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2013.11.23
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カテゴリ: 読書案内
【呉智英/現代人の論語】
20131123

◆忙しい現代人必見!論語のアンチョコ本

私は物事の概略を捉えることが先決だと考える派である。だから、旧約聖書や新約聖書などは聖書物語を読んで大筋を捉えれば良いと思う。
中国の古典である『三国志』も、正史なんか読んだらチンプンカンプンだし、飽きてしまうので、岩波少年文庫から出ている『三国志』で充分楽しめると思うわけだ。
何でもそうだが、物事はいきなり本質を見抜けるものではない。
まずは外堀を埋めてから徐々に本丸へ乗り込むのが戦法というものであろう。
つまり、概略を掴むことから始まるのだ。
そこで、日本で最も親しまれている『論語』も、とくに面白いというか、興味深いところをダイジェストに扱った入門で、おおよそのところを捉えていれば良いのではなかろうか?
本格的に学問として追究するというならいざ知らず、まずは案内書として呉智英の『現代人の論語』を一読することをお勧めしたい。
もし、この入門を読了して益々興味を持ったという方には、吉川幸次郎、宮崎市定、貝塚茂樹らの訳した論語全編を攻めていくというのはどうだろうか? 呉智英によれば、学者によって微妙に解釈が違っていたりするので、その辺は自分の好みで好きな訳者の論語を読めば良いのでは?

私が呉智英を知ったのは15年ぐらい前になるだろうか? 

呉智英の見事な発想と爽やかな弁舌に、かの宮崎学も一目置いているような節に、とても興味を持った。
私は、そんな呉智英の著書を何冊か読んでみた。驚いたのはその読み易さと面白さだ。

今まで遠ざかっていたジャンルの読書が、格段に広がった。スゴイぞ呉智英、、、みたいな感覚である。
呉智英は、今やマルクス主義ではない。孔子主義である。
そしてその解釈は、私のような凡人にも噛んで含むように分かり易いものだ。
そもそも論語というものは、「しばしば体制変革期にその拠りどころとなった」とのこと。
つまり、クーデターを起こす際のバイブルとなったものなのだ。
これは論語を知ることで、憑き物が落ちたように納得できることである。
また、孔子は現世利益に関してとても合理的に考える。「もしもあなたが豊かで地位が高かったとしても、べつに恥じることではない」と言う。
これが仏教だったらどうだ。「世俗の価値などみな空虚でとるに足らないものだ」と言うし、キリスト教なら「地上に宝を貯えてはならない」と言う。
これらを比較してみると、一目瞭然。いかに孔子の思想が現実主義であるかが分かると、著者は言う。

かの親鸞でさえ、論語からの思想を自分なりに解釈して民衆に教え、広めているのだから。

余談だが、孔子の弟子の中に子路という人物がいるのだが、私はこの人物が大好きだ。

中島敦の『弟子』に登場するあれだ。
この子路は内乱に巻き込まれて結局、非業の死を遂げるのだが、最期のセリフがカッコイイ。
「見よ! 君子は、冠を、正しうして、死ぬものだぞ!」

とにかく、呉智英の『現代人の論語』には知っておきたい論語の中のあれやこれやがギュッと凝縮されていて、ありがたい。
この一冊を決して侮るなかれ! 知識と教養の宝庫なのだ。

『現代人の論語』呉智英・著

20130124aisatsu


☆次回(読書案内No.101)は萩原葉子の「蕁麻の家」を予定しています。


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★吟遊映人『読書案内』第2段は コチラ から





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最終更新日  2013.11.23 10:06:24
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