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イラクに必要なのは「自衛隊派遣」か？

イラクに必要なのは「自衛隊派遣」か？
現地をよく知るＮＧＯスタッフが語る

週刊ＳＰＡ！2003年７月２２日号特集より　
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http://www.fusosha.co.jp/spapage/2003/spa2852.html

　イラク情勢が混迷を深める中、政府与党は今月中にも“人道支援” を名目に「イラク特措法案」を可決させる動きだ。しかしこれに対して、イラク現地で援助活動をしているＮＧＯスタッフからは疑問の声が上がっている。

　「自衛隊派遣は多額の税金を使うわりに、現地の人々へのメリットはほとんどない」と語るのは、日本国際ボランティアセンター（JVC）の清水俊弘さん。今月10日からイラク入りしている。
　「治安を守るにしても、危険な『戦闘地域』に行かないわけですし、自衛隊の地雷処理技術は、突破口を開くための戦場の地雷処理で、広範囲の地雷を全て除去する人道支援のための地雷処理とは違います。それに。危険な放射性物質である劣化ウラン兵器をどこでどれだけ使ったのかという情報を米軍に開示させる必要も出てきます。これは自衛隊員の健康にもかかわる問題ですから」
　自衛隊によるNGOへの悪影響を懸念する声も多い。イラク支援市民ネットワークの相澤恭行さんはこう語る。
「イラクの人々は、米軍と一体となり武装した日本人を決して歓迎しないでしょう。もし、自衛隊がイラク人と戦って相手を殺してしまうような事態になれば、対日感情が劇的に悪化して、NGOとしても今後の支援活動がやりにくくなることは間違いありません」
　同団体の白井耕祐さんは5月30日から6月21日までイラクに滞在、900万円分の医薬品などの支援物資を配り歩いた。しかし住民と米軍の衝突が激しいファルージャなどの街には他のNGOは来てなかったという。「日に日に対米感情が悪化し、社会が物騒になっていくのを感じました」（白井さん）

　自衛隊より病院が必要
「現在のイラクでは、NGOとして援助を行うにも『軍隊とは関係ない』ことを強調しないと危険な状況です」と語るのはオックスファム・インターナショナルの唐津聖子さん「”まず派遣ありこ、具体的支援は後で考える”というのではなく、1.現地に何が必要か　2.誰が担い手になり　3.どのように行うか、ということを充分に検討するべき。復興成功の鍵は、イラクの人々を復興の中心に位置づけることです」。
　それでは、現地では何が本当に必要とされているのだろうか？
　JVCでは6月にイラクの医療環境を調査した。「イラクの病院は今、最悪の衛生状態です。診療に必要な設備はほとんどないうえ、看護師も不足。さらにたびたびの停電が治療に支障をきたしています。深刻なのは、米軍が使用した劣化ウラン弾の放射能汚染によるものとされるガンや白血病です。自衛隊にカネを使うよりも専門の病院を建てたほうがずっとイラクのためになると思います。そのほかにもやるべきことはたくさんある。例えば戦争で心に傷を負っている子どもたちのメンタルケアは重要ですね」（清水さん）。
　グリーンピース・ジャパンの福田未来子さんは核汚染などの環境破壊を指摘する。
「バグダッド南部のトゥワイサ地区の施設に保管された核燃料が略奪の際に近辺に撒き散らされました。汚染のひどい所は、通常の1万倍の放射線量が検出されています。一刻も早く、国際原子力機関(IAEA)による全面的な健康と環境被害調査を行うべきです」
また、NGO関係者がそろって強調するのは、現地の人々との良好なパートナーシップだ。
「今、イラク国内では水道水の多くから病原菌が検出されていますが、煮沸するための燃料も価格が高騰し、コレラなどの感染症が懸念されています。そこでオックスファムではイラク南部・中部を中心に破壊された浄水施設の修復を、事情をよく知る現地の技術者と共同作業で行っているんです。物質の提供だけが支援ではありません。医療、産業、教育などさまざまな面で、その国の人々が自力で復興できるよう側面支援することが重要でしょう」（唐津さん）
　果たして、自衛隊派遣はイラク現地のニーズに合っているのか？政府与党にはもっと慎重かつ綿密な議論をしてもらいたいものだ。

日本国際ボランティアセンター　
http://www1.jca.apc.org/jvc/

オックスファム・インターナショナル
http://www2.odn.ne.jp/oxfam/

グリーンピース・ジャパン　
http://www.greenpeace.or.jp/　　　　

http://homepage2.nifty.com/rei-ngo-report/spa-jieitai.htm

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