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2010.01.25
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カテゴリ: 青年マンガ他

『MOON (5)』曽田正人

12月に5巻が出ていたなんて知らなかったよ『Moon』。
普段立ち寄る書店は、腐売り場と男性向け売り場がきっぱり分かれていて、なかなか青年誌コミックスの新刊までチェックできないので見逃していた。こういうのはネット書店でRSS処理をしておけばお知らせしてくれるのかな。

さて、ヴァルナの本番当日。パートナーであるニコと喧嘩した昴がどうなるか、の続き。コマわりがダイナミックという特徴もあるけれど、今回の巻はほとんどオディールのパドドゥのシーンだったので、10分くらいで読み終わってしまったよ...あーもったいない。また4~5カ月待たされるわけね。

しかし昴ちゃん、踊りながらあんないろんなこと考えているんだな~。それに翻弄される盲目の元プリンシパル・ニコがどうなるのかハラハラした。体ごとぶつかるようなダンスをしていると、見えなくてもどんな表現をしているのか、昴のオーラが伝わってくるんだろうな。怒りのオディール(笑)。父・ロッドバルトのいいなりにならず、「自分のほうが魅力的だよ~ん」とウブな王子を手玉にとろうとする、というのは振り付けではなくストーリーにおける新解釈になるのか。近代的な女性の生き方を表明するようなお話で、バレエってオペラ同様に古典作品は固定化されているものと思っていたけど、ストーリー自体の解釈も自由に変えちゃっていいのだろうか。

技術的なことを言うと、オディールのソロパートでのグランフェッテアントールナン(片足だけで32回転)のシーン。昴ちゃん、1センチもズレずに4回転って、それはもう人間ではありませんことよ。昔、有吉さんのアプローズだったか山岸さんのアラベスクだったかで、32回転の間にダブル(ドゥーブル)を織り交ぜて踊る天才プリマのお話が出てきて、すっごくよく覚えているんだけど(私の中では山岸さんの「アラベスク」で、男性のサポートなしでポワントで静止するシーンと双璧だ)、ついに時代は4回転ですことよ、奥様。

フィギュアスケートですら女子の4回転は稀なのに、トゥでズレずにアップテンポのリズムに合わせて4回転って、もはやトウシューズの先に仕掛けがあるとしか思えない(笑)。実際のバレエのこのシーンでドゥーブル踊るのを見たのは数回程度だし、そんな人たちもポワントの位置は5センチくらいはズレていたと思う。

でもこのマンガのすごいところは、「昴ならやりそうだ」と思えちゃうところだよな。強力なライバルが登場し、意識していなくても目の端にかかるし、ニコは死んでしまったパートナーの名前を口にするしで、満身創痍なメンタリティーでステージに立った割には、鬼神のごとき演技だったりね。昴はずっと逆境をプラスに換えて自分の肥やしにしてきたから、今回もそうなんだな。つまりひどい目にあえばあうほどいい踊りをする、と。BLにおけるSMプレイと同じだ(笑)。今回、ジークフリート=ニコになっちゃったから、ニコを好きだと自覚したけど、きっとニコは捨てられる運命(笑)。

次巻に引っ張られているミンミンのジゼルも気になる。重力に逆らう精霊の踊りは、従来草食系の東洋人がうまいとされている(私なんかは子供の頃観た森下洋子さんとヌレエフ、もっと昔だとやっぱりマーゴ・フォンティーンを思い出す)けど、ミンミンの場合、昴と同様、踊る動機が純粋じゃないからなあ(笑)。

そうだ、バレエといえば、年末だったか、不思議なドキュメンタリーを観たんだった。バレエリュスの絶頂から衰退までを追った話で、往年のプリマの現在(といっても2005年ころ)が出てきて、えええ~バレエリュスの人たちで生きている人がいるのか~と驚いたんだが、ディアギレフ亡き後、フォーキンやバランシン、レオニード・マシーンといったブロードウェイミュージカルにまで連なる振付師のストーリーや戦火のヨーロッパから逃れてアメリカに根をおろし、その後分裂して南米にまで行っちゃったとは知らなかった。


『バレエリュス 踊る歓び、生きる歓び』



ディアギレフの時代は、音楽史の系譜や森茉莉のエッセイにも出てくるし、ニジンスキーの映画も好きだったりするので知っていたけど、アメリカで初めて本物のバレエを人々に見せたのがバレエリュスだったというのは意外だった。ああ、昴の話をしていたのに。

ピアノを弾いている最中は雑念なんて考える余裕もないけど、昴ちゃんはあんなん秒単位の音楽のなかでいろんなことを考えながら踊っていることに、ちょっとショックを受けたんだよね。技術的なことじゃなくて、人間関係とか自分がどう思われたいかを考えているうちに、それが踊りに昇華されていくって、本当にありえるのだろうか。あ、基礎力の違いだわ。そうか(しょぼーん)。

そうだ、この『MOON』、前巻から帯に女流漫画家さんの賛辞コメントがイラストつきで入るようになったけど(4巻は安野さん、5巻は羽海野さん)、どれだけ効果があるんだろう?

追記:そのうちオディールの32回転が観たくなって画像を探していたら、ATBのジリアン・マーフィーが軽々と3回転をやってのけていた。4,5回入れていたかなあ。曽田さんのプリシラ・ロバーツのモデルかもしれない。ポワントはズレていたけど、すんごいわ。
もひとつ、ニコ動でパリオペラ座のパドドゥを見つけて観ているんだが、爆笑しいながらも涙が止まらないよ(爆)。ダンスは涙モノのすごさなのに、美術すごすぎ。みんなのつぶやきおかしすぎ! 
「あ、デーモン閣下がいる!」とか「シャッター前で踊ってる」とか、ツッコミがおかしすぎてダンスに集中できない。そして次回、白鳥を観に行ったら、このつぶやきを思い出して客席で吹きそうだよママン!





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Last updated  2010.01.26 08:21:20
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