責任をとって下さい |
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我が家は、実家から貰ってきた猫が産んだ子供を、代々飼っていました。 母親が交通事故で死に、最後にオス猫たちが2匹残っていた時でした。 2歳の兄ネコは、父猫がグレーのアメリカンショ-トヘァーでしたので、淡茶色の毛先だけに色がつき、根元は真っ白、尾はしましまでとても長く、目も体つきもアメショーっぽい変わったネコでした。 1歳の弟ネコは、父親がチンチラ系で、茶トラなのに、胸からエプロンを下げたように長毛で、お腹の毛も引きずるほど長く、顔だけ日本ネコという、これも変わった猫でした。 その2匹は、いつも8段ある玄関の階段の上から並んで通りを見下ろしていました。 兄ネコは6kg,弟ネコは8kgもあり、特に長毛の弟はとても大きく見え、遠目には犬に間違われたり、「タヌキが座っている」と通行人に笑われていました。(普通のネコは2~4kg) ある夜、電話が鳴りました。 「ハイ、○○です」と言い終わらないうちに、「もしもし!オタクの玄関を見てください!責任取ってくださいね!」と、早口の切り口上の女性の声で、ガチャンと電話が切れました。 あまりの早口で、何を言われたのか分からない私はしばらくポカンとしていました。 「オタクの玄関を見ろ」と言ったような・・? いやな胸騒ぎを感じつつ、玄関のドアを開けましたが誰もいません。 ふと、下に目を落とすと、ティッシュの箱が1つあります。 はて!!何だろう? 恐る恐る箱の上のペーパーをめくってみる。 箱の中で何かがうごめいています!! 「えっ!!」 一瞬、ネズミに見えてギョッとしましたが、よく見ると、生まれたばかりの子猫が3匹。 とりあえず、家の中に持ってきて呆然・・・。 「責任取れって言うことは・・・これがウチの猫たちの子どもだって言う事・・・?」 兄弟ネコは、珍しそうに匂いを嗅いでいましたが、攻撃しそうな素振りを見せ始めました。 ねずみか、もぐらか・・・何しろエサだと思っているようです。 「オイオイ、食べちゃ駄目よ」 それにしても、目も開いていなく、へその緒も母ネコが噛み切ったばかりで生々しく、産まれたばかり。 とても育てられそうもありません。 そのうち、猛烈に腹が立ってきました。 「責任取れって・・オタクの不良娘の躾けが悪いんでしょっ!」 「ウチの子が、おどしてレイプしたっていうのっ!」 「つまり・・合意の上でじゃないの~!」 しまいには・・・ 「このコたち、真っ黒で、ちっともウチの子に似てないけれど、ホントにウチの子が父親だという証拠があるのっ!」 誰か分からぬ捨て主に対して、いくら文句を言っても仕方がありません。 困って、交番に相談したら、「拾得物ですから持ってきて下さい」と言う。 体を寄せ合ってミイミイ鳴いているネコの箱を持っていく頃には、怒りより悲しみで胸がキリキリ痛みました。 更に呆れた事に、その3週間後、今度は黙って、又もや、2匹の生まれたばかりの子猫が玄関に捨てられていました。 あそこにはオス猫がいるからといつも捨てられてはかないません。 野良のオスネコや、常時外に出ている猫は近所に沢山いるのに、と割り切れない思いでした。 でも、可哀想だけど、やむなく2匹の兄弟猫の去勢をしました。 本当に、責任を取らされた気分です。 兄猫は、特に見事なタマタマを持っていたので、可哀想で残念でした。 当時、大学生で下宿生活をしていた長男は、後からこの事を聞いて、大変憤慨し残念がっていました。 身につまされたのでしょうか? |