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2009.09.10
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カテゴリ: BL小説

『官能のホワイトナイト』伶諳

読めないペンネームの初めて読む作家さん。れいん? れおん? せめて当用漢字を使ってくれ。珍しく深井さんが挿絵を担当していたので買ってみたら、花丸ブラックという凶悪にえろっぽいレーベルだった。最近は超美麗(ちょっとJUNEっぽい)か奈良さんみたいに超個性的なレーターさんが人気だから、深井さんの絵だと全体にちょっとぼんやりする感じ。でもって花が邪魔でジャケットを脱がせかかっているのがわからなくて、3人いるのかと思った(3人目は手だけ)。

ともあれアメリカ帰りの麻酔医×麻酔科研修医というダブルドクターもの。
なんだか重くて結構重要なエピソードが2つ(陵辱ヘンタイ医師とゲイの幼馴染)が、あっさり処理されていておよよって感じだけど、まあ高学歴国家資格ものは好物だ(笑)。

アメリカ帰りのドクターというのは60代オーバーの心臓外科医なら実際に知っている人がいるけど、30代で、しかも麻酔医なんてそんなに重宝されるものだろうか。麻酔術に関する日米感の温度差みたいなものはないのかな。それにしても手術シーンの出てくるBLでいつも感じるのは、どんな大手術でも技師さんがいないのね。人工心肺やら使うシーンを書く作家さんは、『Clinical Engineering』を1年くらい読んでみればいいのに。

主人公の麻酔科研修医は新規開設される疼痛外来を希望している。最近じゃペインクリニック単独で開業するところも増えてきたけれど、疼痛外来って、実際なにやるんだろう。末期がんやヘルニアとか神経系の痛みならそっちの診療科からの紹介になるよねえ。いきなり外来に行って「痛いのでモルヒネ打ってください」とか可能なんだろうか。

攻は二重国籍で(成人しても可能なんだな)二つ名持っていて、仕事とプライベートを使い分けてる医者っていうのもすごいが、自分の望む部署への配属が決まるまではとヘンタイ上司にいいようにされている美形(お約束)な麻酔医(受)というのもなんか潔癖そうなのにありえない設定でBLらしい(笑)。それにしてもアメリカ帰りの攻の台詞にいちいち英語が挟まっているのがちょっと恥ずかしい。BL読者的には読むのが面倒な人だっているんじゃないのなあ。

で、主人公の受くんがなぜ疼痛外来を希望しているかというと、12年前に同学年(年子)の姉を小児ガンで、末期は痛みに苦しんで亡くなっているからっていう結構なトラウマがあるんだけど、それが語られるのが中盤を過ぎてからなので、最初のえろいシーンがヘンタイ鍼ごっこ(アカハラ)で、受が能無し医師に言いようにされている理由があまりはっきりしなくてちょっと残念。

作者は「麻酔医を書きたかった」とあとがきで語っていて、珍しいなあと思った。麻酔医って人気ないと思うんだけど。実際、外野からだとなにやっているのかわからない人たちだよね。裏方だし、臨床って言ってもあんまり患者と直接接する機会もなさそうだし。あ、だから敢えて外来希望なのね。
昔、手術シーン撮影の立会いでオペ室入ったことがあるけど、ずっと技師さんだと思っていた人が麻酔医だったというとんだ失礼な勘違いをしたことがあった。それぐらい目立たない。地味~なので予算がないと真っ先に切られる科だったりするんじゃないのかな(実にテキトーな想像)。


はい、実はこの研修医は音楽家一家のサラブレッドで玄人裸足のピアノを弾くのでした。できすぎ~。この店のオーナー(主人公と幼馴染じみ)が実は昔から主人公が好きで、それに気づかない鈍感主人公が、オーナーの前で出会ったばかりのアマチュアダブルベーシスト(謎の攻)と懇ろ(死語?)になる。そして最初のドッキングシーンはいきなりお浣腸だった。びっくり。こんなの初めて~。互いの仕事ぐらい探り合えよ!とか思った。


初めての相手(ベーシスト)が実は新たにアメリカから赴任してくる自分の上司だったというミラクル展開(でもBLでは実に王道)で、病院で合うと別人のごとく冷たいので、せっかく好きになったけど諦めようとする受。行きがけの駄賃にちゃっかり幼馴染と慰めあったりして(しかも検査日でぐったりしているのに鬼だ)、あらら二つの恋が交錯するのかしらと思いきや、ぐるぐるしつつ元の鞘に収まるのだった。

オーナーと主人公のエピソードは使い捨てにするにはもったいなかったなあ。彼は恋心というにはあまりに幼い思慕を抱いていた主人公の姉の死による心の傷のみならず、自らがメラノーマにかかって根治術を受けたものの、悪性腫瘍なので5年間再発しないことを願っている最中。多分精神的につらい期間だ。でもって主人公を実はずっと思っているというなんだか可哀想な設定。医者と飲み屋という格差を気にしてか、主人公がもともとはノンケなので最初から諦めているのか、そぶりも見せずに長年付き合っているというじれったい恋。「あと4年経って再発しなかったら告白する」とか言っちゃって、そんな暢気な・・・。再発して死んじゃったらどうすんだっ!

音楽と医学、両方盛り込むのはちょっと無理があったような。医者にとっての音楽なんて片手間の趣味にすぎないし、セッションシーンがうまければうまいほど、本業はどうなのよとか考えちゃう。そういえば先日夏井先生がテレビに出ていて、個人的にはピアノの難曲のシートコレクターとして存知あげていたので(もちろん「傷は消毒するな」の先鋒としての業績も知っていた)、やっぱりテレビに出るときは音楽オタクとしてではなく医師としてなのねと思ったり。だんだん中央に近づいてきていてビックリした。いまは茨城か。怪我したら見てもらおう(笑)。





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Last updated  2009.09.10 20:07:42
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