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ちょっと拝借。是非読んでみて。
直人は手術室の前で祈っていた。
幼馴染みの里美が突然倒れたのだった。
それは直人の目の前で、不意に起こった最悪の出来事だった。
「はい」
里美がきれいにラッピングされた包みを、直人の家の前で差し出した。
「なにこれ?」
直人は首を下に向け、頭二つ分下にある里美の顔を不思議そうに見ながら聞
いた。
「今日は何月何日?」
里美は怒った様に直人に聞いた。
「2月の14日‥‥。それがどうかしたのか?」
「今日はバレンタインデーでしょ!そんな事も忘れたの?」
里美は少し怒っりながら言った。
「そういえばそんな行事もあったな。で、これ俺にくれるのか?」
「当然でしょ。むかしっから鈍いんだから」
「‥‥わるかったな」
直人は包みを開けると、中の手作りチョコレートを一つ食べた。
「おいしいよ。ありがと」
直人の言葉に、里美は耳まで赤くなった。
「そっ‥‥それじゃ、また明日ね‥‥」
里美は耳たぶまで赤くなったまま自分の家に向かおうとした。
直人は表情をゆるませたまま貰ったチョコレートの包みを持って玄関のドア
を開けた。その時、表で何か鈍い音がした。
直人は嫌な予感を感じながら先程まで里美と話していた場所に引き返し、そ
の次の瞬間、道路のアスファルト上に里美が青い顔をして倒れているのを見た。
「かあさん!救急車!!」
直人は言いながら里美の頬を軽く叩いた。
「う‥‥うぅん‥‥」
苦しそうに声を上げて、里美は閉じていた目をゆっくりと、そして薄く開い
た。
「直人君‥‥苦しいよ‥‥助けて‥‥」
直人は里美の体を優しく抱きしめた。
『里美の身体って、こんなに小さかったっけか?』
直人は思いながら、何も出来ない自分のふがいなさを感じていた。
救急車の音が近付いてきた。
「里美、救急車だ。もう少しの辛抱だぞ!」
直人の言葉はすでに里美の耳には届いていなかった。
救急車が直人の前で止まった。
「どいて!」
救急隊員が直人の体を里美から剥がした。
3人一組の運搬で救急車内のストレッチャーに乗せられた里美の口に酸素マ
スクがつけられた。
後部ドアが閉まると同時に、救急車は赤色灯を回し、サイレンを鳴らしてそ
の場から去っていった。
「俺、一緒に病院に行ってくる!」
玄関から不安そうに事を見ていた母親に告げた直人は救急車の後を追う為に
バイクを出していた。
里美の収容された病院はそう遠くない大学病院だった。
ストレッチャーに乗せられた里美は即座に心臓外科の手術室に運ばれた。
追ってきた直人が里美を見たのは、手術室に入る少し前だけだった。
手術室の前にあるソファーに座って少ししてから、里美の両親がやってきた。
「里美は!?」
「手術中です‥‥」
直人は興奮ぎみの里美の父親に、自分の感情を抑えながら言った。
「まさか‥‥こんなに進行しているとは‥‥」
里美の父親が力無く椅子に座り込みながら言った。
「え?」
「あの子は小さい頃から心臓に病気を持っていたんだ。だが直人君にはその事
を教えないでくれと里美に言われていたんだ‥‥」
直人は呆然としながら椅子に座り込んだ。
[手術中]のランプが消えた。
直人は顔を上げた。
同時に里美の乗ったベッドが、手術室から出てきた。
「里美!」
里美の両親がベッドに駆け寄ったが、直人は立たないで呆然と椅子に座った
ままだった。
いや、立てなかったのだ。
最愛の少女が自分の体を犠牲にしてまで自分に心配を掛けまいとしていた事
に、直人はショックを受けていたのだった。
「‥‥どうやら今晩が山です。御家族の方は覚悟をしていただいたほうが‥‥」
執刀した医師の言葉に、両親は言葉も無く立ち尽くしていた。
母親は父親の胸に顔を押し付け、肩を震わせていた。
それから数時間後。
直人は看護婦に呼ばれた。
ICUの患者が君の事を呼んでいると言われて、直人は即座にICUに向か
った。
入ってきた直人を見て、里美は明るい表情を直人に向けた。無理をしている
と分かるその顔が直人には痛かった。
里美は、幾分か容体も落ち着いたのか顔色も少し良くなっていた。
医師達は偶然なのかその場にいなかった。
「‥‥どうしたの?座ってよ」
里美の言葉に、消毒済み白衣を着た直人は言われるまま椅子に座った。
「ごめんね。驚かして」
「‥‥何で言わなかったんだ‥‥」
直人は、里美の顔を見ながら言った。
「ごめん‥‥。傷付けたくなかったの‥‥」
「誰を‥‥何をだ?」
「直人君を‥‥。私が愛している人を‥‥」
里美は、少し照れながら言った。
「‥‥言ってくれた方が、驚きも少なくて済んだんだ・」
「私‥‥もう先が長くないんでしょ‥‥?」
里美の突然の発言に、直人は驚いて立ち上がった。
「なっ‥‥なにを馬鹿な事を‥‥大丈夫だって」
努めて明るく言おうとした筈だった。
しかし、声が震えているのが自分でも分った。
「ね‥‥直人君、私の左胸に触れて‥‥」
直人は何も言わなかった。
「お願い‥‥」
直人は里美の声に、ゆっくりと右手を伸ばした。
里美の左胸に手が乗った瞬間、直人は手を引っ込めそうになった。
