとエイズの話。エッチはなかった。

登場人物の中に、レバノン系の億万長者、ユダヤ系の億万長者が出てくる。前者はすごいスノッブで頭がおかしい父親。レバノンってイスラム教? だからパーティーで酒を出そうとしたメイドをあれだけ罵倒したんだな。そうか、経済どん底のこの頃すでにイギリスはオイルダラーに席捲されていたのか。ハロッズがアラブに買われたのは、この数年後だな。
で、その息子が2話目でニックの恋人になる、ゲイであることをひた隠しにしているハンサムなんだが、結局エイズで死んじゃう。この俳優、「戦場のピアニスト」の人に似ている。もっと若いけど。眉の太さとかがアラブっぽくて、名香智子さんの貴族シリーズに出てきた王子さまのようだ。

ユダヤ系のお金持ちは、もう何代にも渡って地位を維持していて、そうかシャイロックの昔からユダヤはイギリスで活躍していたんだと気がついた。じゃあ甘野さんの貴族もの漫画に「バーンスタイン」という名の貴族が出てきてもおかしくないわけだ。イギリスの紳士録名簿を見てみたいな。

このドラマ、面白い。偶然見てよかった~! こういう世界も乙女のツボだよなあ。現代というところがまた泣ける(笑)。でも確実に20年は前の設定だから、髪型とかウェーブかかっててヘンだよ(笑)。
ラスト近くで、エイズで死んだ黒人の恋人を思って泣く主人公が切ない。いや、ただのセックス・フレンドだったのかもしれないけど。ああこのシーンのBGMはベートーヴェンの告別の2楽章だ。こういうところで聴けるとは思わなかったよ。ぴったりじゃないか。

サッチャーが大鉈をふるったおかげで、死にかけていたイギリスは多少息を吹き返したはずだが、こういう上流階級だけの話を見ていると、10%といわれた失業者はどこに? という気になる。毎夜優雅にパーティーなんか開いちゃって、おまえら、働いていないのかよ、と。ユダヤやアラブ系は出てきても、インド系や華僑は出てこないのも違和感があった。金は持っているはずだけど、政治の中枢にはポジション占めていなかったのかな。

ベートーヴェン、ショパン、ラフマニノフなど、クラシックのピアノ曲が絶妙なタイミングでBGMに使われていて、イギリスらしいと思う。地味だけど深い。ゲイも、不倫や人種や宗教や支持政党の違いのように、人の持って生まれた資質や志向のひとつに過ぎないと、なぜ人は認めることができないのかな。
神の倫理に反しているからか? やっぱりそうなのか?





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Last updated  2007.02.12 08:35:19
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