わくわく着物~着物の愉しみ~ 臥竜亭へようこそ!

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愛おしいモノ達-トラ


フリマや骨董市などで買った、愛おしい物達自慢のコーナーでございます。

■□■バリで買ったトランク■□■

 数年前、女ばっかり3人で、バリ島にダイビング三昧ホリデーを楽しむべく行ってまいりました。その間中、ダイビングのガイドでもあり、友人の友人の友人、というバリニーズの男の子が案内してくれた、わがまま放題ツアーだったのですが、ある晩、「これはどーみても観光客ぼったくり専門でしょう」という土産物屋へ。「トモダチ。ダイジョーブ」と彼は言うが怪しい…。
 しかし蓋を開けてみれば、私以外の2人は、バティックの布に夢中で、買う買う。ちょっと高いような気はするが、確かに種類はすっごく豊富ではあった。私は別の店で買った後だったので、ボーッとしていると、押しの強そうなお姐さんが「ナニホシイデスカー?」。
「なんにもいりませんがなー」「コレ、カワイイネ」「いらへんてば」と押し問答をしている時、ふと目の端に飛び込んできた革のトランク。その瞬間をお姐さんは見逃さなかった。
「イイデスネー。3マンエンネー。ヤッスーイ!」「ちっともヤスクナーイ!」こちらも訛ながらまた押し問答。
 言い合ううち、千円ずつじりじりと安くなっていくトランク。「ちょっとイイかも…」とちらっと思いはしたが、本当に欲しくないの! こんなの、持って帰るの大変じゃん!
 1万円まで下がり、たいがい二人とも疲れてきた頃、お姐さんは厳かに言った。「…ワカリマシタ。イクラナラOK?」「…千円」「エッ! ソレハチョット…。モウヒトコエ!」。だから要らんと言うとろうが! と思いつつ、「じゃ、三千円ね。これ以上びた一文…」 「アリガトウゴザイマス!」。
 どわ~!? 皆まで言わせず、お姐さんは叫んだ。びっくりしたがな! って、え、包んでるで!! …ひょっとしてヤラれた? 私の負け? 呆然とする私の横に、山のような買い物袋を下げた友人×2がやってきて「そんなモン買ったの?」「バッカじゃないのー!?」。…キミラにだけは言われたない。
 結局、そのトランクは、みんなへの義理土産を、スーパーでちょうどトランクいっぱい買い込んだため、大変役には立ったのですが、空港でさらなるどんでん返しが! 荷物制限に引っかかり、追加料金がけっこうかかったのであった…。くくく。お姐さんの笑い声が聞こえるようだ。
 こうしてやってきたトランク。意外に華奢な作りで、そのくせ重く、キャスターもついていないので、旅行なんかに持てませんがな。でも、雰囲気があるし、小泉トランクが流行ったりしたので、ネットじゃないフリマで大活躍。シャツやジーパンを並べるのに、ちょうどイイ感じ。「いくら?」とけっこう訊かれる看板娘です。


バリ・トランク



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