なにかの傷口に触れたのを感じたからだ。
「乗せてて!直人君にこの傷を覚えていて欲しいの‥‥」
里美の声から力が薄れていった。
「里美‥‥。お前‥‥自分の事を分ってて‥‥」
「言わないで‥‥最後の・思い出にしたいの‥‥」
直人はゆっくりと里美に体を近付け、里美は少し震える手で酸素マスクを外
した。
「直人君‥‥」
里美はゆっくり目を閉じた。
直人の唇が、里美の唇に触れた。
里美の手が、胸に乗せられている直人の手をきつく握った。
そして次の瞬間、その手から力が失われた。
直人は驚いて唇を放した。
「里美‥‥里美!」
直人は、目を閉じて安らかな表情をしている里美に向かって叫んだ。
医師がドアを開けて飛び込んできた。
「強心剤と酸素吸入」
医師は事務的に看護婦に言った。
「駄目です、血圧急激に降下中です」
「電気ショックの準備を頼む!」
医師の言葉に反応して看護婦はきびきびと動く。
直人はそれを見ながら里美の死をゆっくりと感じ取った。
「心拍フラット!血圧最高70で固定しましたっ」
「電気ショックを行う!下がって!!」
医師達の気迫に押されながら、直人は呆然として部屋を出た。
その後、どうやって来たのか分らないが、屋上に直人は立っていた。
風は冷たく直人の頬を叩いていた。
ゆっくりと空を見上げ、その数瞬の後、直人は空に向かって叫んだ。
誰に、何に叫ぶ訳でもなく、心の奥からの悲しみが少しでも夜の空に吸い込
まれてくれと言うかの様に直人は叫んでいた。
それから約2時間後。
里美は一時意識を回復し危機を脱したかに見えたが、その直後、眠る様に息
を引き取った。
享年17歳だった。
それから2日後。
通夜で焼香を済ませた直人は、里美の両親に話があると言われ、棺の置いて
ある隣の部屋に座布団を置いて腰を下ろした。
里美の父親は、直人に一冊のノートを差し出した。
「これは‥‥?」
直人は父親に聞いた。
「里美の部屋を整理して出てきたの。読んでみて」
母親の言葉に、直人は少し古いノートを開けた。
ノートを少し読んだ直人は、驚きで目を丸くした。
そこには、直人への思いと里美自身の残された命に対しての思いが書かれて
いた。
「なんでこれを‥‥僕に?」
「‥‥あの子が、死ぬ間際に私達にこのノートの事を言ったの。直人君に渡し
てくれって」
「‥‥これを‥‥」
直人はノートを見詰めた。
「あの子がこの17年の内で一番‥‥信頼できて愛した人に、自分の思いが分
ってもらえなくても、自分の気持ちを伝えようとして‥‥」
母親は短い嗚咽の声を漏らした。
「――このノート貰っていいですか?」
直人の言葉に母親は大きくうなずいた。
直人は、ノートをしっかりと持つと、ゆっくり立ち上がった。
棺に近付いた直人は、安らかな顔で永遠の眠りについた里美の顔を見てから、
里美の家をあとにした。
直人は、家に帰ると自室にこもった。
ノートを最初から読む為であった。
ノートは、半年前から自分の病状や発作の出た回数などと直人にあてた想い
が書かれていた。
そして、それは2月14日の朝で終わっていた。
『2月14日。今日、直人君にチョコレートを渡せれば今日一日の目的は果た
した事になる。昨日の晩にも軽い発作が出た。私の命はもう残り少ないと思う
‥‥けど、直人君に渡すまでは発作が出ない様に、お守りに祈ってから学校に
行く事にしよう』
直人は、ページをめくった。
そこには一枚の写真が貼られていた。
どうやらこれが『お守り』らしい。
「この写真‥‥」
直人は呆れた様に言った。
その写真は中学の卒業式の時に撮った、二人だけで写っている唯一の写真だ
った。
心なしか緊張した表情の里美に比べて、直人は里美の首に腕を軽く巻きつけ
て、Vサインを出して笑っている。
「‥‥ネガがいつの間にか消えてると思った‥‥」
直人は思い出を話す様に呟いた。
「ん?‥‥何か書いてある」
直人は言いながら写真を外した。
『もしも直人君と別れる時は、微笑んで別れられる様に』
一行にまとめて、はっきりと書いてあるその言葉を見て、直人は不意に涙が
溢れてきた。
里美はいつでも微笑んでいた。
その優しく微笑んでいた里美は、もうこの世にはいないという実感がやっと
今になって心の奥から込み上げてきたのだ。
直人は、出来る限り涙をこらえた。
しかし、涙は止めども無く溢れ出していた。
翌日の告別式には、大勢の弔問客が訪れた。
学校の友人達は、泣きながら彼女の死を悲しみ、最後の別れを告げた。
直人はその帰り道、不意に視線を感じて振り返った。
「‥‥まさかな‥‥」
直人はそう言って歩き出した。
しかし、次の瞬間、直人は不意に聞こえた声に弾かれた様に振り向いた。
直人から数メートルの所に、里美が立っていた。
直人は何も言わないで、立っていた。
風が吹き、落葉が舞った。
里美は楽しそうに微笑み、ゆっくりと、名残惜しそうに消えていった。
直人はそれを見送ると、回れ右をしてゆっくり歩き出した。
里美の最後の笑みを心に残して。
END
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