moo-moo-ふぁみりぃ★

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いろりんの病気



しばらくしてダンナは病状説明のためNICU(新生児集中治療室)に呼ばれた。私は帝王切開後のため病室に残った。1人になってできること・・・体を休めたかったが、いろりんの病状を聞くまでは休む気になれない。ぼーっと窓から空をながめた。「いろりんが話がわかるようになったら、今日のきれいな空のこと話してあげよう」・・・青空にうすい雲がちらばっていた。


1時間ぐらい経っただろうか。ダンナはまだ戻ってこない。遠いところまで話を聞きにいったのだろうか。(・・・転院して、すぐ出産になったため、病院の中がまだわからなかった)それとも、面会したいろりんがあんまりかわいくて離れられないんだろうか。このときは「肝臓は大きいけど、正常だったよ♪」とダンナが笑顔で戻るのをどこかで期待していた。



・・・まだ、戻らない。だんだん不安になる。病状を聞いてダンナはどこかで泣き崩れているんじゃ・・・と悪いことしか考えられなくなってきた。体がガクガク震え、歯がガチガチ音をたてる。「もうイヤ。寝てしまおう。寝たら楽になれる。」でも、眠れるわけがない・・・1人ベッドの上で震えながら苦しい時間を過ごした。


ダンナが戻った。手には売店で買ったお弁当・・・なんだ、売店行ってたの?早く教えてよ!!「どうだった?」「うん・・・かなりひどい状態みたい」そんな・・・

いろりんは新生児仮死状態で生まれた。少し泣いたが腹部膨満のため呼吸が不十分で人工呼吸器をつけている。そして、いろんな検査をした結果、著しい白血球増加が認められた。(普通の赤ちゃんは白血球2万個が限界なのにいろりんはそれをはるかに超える32万もの白血球が血液中にあった)そのため、一過性骨髄増殖性疾患または特殊なタイプの先天性白血病の疑いがあるとのこと。そのため、血液が止まらず、自分で血液を作ることもできない。・・・重い肝不全もあるがとても手術はできない。大変危険な状態だと知らされた。

異常があることは覚悟していた。せめて手術で治る病気ならいい。
ダウン症は手術で治せないから・・・。「ダウン症ではありませんように。」出産前の私の正直な思いだった。

いろりんはダウン症ではなかった。「染色体検査の結果が出るのは3週間後だからわからないけど、先生も見た目に『ダウン症ではない』と言ってたよ」とダンナが言う。でも・・・せっかく生まれたのに、すぐ死ぬ可能性が高いなんて・・・。

「せめて、お母さんが会いにいくまで。明日までいろりんがんばって!初めて会うのが死んじゃったときなんてイヤだよ・・・。」泣きながら必死で祈った。いろりんのためにできることが、祈ることしかないなんて。親って無力だと実感した。

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